雷様に扮して映画の大ヒット祈願した高木ブー「夏はフェスやイベントにたくさん出演します」|連載:第72回
「長い芸能生活で、また初めての経験をしちゃった」と笑う高木ブーさん。映画「ソー:ラブ&サンダー」(7月8日公開)の大ヒット祈願イベントに、雷様のコスチュームで登壇。ドリフの映画のときも、こうしたイベントに出たことはないという。夏に向けて、ビッグなニュースも発表された。89歳の夏をブーさんが軽やかに躍動する。(聞き手・石原壮一郎)
マーベル・スタジオ映画のイベントに出演、孫に褒めてもらいました
このあいだ東京・神楽坂の赤城神社でマーベル・スタジオ映画『ソー:ラブ&サンダー』(7月8日公開)の大ヒット祈願イベントがあって、雷様のコスチュームで登壇したんだよね。作品の中で主人公が“雷神”だから、そのつながりってことで、日本の雷様を代表して僕が応援に駆け付けた。
こういうイベントは、長い芸能生活の中で初めてだと思う。ドリフターズの映画のときは、忙しすぎてそれどころじゃなかったしね。この何年か、オンラインライブとか武道館での「いい湯だな」とか、初めての経験がたくさんある。嬉しいことだよね。
孫のコタロウがマーベル・スタジオ映画の大ファンで、部屋にも「アベンジャーズ」シリーズのポスターとかが貼ってある。今回、このイベントに出ることが決まって、ポスターを見ながらレクチャーを受けた。「これが今回の主人公のソーだよ」「そーなんだ」なんて言いながら。
コタロウが、ふだんはそんなこと言ってくれないのに「おじいちゃん、マーベル・スタジオ映画のイベントに出るなんてすごいじゃない!」って感心してくれた。雷様をやっててよかったなって、あらためて思ったよ。おじいちゃんの株がちょっと上がったかな。
17日に放送された「さんまのまんま 初夏SP」(フジテレビ系)は、家族でいっしょに見た。前にこの番組に出たときかな、かおるの結婚について言ったことをさんまさんが覚えてくれてたんだよね。「同居してくれることが結婚の条件だった」って話になって、さんまさんは「(娘の)IMALUに、その条件を出さなあかんか」と頭を抱えてた。
僕は「言うだけ言ってみてさ。うちはたまたまうまくいっただけ」って言ったんだけど、その話題のときは娘夫婦はちょっとテレ臭そうだったな。こっちもテレ臭くて口では言えないけど、「たまたま」なんて言ったらバチが当たっちゃうよね。「チーム高木家」を楽しく盛り上げていくために、みんなが力を合わせてくれてる。僕がこの歳まで元気で活動できているのは、家族に支えてもらっているおかげです。
「関口さんが作ってくれた『パパの手』がCDになる」
この夏は、ようやくいろんな場所でウクレレを演奏できそうかな。3年ぶりの「ウクレレピクニック」は、今回は「Ukulele Picnic 2022 in YOKOHAMA」と題して、横浜港の大さん橋の周辺で7月16日(土)と17日に開催される。僕は初めてのトリを16日に務めます。
「1933ウクレレオールスターズ」でいっしょにやってるサザンオールスターズの関口和之君たちも、関口和之バンドで出場する。久しぶりに、顔見知りのウクレレ仲間ともたくさん会えるかな。ハワイではないけど、海が見えるところで演奏するのは楽しみ。よかったら遊びに来てください。
7月29日(金)には、「めざましクラシックス」の「25周年サマ―スペシャル2022」に出ることになった。ほかにも、フェスやイベントに出演する話もいくつかあるみたい。娘には「おとうさん、体力は大丈夫?」って心配されるけど、夏はこうじゃなくっちゃね。僕の場合は、ステージに立つことが元気の源だから。
そして「1933ウクレレオールスターズ」からも、大ニュースがあります。関口和之君が8月10日に発売するアルバム『FREE-UKES』の中に、僕のソロや「関口和之&1933ウクレレオールスターズ」の曲が入ることになりました。関口君はずっと、ウクレレで人々の心を軽くしたいと願って、「日本ハワイ化(ウクレレ化)計画」を標榜してきた。このアルバムは、計画を勢いよく前に進める推進力になるんじゃないかな。
僕がアルバムの中で歌っているのは、関口君が作詞作曲してくれた「パパの手」って曲。僕と娘の親子の関係を描いてくれてるらしいんだけど、ライブで歌うと評判がすごくいいんだよね。「泣けました」と言ってくれる人もたくさんいる。ただ、演奏も歌もけっこう難しいんだよね。レコーディングでは練習の成果が出たのか気合いが入っていたのか、関口君も娘も「本番がダントツによかった」って言ってくれた。
娘と最後に手をつないだのは、もう何十年前かな。考えてみたら、父親と娘が手をつないで歩ける期間なんて、すごく短いよね。もっとしっかり記憶に刻んでおけばよかった。もちろん、さっきの話じゃないけど、実際に手はつながなくても、家族でいっしょに歩いているわけだけどね。この歌をうたうときは、いつも心の中で感謝の気持ちを込めながら……ということにしておきます。
ブーさんからのひと言
「いよいよ夏本番です!ウクレレのフェスやイベントが目白押しです。たくさん出演できるからワクワクするなあ。みなさんも是非一緒に楽しんでくださいね」
高木ブー(たかぎ・ぶー)
1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『Hawaiian Christmas』『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「【Aloha】高木ブー家を覗いてみよう」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評。6月に初めての画集『高木ブー画集 ドリフターズとともに』(ワニ・プラス)を上梓。毎月1回土曜日20時からニコニコ生放送で、ドリフの3人とももクロらが共演する「もリフのじかんチャンネル ~ももいろクローバーZ×ザ・ドリフターズ~」が放送中。7月16&17日に横浜港大さん橋で開催される「Ukulele Picnic 2022 in YOKOHAMA」に、16日のトリとして出演(18時ごろから。入場無料)。
取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊「【超実用】好感度UPの言い方・伝え方」が好評発売中。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。