老化を防ぐ抗酸化食品ランキングを20人の専門家が判定「1位は鮭 アスタキサンチンが最強」
私たちは朝起きて夜眠るだけで年を取り、体は息を吸うだけでさびていく。食い止めるためには体の中に酸化を防ぐ成分を積極的に取り入れなければならない。老化を遅らせられるかはあなた次第。がんからアンチエイジングまですべての不調を改善する抗酸化食品を徹底取材。
最強の抗酸化食品ランキング14~8位
20人の「食と健康の専門家」に「体のさびを取る最強食品」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計。5点以上を獲得した食品を掲載した。
【14】たもぎたけ 5ポイント
「たもぎたけが含有する『エルゴチオネイン』というアミノ酸が持つ抗酸化力はビタミンEの7000倍。認知機能の低下を防ぐ働きも期待できる」(橋弥さん)
【14】納豆 5ポイント
「多く含有する『大豆イソフラボン』や『サポニン』『ビタミンE』には強い抗酸化作用が」(清水さん)
【14】チョコレート 5ポイント
「抗酸化作用の強い『ポリフェノール』が多いうえ、吸収されやすい脂肪分も含まれるため腸で効率的に消化できる。選ぶ際は高カカオのものを」(谷本さん)
【14】梅干し 5ポイント
「特に乾燥した梅の主要成分『クロロゲン酸類』には強力な抗酸化作用がある」(柴さん)
【14】大根 5ポイント
「抗酸化作用がある辛み成分の『イソチオシアネート』や『ビタミンC』を含んでいる。皮にも栄養があるため、丸ごと食べることがおすすめ」(佐藤さん)
【14】クローブ 5ポイント
「数あるスパイスの中で、最高の抗酸化力を誇る。肉料理やカレー、クッキーなどと相性がいい」(細川さん)
【9】ブルーベリー 7ポイント
「紫色の色素『アントシアニン』は強い抗酸化作用を持つ」(中沢さん)、「アントシアニンには抗酸化作用に加え、心血管系にいい作用をもたらす働きがあることも明らかになっている」(谷本さん)
【9】大豆 7ポイント
「含有する『大豆イソフラボン』には活性酸素を除去する効果が」(田中亜希子さん)、「酸化した古い脂を外に排出する効果のある『レシチン』も含まれる」(佐藤さん)、「良質なたんぱく質が豊富なうえ腎臓に負担をかけない健康食。特に豆腐がおすすめ」(小峰さん)
【9】赤ピーマン 7ポイント
「豊富に含まれる『ビタミンC』は抗酸化力に優れ、免疫力を高め、コラーゲンの生成にも役立つ」(田中優子さん)、「『カプサンチン』と呼ばれる赤い色素も強い抗酸化作用を持ち、老化や動脈硬化を予防する働きがある」(田中亜希子さん)
【9】レバー 7ポイント
「体内に入ると『ビタミンA』に変換される『レチノール』が豊富。牛も豚も鶏も大きく栄養価に違いはないが、クセがなく調理もしやすいのは鶏」(藤岡さん)、「ビタミンAは細胞の再生を促し、皮膚や粘膜のダメージを早く回復させる効果が」(田中優子さん)
【9】にんにく 7ポイント
「辛み成分の『イソチオシアネート』、香り成分の『アホエン』や『スコルジニン』には強い抗酸化作用が期待できる」(清水さん)、「胃がんや食道がん、乳がんなどあらゆるがんのリスクが減ることも明らかになっている」(大塚さん)
【8】いちご 8ポイント
「『ビタミンC』が豊富。水溶性ビタミンは生で食べることで体に吸収されやすくなるため、いちごはそのまま食べられる点がいい」(工藤さん)、「赤い色素成分『アントシアニン』には悪玉コレステロールを減らす役割があることも実証されている」(谷本さん)
【6】ごま 9ポイント
「抗酸化作用のある『ビタミンE』を多く含有する。調味料としても使える練りごまがおすすめ」(磯村さん)、「ごまだけが含有する特殊成分である『ゴマリグナン』を構成する成分の1つである『セサミン』にも強い抗酸化作用が」(小倉さん)、「野菜炒めにふりかけるなど“ちょい足し”しやすい一品」(工藤さん)
【6】にんじん 9ポイント
「緑黄色野菜の中でも『βカロテン』の含有量はダントツ。粘膜を保護する効果もあるため、免疫機能の向上にもつながる」(佐藤さん)、「皮にも栄養が多く、加熱しても失われない。炒め物などに皮ごと使うことを推奨したい」(磯村さん)、「摂りすぎると皮膚が黄色く変色する『柑皮症』になるため注意。裏を返せばそれだけβカロテンの量が豊富な“最強食品”だということ」(柴さん)
【4】ブロッコリー 12ポイント
「抗酸化作用と解毒作用を併せ持つ『スルフォラファン』という成分が豊富」(中沢さん)、「抗酸化ビタミンのビタミンA・C・Eのほか、ビタミンB群や葉酸、カリウム、食物繊維などあらゆる栄養素が濃縮されている」(堀さん)、「旬である冬は『ビタミンC』の含有量が多くなる。ゆでるよりも電子レンジで加熱したり少量の水で蒸したりすることで、栄養素の流出を防ぎ、味も損なわない」(浜本さん)、「特に推奨したいのは新芽の『ブロッコリースプラウト』。ブロッコリーよりもさらに『βカロテン』やスルフォラファンが豊富なのでおすすめ」(大塚さん)
【4】赤パプリカ 12ポイント
「赤パプリカの可食部100gには『ビタミンC』が170mg含まれ、成人が1日に必要な100mgを超える」(磯村さん)、「ビタミンCの含有量がダントツに多い。トマトの約5倍といわれる赤ピーマンのさらに2倍とされる」(柴さん)、「色素成分『カロテノイド』の中でも特に抗酸化力が強い『キサントフィル』という成分が豊富に含まれる」(小倉さん)、「加熱しても成分が失われないため調理のレパートリーも広がる」(中沢さん)
【3】トマト 13ポイント
「赤い色素の『リコピン』を筆頭に『βカロテン』や『ビタミンE』『ビタミンA』など抗酸化作用のある成分が目白押し」(小倉さん)、「バランスよく抗酸化作用のある成分が入っている、まさに"最強食品"。ビタミンAやEは油と相性がいいため、炒め物にも」(黒田さん)、「リコピンは熱に強く、トマトケチャップや缶詰など加工品になっても失われにくい」(中沢さん)、「丸ごと食べられるものの方が抗酸化作用が高い。ミニトマトがおすすめ」(前田さん)
【2】かぼちゃ 17ポイント
「ビタミンの中でも特に抗酸化作用の強いビタミンA・C・Eが全て含まれ、相乗効果で強いアンチエイジング効果が期待できる」(清水さん)、「粘膜を守る『βカロテン』の含有量も多く、風邪予防にも効果的」(堀さん)、「かぼちゃのビタミンは加熱しても失われにくく、生のまま冷凍もできるため、毎日の食卓に取り入れやすい」(藤岡さん)、「冬が旬であるゆえにこれからの時期は特に『ビタミンC』やβカロテンの含有量が多くなる」(浜本さん)
【1】鮭 34ポイント
「身のピンク色は『アスタキサンチン』と呼ばれる色素成分によるもので、強力な抗酸化作用がある」(磯村さん)、「アスタキサンチンは抗酸化作用の中でも特に、紫外線によるシミやしわを防ぐ効果が高い」(浜本さん)、「アスタキサンチンの抗酸化力はほかの成分よりも群を抜いて高く、『ビタミンA』の5倍、『コエンザイムQ10』の800倍、『ビタミンE』の1000倍、『ビタミンC』の6000倍といわれている」(柴さん)、「ビタミンEをはじめとする各種ビタミン類や『DHA』『EPA』など良質な体にいい脂質も豊富」(田中優子さん)、「アスタキサンチンの含有量が食品の中で最も多い」(堀さん)、「アスタキサンチンは脂溶性のため、ムニエルや鮭フライのように油とともに摂取すると効率よく吸収される。また、油の吸収を促進する胆汁酸は朝に分泌されやすく、朝食として摂るのがおすすめ」(望月さん)
抗酸化を防ぐ食品の効果を解説
「酸」が体内で悪さをするのを防ぐために、体内環境をアルカリ性に傾けるとともに、取り組むべきは抗酸化作用を持つ食品を取り込むことだ。
ナビタスクリニック川崎医師の谷本哲也さんが解説する。
「人間は生きていれば誰しもが年を取り、徐々に老化していきます。しかしスピードには差がある。その理由の1つは、体の酸化にあります」
酸化とは、体内に取り入れた酸素の一部が「活性酸素」と呼ばれる、通常よりも活性化された状態に変化して体内で炎症を起こす現象のことをいう。
「呼吸するだけでも活性酸素が発生し、体の酸化が進んでいます。また、激しい運動やストレス、喫煙などの生活習慣によっても生じることが指摘されています。活性酸素によって炎症が起こり、体がさびつくと、動脈硬化や免疫力の低下、がんなどさまざまな病気のリスクが高まります。健康長寿のためには、抗酸化作用が期待できる必須栄養素と食物繊維が豊富な食事で老化を遅らせ、病気の罹患リスクを下げる必要があるのです」(谷本さん)
息をするだけでも体内に取り込まれる毒素を排出するために、いま食べるべき抗酸化食品は何なのか。20人の食と健康の専門家による全力回答をご紹介する。
抗酸化作用が強い食品No.1は鮭
有識者たちから最も多くの票を獲得したのは鮭。2位にダブルスコアの差をつけたが、その理由は鮮やかな身の色にあった。美容皮膚科医の柴亜伊子さんが解説する。
「鮭の身がオレンジ色なのは、動植物に広く存在する天然色素『カロテノイド』の一種である、『アスタキサンチン』という色素成分によるもの。カロテノイドには高い抗酸化作用がありますが、なかでもアスタキサンチンの抗酸化作用は非常に強力で、『ビタミンA』の5倍、『コエンザイムQ10』の800倍、『ビタミンE』の1000倍、『ビタミンC』の6000倍といわれています」
2位以下のラインアップを見渡しても、かぼちゃにいちご、ブロッコリーなど色とりどりの食材が目白押しだ。
栄養士の資格を持つフードライターの藤岡智子さんはそれらの野菜が持つ共通点はビタミンだと話す。
「ビタミンの中でも特に抗酸化作用が強いとされるA・C・Eを含む食品がランクインしている印象です。特に2位のかぼちゃは3つのビタミンをすべて含むスーパーフード。加熱や冷凍しても失われにくいため、冷凍庫で保存してみそ汁や煮物など幅広く取り入れてほしい」(藤岡さん)
管理栄養士の浜本千恵さんは、かぼちゃの病気予防効果に着目した。
「日本では古来、冬至にかぼちゃを食べる風習がありますが、それは医学的見地からみても理に適っています。かぼちゃが含有するビタミンCをはじめとしたさまざまな栄養素には、抗酸化作用とともに免疫力の向上も期待される。風邪など、冬の病気予防につながります」(浜本さん)