私が「登山」にハマる理由 人気YouTuber&80才の教授が語る「山歩きの心地よさ」
60~74才が行う「スポーツ」のうち、登山・ハイキングは堂々の第2位(※1位はウオーキング)となっている。今、登山や山歩きが密かなブーム。そこで、80代で登山のための筋トレを提案する大学名誉教授で保健学博士の石田良恵さんと、登録者25万人超の人気登山YouTuberのかほさんに、登山・山歩きの魅力について教えてもらった。※総務省・平成28年社会生活基本調査より。
保健学博士・石田良恵さん(80才)「65才から登山を始めた」
「私は定年後の65才から登山を始めました。山でいただくコーヒーのおいしさは、ほんっとに格別なの!(笑い)それに山は奥深いんですよ。コースを考え、体力を上手に配分しながら、時に機転を利かせ、登って下りてこなくてはいけない。頭も体もフル回転です」
そう語るのは、生涯登山を目指した筋トレを提案する保健学博士の石田良恵さん。御年80と思えないほど軽快な足取り&キラキラした眼差しで、“生涯登山”の魅力について話を続ける。
「登山愛好者の体力測定を5年間してみてわかったのが、登山を継続的にしている健康に自信がある人であっても、加齢とともに筋肉量は減少していくということでした。筋肉はトレーニングでしか作られない。
でも逆に、トレーニングをすれば何才からでも筋肉は作れます。同じ100才なら寝たきりじゃなくて、近所の山を歩けるくらい元気でいた方が迷惑がかからないじゃないですか。だから山登りに必要な筋トレや下りがラクになるストレッチなどを知って、“生涯登山”を楽しめるようになっていただきたいんです」
山歩きは全身運動!
脚を持ち上げ、つま先を上げて着地し、ひざを伸ばす。山道を登る際、下肢の筋肉(大
臀筋とハムストリングス、下腿三頭筋、前脛骨筋、大腿四頭筋、腹筋群)は絶え間なく動
いているほか、バックパックを背負いながら姿勢を維持して歩く動作にも、脊柱起立筋や
僧帽筋、大胸筋が稼働。まさに全身運動なのだ。
■山歩きで使う筋肉の名称と読み方
・僧帽筋(そうぼうきん)
・脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)
・大臀筋(だいでんきん)とハムストリングス
・下腿三頭筋(かたいさんとうきん)
・前脛骨筋(ぜんけいこつきん)
・大腿四頭筋(だいたいしとうきん)
・腹筋群(ふっきんぐん)
・大胸筋(だいきょうきん)
登山YouTuberのかほさん「登山で自然と5kgやせた」
現在、大ブームになっている登山だが、その魅力に目覚めるきっかけは実にさまざま。大人気の登山YouTuberのかほさんは、テレビの番組制作会社に勤めていた時代、雪の八ヶ岳(根石岳・長野県)に仕事でしかたなく登ったのがきっかけ。なんと初登山が標高2600m!
「収録中うっかり居眠りをしていたのがバレて、番組的には“禊(みそぎ)”企画として行ったんです(苦笑)。ただ実際に登ってみたら、楽しくて心地よくて…自分の足で登るということ、望む景色、山でするすべての体験にハマりました。肉体的な変化でいうと、登山をするようになって自然と5kgやせました。山に登ろうとすると自然と健康的な生活になるようです(笑い)」(かほさん・以下同)
かほさんのチャンネル『かほの登山日記』では、本格的な登山の様子だけでなく、往復3時間ほどの低山ハイキングも紹介されている。登山中に食べる茶屋のごはんやスイーツ、下山後の駅周辺の様子も見られるので、“下見”にもおすすめだ。最近は山頂駅からのハイキングも話題を集めているが、
「山頂駅がゴールではなく、そこから数十分、数時間歩くこともあるので、それは覚えておいて」とかほさん。
「これから山を楽しみたいかたにお伝えしたいのは、自分の体力に合わせたレベルの山を選び、決して無理はしないで、ということです。私の母は一緒に高尾山に登った際、途中でひざが痛くなってしまって大変でした。高尾山系でも遭難は多発しているので油断できません。山頂に行くことだけがゴールと思い込まず、山の途中で折り返してもいい。また今度来よう。そんなふうに楽しんでいただきたいですね」
教えてくれた人
保健学博士 ・石田良恵さん/女子美術大学名誉教授、日本ウエルネススポーツ大学教授。著書に『一生、山に登るための体づくり』(ピークス)。全国で普及活動を行う。
登山YouTuber かほさん/登録者25万人超の『かほの登山日記』では、低山の楽しみ方から登山アイテム紹介、西欧州最高峰の登頂レポートなど登山情報を発信。
取材・イラスト・文/辻本幸路 写真提供/かほさん
※女性セブン2022年12月1日号
https://josei7.com/
●三浦雄一郎さん(89才)の生き方「夢に挑戦すべき。やらない理由を探すのはやめる」