90歳までカウントダウンの高木ブーは、盛岡・ハワイとイベントで大活躍中|連載 第88回
90歳の誕生日まで、あと1ヵ月となった高木ブーさん。ますます元気いっぱいで、先月末は岩手県盛岡市を訪れて「志村けんの大爆笑展」のオープニングを盛り上げ、来週はハワイに飛び立って「ウクレレピクニック・イン・ハワイ」のステージに立つ。そして、ファンにとって嬉しい重大発表も。ブーさんのエネルギーの秘密に迫った。(聞き手・石原壮一郎)
僕らを見て人生の大切な場面を思い出してもらえたら嬉しい
このごろ、まわりは僕の顔を見ると「いよいよ90歳ですね。おめでとうございます」と言ってくれるんだけど、自分ではあんまりピンとこないんだよね。のんびりやってきたら、いつのまにか年齢が増えていった。もちろん、祝福してもらうのは嬉しいけどね。
今の僕にとっていちばん大事な役目は、ザ・ドリフターズを次の時代に伝えていくことだと思ってる。こっちの世界にいるのは加藤(茶)と僕の二人だけど、ドリフは二人になったわけじゃない。僕らの後ろには、長さん(いかりや長介)、荒井(注)さん、志村(けん)、仲本(工事)がついてくれている。
テレビとかで加藤と僕を見てくれる人たちも、常にほかのメンバーのことも意識してくれているんじゃないのかな。昔、家族みんなで「8時だョ!全員集合」を見て大笑いしていた頃のこととか、仕事から帰ってきて見た「ドリフ大爆笑」で明日も頑張ろうと思ってくれたこととか、そういう人生の大切な場面も思い出してもらえたら、こんな嬉しいことはない。
このあいだも、岩手県に行って“役目”を果たしてきた。2021年夏から全国各地を回っている「志村けんの大爆笑展」が、1月27日から2月13日まで盛岡市(カワトク7階)で開催されている。その初日に駆けつけて、テープカットに参加したり地元のテレビ局の取材を受けたりした。たくさんのファンが、志村の世界を楽しんでくれてたな。
「大爆笑展」は、盛岡で14ヵ所目らしい。去年10月に群馬県の高崎市でやったときには、仲本といっしょにオープニングに駆けつけたんだよね。仲本はほとんどの会場で、初日に「1日店長」をやってた。バカ殿姿の志村が「アイーン」ってやってる大きな看板を見ると、高崎のときに楽屋で仲本といろいろ話したことを思い出す。孫のこととかお母さんのこととか……。あれが仲本に会った最後になっちゃったんだよね。
僕が行くことが、展覧会のニュースや記事をたくさんの人に見てもらうきっかけになって、より多くの人が来てくれることにつながったらいいな。志村はピンでも長くやってたけど、やっぱりルーツというか原点はドリフ5人の活動だからね。志村を知ってもらうことはドリフを知ってもらうことだし、ドリフを知ってもらえば志村のこともより深く知ってもらえる。志村の展覧会とドリフはそんな関係にあるんじゃないかなと、僕は思ってます。
盛岡は15、16年ぶりぐらいかな。今回も雪をかぶった岩手山がきれいだった。帰ってきてもう何日も経つのに思い出すのが、冷麺がうまかったこと! もともと盛岡は冷麺が有名だけど、地元の知り合いにおススメの焼肉屋さんに連れて行ってもらった。かなりの太麺なんだけど、弾力がちょうどよくて、スープも絶品だった。僕は麺類ではとんこつラーメンがいちばん好きなんだけど、冷麺がランキングを一気に駆け上がってきたかな。
3年ぶりに現地で開催される「ウクレレピクニック・イン・ハワイ」も、いよいよ近づいてきた。2月17日~19日の3日間にわたって、ホノルルを中心にいろんな会場で行なわれる。去年と一昨年はオンライン開催だったから、一段と盛り上がりそうだな。
僕たち「1933ウクレレオールスターズ」は、18日にアラモアナセンターのセンターステージに出演する。17日にも前夜祭的なイベントに出て、19日には「プレミアム・ウクレレパーティー&高木ブー・トリビュート」を開いてくれるらしい。ステージで演奏するのも楽しみだけど、世界中のウクレレ仲間と再会できるのも楽しみ。
ハワイに行くのも、3年前の「ウクレレピクニック」以来だな。コロナの影響でずいぶん街の雰囲気が変わったって聞いているけど、どうなんだろう。よく行ってたステーキのお店とか、また久しぶりに行きたいな。そうそう、アロハシャツの生地も買ってこなきゃ。日系人の知り合いがやっている専門店があって、やっぱり本場は違うんだよね。
何を隠そう、去年から今年にかけては、イラストを描くので忙しかった。ここで重大発表です。2年前に出ておかげさまで好評だった「高木ブー画集」の第2弾が、3月20日に発売されます。タイトルは『高木ブー画集RETURNS ドリフターズよ永遠に』(ワニ・プラス)。たくさんの新作イラストや、高木家にあるドリフのお宝グッズもまとめて公開しました。
そして実は、もうひとつ重大な発表が出番を待ち構えています。ヒントは、今読んでもらっているこの連載と深く関係があるようなないような……。お楽しみに!
ブーさんからのひと言
「90歳になるなんて、あんまり実感がないんだけどね。でも、この節目に向けて楽しい計画が進んでいます。まだまだいろいろチャレンジするので楽しみにしていてください」
高木ブー(たかぎ・ぶー)
1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)、『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。同チャンネルでは期間限定で「ドリフ大爆笑」の名作コントのデジタルリマスター版を続々と配信している。毎月1回ニコニコ生放送で、ドリフとももクロらが共演する「もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~」が放送中。3月20日に『高木ブー画集RETURNS ドリフターズよ永遠に』(ワニ・プラス、2700円+税)が発売!
取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。『大人養成講座』『大人力検定』など著書多数。1月26日に最新刊『無理をしない快感‐「ラクにしてOK」のキーワード108』(KADOKAWA)が発売。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。