“いま食べるべき魚”完全ランキング「青魚を食べて疲労回復&認知機能向上」

1位(46点):いわし

「良質な脂である『DHA』や『EPA』を豊富に含有。いまが旬で脂が乗った肉厚なものが出回るため、積極的に食卓へ」(佐々木さん)、「一匹丸ごと、骨まで食べられるのが魅力的。カルシウムがたっぷりなのもうれしい」(近藤さん)、「内臓部分にはヘム鉄や亜鉛をはじめとするミネラルやビタミンを多く含有。残さず食べてほしい」(柴さん)、「骨ごと食べればカルシウムがたっぷり摂取できる。『ビタミンD』が吸収を助けてくれるため、きのこ類と一緒に摂るべし」(清水さん)、「血管拡張効果があるとされる『マグネシウム』と『ビタミンB2』も多い。気圧の変化で片頭痛が起こりやすい人には特におすすめ」(望月さん)

 いわし、さば、かつお──魚部門トップ3を独占したのはすべて青魚。さんまやあじもランキングに食い込んでいる。
「青魚は高たんぱくなうえ、良質な脂質である『DHA』や『EPA』を多く含んでいます。これらの脂には悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす働きも期待できる。また、DHAには脳細胞を活性化し、情報の伝達速度を高める効能もあるため、加齢による認知機能の低下も予防してくれます。栄養ドリンクにも使われる疲労回復成分『タウリン』も豊富なため、梅雨時の疲れやだるさを取るのにもうってつけです」(松田さん)

 最多の票を獲得した「いわし」は、この時期こそ積極的に食卓にのせたい要素が満載。

「EPAとDHAの働きで血流が改善され、適切な体温を維持できることにより、梅雨時に起こりやすい寒暖差が原因のだるさや体調不良の軽減につながる。また、いわしには血管拡張効果があるとされる『マグネシウム』と『ビタミンB2』も多い。気圧の変化で片頭痛が起こりやすい人には特におすすめです」(望月さん)

 とりわけ6~7月に水揚げされる「入梅いわし」は、産卵時期でもあることから、最も脂がのって栄養価が高いという。

 2位の「かつお」には、寝苦しいこの時期にぴったりの栄養素が豊富に含まれている。

「かつおは安眠とメンタルの安定をもたらす『幸せホルモン』と呼ばれるセロトニンのもととなる『トリプトファン』をふんだんに含有します。その量は100gあたり、1日に必要とされる量を大きく超える310mg。うつ病予防にも効果的です」(渡辺さん)
青魚が台頭する中で大奮闘したのは5位の「鮭」。

「強い抗酸化作用がある『アスタキサンチン』という成分がその理由です。鮭が産卵のための過酷な川上りに耐えられたり、川の浅瀬で受ける強い紫外線から卵を守り抜けるのも、この成分のおかげ。加えて皮にはEPA、DHAのほか、肌や骨、関節の健康維持に役立つコラーゲンや、ビタミンAやB群も豊富に含まれています」(佐々木さん)

 管理栄養士の浜本千恵さんはメンタルを安定させる効果を理由に一票を投じた。

「豊富に含有するビタミンB6には脳や神経をリラックスさせる神経伝達物質の『GABA』を増やす効果が。気分が沈みがちな梅雨の時期におすすめの食品です」(浜本さん)  

 1位のいわしと同様、7位の「あゆ」も“旬”であることがランクインした1つの理由だ。

「6~10月頃まで、期間限定で楽しめるあゆは、塩焼きにして内臓も一緒に食べられるのが醍醐味。ほろ苦い内臓部分に粘膜の潤いを保つ働きのあるビタミンAがたっぷり含まれていて、免疫力アップが期待できます」(磯村さん)

 土用の丑の日はもう少し先だが、5位の「うなぎ」もいまこそ食べたい魚の1つ。

「疲労回復効果抜群のビタミンB1に加え、血流を促す『ビタミンE』も多い。肩こりやそれに伴う頭痛に悩む人は積極的に食卓へ」(浜本さん)

 旬の魚はその味わいを楽しめるだけでなく、たんぱく質や脂など体に必須の栄養素がぐんと増える。意識してメニューに取り入れたい。

●魚の分類と特徴一覧

魚の分類と特徴一覧

●青魚:あじ・いわし・かつお・さば・さんま・にしんなど

 背の色によって分類しているため、赤身魚と兼ねるものもある。DHAやEPAが多く含まれ、血中の悪玉コレステロールを減少させる効果がある。

●赤身魚:かつお・まぐろ・ぶり・あじ・いわし・さんま・さばなど

 海を回遊して、常に動き続けており、エネルギーにあふれたんぱく質や脂肪の量も多い。濃厚で旨みが強く、肉質も硬めで皮が厚いのが特徴。

●白身魚:鯛・たら・ひらめ・かれい・フグ・あなご・鮭など

 赤身魚に比べて運動量が少ないため、脂質が少なく味も淡泊で消化がいい。筋肉の色で分類するため、赤い色素を持つ鮭も白身魚。
ランキングを参考に、肉と魚から良質なたんぱく質とエネルギーを得てほしい。ただし、選び方や食べ方には注意点もある。

 イシハラクリニック副院長の石原新菜さんが言う。

「どちらかに偏らないように意識することが重要です。肉も魚も良質なたんぱく源ですが、脂には明確な違いがある。魚の脂は血流改善効果があるが、肉の脂は摂りすぎるとドロドロの血を作る原因になりうる。特に高脂血症や動脈硬化などの生活習慣病が気になる人は“魚の比率を少し多め”を意識してください」

 あいこ皮フ科クリニック院長の柴亜伊子さんも声を揃える。

「肉も魚も種類や部位によって持っている栄養素が異なるため、同じものばかり続けて食べるのではなく、必ずローテーションすること。特にまぐろは水銀も多いため、常食は避けた方がいい。また、肉は価格と健康効果が比例するわけではないということも覚えておいてほしい。霜降りやA5ランクの肉は脂が多く、たんぱく質は少ないです」

 肉や魚以外の食材をきちんと摂ることも忘れてはいけない。

「野菜やきのこ、海藻、発酵食品など、食物繊維が豊富な食材と一緒に食べること。特に肉は単体で食べると腸内の悪玉菌を増やす原因にもなります。また、味つけをシンプルにすることは、余分な糖質・脂質・塩分をカットするだけでなく、添加物を控えることにもつながります。ちくわやはんぺんなどの練り物、ウィンナソーセージやハムなどの加工肉には塩分や添加物が多く含まれるので、加工度の低いものを選びましょう」(松田さん)

 梅雨から夏に向けて、“鮮度”にも注意したい。

「食中毒の発生源となる食品の1位と2位が魚と肉です。魚はなるべく常温の環境には置かず、冷凍の場合、解凍後速やかに調理することが大切です。また、寄生虫のアニサキスはさば、鮭、さんま、いかに多く、胃や腸管に侵入して腹痛を起こします。熱に弱く、低温に強いのが特徴で、酢やわさびでは死にません。加熱調理で防ぎましょう。肉にも大腸菌の0157やカンピロバクターが発生しやすいですが、これらも充分に加熱すれば問題ありません。ただし、ウエルシュ菌をはじめとした加熱しても死滅しない菌もある。鮮度のいいものを選んで買い、鍋に入れたまま放置しないなど保存方法に気をつけるに越したことはありません」(渡辺さん)

 肉も魚もバランスよく食べて元気な体で外に出たい。

※女性セブン2022年7月7・14日号
https://josei7.com/

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