エレベーターなしの集合住宅での親の移動に階段昇降機のある介護タクシーがありがたい【実家は老々介護中 VOL.7】
80才の父はがん、認知症、統合失調症を患い、79才の母が自宅介護中です。娘でアラフィフ美容ライターの私は、老々介護の実家をたまに手伝っています。この季節、衰えの進む父が風邪をひかないよう、防寒対策は万全に。血行が良くなりバラ色の頬で過ごす父は心地よさそう。その様子に、母と私も気分が明るくなるようです。
介護タクシーを初利用
父が転んでしまいました。エレベーターのないマンションの階段をどうにか昇り降りできていたのに、力が入らなくなってしまったようです。慌てて訪問看護師さんに電話すると、念のため病院で診てもらったほうがいいとのことで、階段昇降機のある介護タクシーを教えてくれました。
車椅子の下にレールがあり、階段を坂道のようにして昇り降りできるのが階段昇降機です。ひとりが操作して、もうひとりは前方で補助してくれるという、手厚い2名体制。階段を降りきったら車椅子に乗せ替えてくれて、スロープをしいてバンに乗せ、母と私も同乗できました。ストレッチャーも積んであり、寝たきりの人にも対応できるということでした。
「介護タクシーはね、階段があるおうちは断っている事業所もありますし、おんぶで対応するところもありますよ。体に触れて介助をするには研修か資格が必要で、うちのスタッフは全員介助ができるんですよ」とのこと。病院に着くと、「病院待たされるからねえ。終わるの2〜3時間後かな?電話くださいよ、迎えに来ますので」と携帯を教えてくれました。
おかげさまで、父は診察で異常なし。良かった!と喜んでいると、なぜか父が階段昇降機に文句を言い出しました。
「ウィーンって、音が大きいから近所に気づかれるのがイヤなんだよ」
介護タクシーさんが迎えにきたタイミングで言うなんて、すごく失礼。でも、
「新しいのは音が小さいですから、次はそちらで来ますよ」
と嫌な顔ひとつせず、笑って流してくださいました。
この日は介護保険の適用なしで6020円でした。この後、ケアマネさんがケアプランに組み込んでくれて介護保険が使えるようになると、同じ内容で4450円に。
→介護タクシーとは「料金は?家族も乗れる?介護保険は使える?」|介護の疑問を専門家に直撃!
階段昇降機があって、しかも介助と温かい対応があるのにこの料金、ありがたすぎます。要介護1以上でないと介護保険で乗ることができないとのことで、父の介護度を見直して良かったと思いました。
介護保険制度を活用して手すりを設置
もうひとつ、実家に手すりもつけました。住宅改修に介護保険が使えるそうで、上限は20万だそう。要支援1から使えるそうですが、転ぶと危ない場所に手すりをつけようということになり、トイレ、脱衣場、玄関の3か所に、設置してもらいました。これも1割だけ(※)の負担です。「2万円で3か所も手すりがつくなんて、すごいねえ」と父母はかなり喜びました。お金じゃないと言いつつ、気になるのはお金ですね。
※自己負担額は利用者の所得によって異なり、自己負担が2~3割となることもあります
→快適介護に備える「環境作り」を考える 介護はいつから?【福祉用具専門相談が解説】<第1回> プロが教える在宅介護のヒント
さて介護タクシー初体験の翌日、上の子を成人式の前撮りに連れて行きました。晴れ着姿は可愛く、屋外での撮影ではカイロを仕込んで頑張りました。見ていて楽しかったのですが、撮影もレンタルのお着物も、女の子ならではのなかなかのお値段。まだまだ仕事を頑張らなくてはと気合が入りました(笑い)。
そういえば病気の父も常に手足が冷たいです。すぐ眠ってしまうので低温やけどを防ごうと、カイロではなくネックウォーマーや保温サポーターなどを使っています。温まると頬に血色が戻り、元気そうに見えてこちらもうれしい。風邪をひかないように気をつけてくれればそれでいいし、私も無理しすぎず、力を抜いていきたいと思います。
文/タレイカ
都心で夫、子どもと暮らすアラフィフ美容ライター。がん、認知症、統合失調症を患う父(80才)を母が老々在宅介護中のため、実家にたびたび手伝いに帰っている。
イラスト/富圭愛