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高木ブー「夏到来。イベント出演目白押しで熱い毎日」|連載・第74回 

 夏は高木ブーさんの季節である。あちこちのステージでウクレレを奏で、空の上では雷様としてにらみをきかせる。3年ぶりに開催された「Ukulele Picnic 2022 in YOKOHAMA」では初日のトリを務め、ドリフメドレーで会場を沸かせた。別の日には、家族で映画「エルヴィス」を鑑賞。そんな忙しくて熱い毎日を語ってもらった。(聞き手・石原壮一郎)

久しぶりに「Ukulele Picnic in YOKOHAMA」が開催された

 ちょっと前だけど、家族そろって映画館に『エルヴィス』を観に行ってきた。僕が「あの映画、観たいな」って言ったら、孫のコタロウもプレスリーに興味があるって言って、みんなで行くことになったんだよね。あらためてプレスリーのすごさを感じたな。彼を売り出すマネジャーの役を演じたトム・ハンクスが、またいいんだよね。

 彼と僕とは、ほぼ同年代。僕のほうが2歳年上かな。アメリカでプレスリーっていうのがすごい人気だって話が入ってきたのは、日本で言うと昭和30年代の初めごろ。僕は大学を卒業してプロのバンドマンになったばっかりで、もっぱら米軍キャンプを回ってた。衝撃だったよね。新しい音楽が出てきたぞ、負けていられないなってワクワクした。

 彼はほとんど海外公演をしなかったから、残念なんだけどステージは見たことがない。ビートルズはドリフターズが日本公演の前座をやったときに、舞台の裏からこっそり見てたけどね。自分のライブでは時々、プレスリーが歌って大ヒットした「ブルー・ハワイ」を歌ってる。「もっと長生きしてほしかったのに」なんて話しかけながらね。

 映画と言えば、このあいだ大ヒット祈願イベントやPR動画に出たマーベル・スタジオ映画『ソー:ラブ&サンダー』も、近いうちに家族で観に行こうって話してる。それも楽しみ。やっぱり雷様のコスチュームで行ったほうがいいかな。でも、画面の中にも雷様が登場するから、ちょっとまぎらわしいよね。やっぱり普通の格好で行きます。

 3年ぶりに開催された「Ukulele Picnic 2022 in YOKOHAMA」も楽しかったな。たくさん集まってくれたお客さんも、久しぶりに顔を合わせたウクレレの仲間たちも、すごく嬉しそうだった。2日あったうちの1日目に「高木ブー&ニューハロナ」がトリを務めたんだけど、娘のかおるの提案でドリフのメドレーをやろうってことになったんだよね。

 ハワイアンの曲や「涙そうそう」もやって、そのあとに「ドリフのズンドコ節」「誰かさんと誰かさん」「ゴー・ウエスト」のメドレー、そして締めは「いい湯だな」。会場にいる大勢のお客さんが、「ババンババンバンバン」に合わせて両手を左右に動かしてくれる。大人だけじゃなくて、小さい子どももやってくれてた。引き継がれてて、嬉しいよね。

 ウクレレピクニックは、いろんなミュージシャンのファンが来ていて、高木ブーの最近の活動を知らない人も多い。だから、ステージに出て行ったときの反応が、ヘンな言い方だけどちょっと面白かった。「あっ、本物の高木ブーだ。動いてる」「えっ、演奏できるの?」なんて思っているのかな。ちょっと戸惑っている感じがしたんだよね。いざウクレレを弾いて歌い出すと「うわー」って驚いてくれる。歳を重ねたからこそ味わえる醍醐味かな。

加藤がラジオで「ブーさんを越えたい」なんて言ってくれた

 どういう風の吹き回しかわからないんだけど、このあいだ加藤(茶)が、ラジオで僕のことをホメてくれた。

「高木ブーが元気なのよ。歌もきれいな声で歌うし、コントやっててもはっきりしてるし」って。面と向かってそんなこと言わないのに。NHKの「ラジオ深夜便」に、片岡鶴太郎さんがホスト役をやってる「片岡鶴太郎の人生を楽しもう」ってコーナーがあって、加藤と妻の綾菜ちゃんがゲストで出てた。

 そのときに、なぜか僕の話になったんだよね。綾菜ちゃんが「高木ブーさんを引き取りたいって家で話してたんです」って言ったら、鶴太郎さんに「マルチーズじゃないんだから」と突っ込まれてた。加藤にも「面倒くさいよ」って言われたらしいんだけど、それはちょっと心外だな。

 さっきの言葉が出てきたのは、そのやり取りのあとだった。年齢を重ねても活躍したいという話の流れで「ブーさんを越えたいと思ってる。高木さんより動けて、人を笑わせたい。これが夢ですね」なんてことも言ってた。もともと10歳違うから、僕が元気でいる限り越えられることはない。加藤に越えられないためにも、まだまだがんばらなきゃ。

 近ごろ加藤(茶)や仲本(工事)と昔以上に仲がいいって話を前にしたけど、お互いの見方も変わってきたのかな。相手をホメたり、冗談半分にせよライバル視してることを公に言ったりするっていうのは、昔はなかったもんね。もちろん仲は良かったしリスペクトし合っていたけど、自分のことや目の前のことでいっぱいいっぱいだった気がする。

 3人になっちゃったから、力を合わせて支え合わなきゃって気持ちが出てきたのかもしれない。そういう意味では、まだまだドリフターズは新しく変わっていきそうだね。今後の成長を大いに期待してください。

ブーさんからのひと言

「夏はまだまだイベントが続きます。みなさんと会える機会も増えそうです。ワクワクするなあ」

高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。6月に初めての画集『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)を上梓。毎月1回土曜日20時からニコニコ生放送で、ドリフの3人とももクロらが共演する「もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~」が放送中。8月16日に横浜の新都市ホールで「1933ウクレレオールスターズ ライブ」を開催(チケット発売中)

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が好評発売中。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

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