人生100年ってホント?「人間の自然寿命は38才」生物学者・池田清彦さんが回答
「人生100年時代」といわれるけれど、実際、人間は生物学的に100年生きられるのか? 医学の進歩により「不老不死」は可能となるのか――。巷に溢れる「間違った健康知識」について、正しい見解を生物学者の池田清彦さんに教えてもらいました! 今すぐ誰かに話したくなる健康の最新知識を5つお届けします。
1.「人生100年」生物学の観点では?
2025年には日本における人口の3割を65才以上が占めるとされており、万人にとって人生100年時代がすぐそこまで来ている。しかし早稲田大学名誉教授で生物学者の池田清彦さんはこんな指摘をする。
「オーストラリアの学者が行ったDNA解析の結果、人間の自然寿命は38才だとわかりました。たしかに栄養状態の改善や医学の進歩によって寿命は飛躍的に延びていることは事実ですが、生物学の観点から言えば、40才以上は“おまけの人生”なのです」(池田さん・以下同)
2.「不老不死」は叶うのか⁉
寿命が延びたことにより、不老不死の研究も進むが、残念ながら“絵に描いた餅”で終わりそうだ。
「世界最高齢は1997年に亡くなったフランス人女性のジャンヌ・カルマンさんで122才。25年以上経った現在もその記録は破られていません。細胞分裂の回数には限界があることからも、120才が限界だと考えられます」
3.「日本人の腸は長い」ってホント?
寿命と同様、臓器に関しても、新たな事実が明らかになっている。肉よりも雑穀を多く食べてきた日本人は、欧米人よりも腸が長いと考えられてきたが、腸の長さに“国境”はない。
「日本消化器内視鏡学会の調査では、日本人とアメリカ人の間に大きな差はないことがわかっています。ただし世代差はあり、年を重ねるほどに長くなることが明らかになっています」
4.「男脳・女脳」というくくりは過去の話
「女は地図が読めない」「男は話を聞かない」といわれてきたが、男脳・女脳というくくり方は過去のもの。
「海外のデータによると、脳に性差はなく、単なる個体差です」
5.「血液型」による差はあるのか?
“科学的根拠なし”とされてきた血液型による違いは、病気の罹患率においては関係があることが明らかになっている。
たとえば新型コロナの重症化リスクが最も低いのは0型。A型とB型は0型に比べて1.2倍、AB型は約1.6倍のリスクがあります」
ウソの健康知識5選【まとめ】
■間違った知識…理由
■人生100年…オーストラリアの学者が行ったDNA解析により、人間の自然寿命は38才であることが明らかに。
■不老不死…細胞分裂の回数から見ると120才が限界。
■日本人の腸は長い…日本消化器内視鏡学会の調査によって、日本人とアメリカ人の間に大きな差はないことがわかった。
■男脳と女脳がある…海外の複数の研究によれば、脳に性差はなく、あるのは個体差のみ。
■血液型による差はない…病気の罹患率には関係している。新型コロナの重症化リスクが最も低いのはO型。
教えてくれた人
早稲田大学名誉教授・生物学者 池田清彦さん
※女性セブン2023年1月5・12日号
https://josei7.com/
●生物学者・池田清彦さん(75才)に学ぶ頑張らない生き方「生物学的には40才を過ぎたら余生」