老後を楽しむ「おひとりさま活動」最前線 始め方とおすすめプランを専門家が指南
ひとり活動は精神的なメリットも大きいという。
「いままで誰かの判断に委ねてきた人が、自分の意思で行動することで『私にもできる!』と自己肯定感が上がるんです。そうすると楽しくなってきて、『今度はひとり○○に挑戦してみよう』と、どんどん世界が広がっていきます」
くどうさんは子供のいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」を主宰しているが、そこに集う人々の間で「あのバーはひとりでも行けるわよ」などと情報交換の場にもなっているという。
「おひとりさま向けのコミュニティーに参加してみると刺激にもなります。リア充ならぬ“ソロ充”という言葉もあるほど、もはや“ひとり=かっこいい”という時代。どんどん“おひとりさま”を楽しんでほしいですね」
ひとりだけどひとりじゃないツアー
純然たるひとり旅は寂しいし、少し不安だという人には、ひとりの参加者同士が集まる添乗員付きのツアーもある。クラブツーリズムは、なんと25年も前からこのひとり旅ツアーを主催している。
「参加者の約7割が女性で、60代がいちばん多く、次に70代、50代と続きます。当初は伴侶と死別したかたが、団体ツアーでの疎外感を持つことなく旅を楽しめるようにと生まれたもので、同時に仲間作りの場にもなればと考えました」と、クラブツーリズム・ひとり旅担当の小林雅子さん。
時代が変わり、「わずらわしいのは嫌だ」という人も増えたため、他者と交流するかどうかは参加者の自主性にまかせているという。
「もちろん、話し相手がほしいというかた同士、すっかり意気投合されることもよくあります。これも、ご家族や友人同士の参加をお断りしているため、“みなさんおひとりさま”だという安心感から生まれるものだと思います。あくまでおひとりさまのためのツアーなので。25年、このポリシーを貫いています」(小林さん・以下同)
別々のツアーに参加する夫婦も多い
「それぞれで行きたいところが違うとか、家では嫌でも一緒にいるのだから、旅行ぐらいはひとりで行きたいとか(笑い)。本当にいろいろなニーズがあります」
これからの時季は、紅葉狩りが定番人気だが、ワイナリー巡りやグランピング体験など、ツアー内容も時代にあわせてアップデートしている。バスに乗るだけで新しい体験ができるのもツアーの魅力だ。
参加者からは、どんな感想が多いのだろうか。
「ツアーというと、1日に何か所も回って忙しいと思われるのですが、このツアーはじっくり観光しながら学びや気づきを感じていただけるよう、ゆったりと組んでいるものが多いです。『駆け足にならず、しっかり観光できてよかった』と満足の声が多いです」
足が悪い人でも参加できるツアーを含め、種類は200以上。リピーターが多いというのもうなずける。