京都通が本当は教えたくない愛しの京グルメ店10選
地元で暮らす人だからこそ知っている、何度も通いたくなる愛すべきお店。粒揃いの通好みの名店が、京都にはたくさんありました。そこで、本当は教えたくないお気に入りの名店を、京都通のみなさんがこっそりと教えてくれました!
京都で乾杯!
昭和の頃から酒場文化が花開き、個性豊かでディープな店が多い。実は知らない京都の裏の顔――。
■京極スタンド
地元で愛され続ける昭和レトロなハイカラ酒場
正午の開店と同時にあっという間に満席! みんな笑顔で昼からグビッと飲み始める地元民の集いの場。
昭和2年創業、当時は“10銭均一”で繁盛していた『京極スタンド』は、いまも変わらず庶民の味方。5種のおつまみと赤ハイ(赤ワインのハイボール)はセットでなんと1100円!売り切れ御免の自家製コロッケや好きな酒で作れるクリームソーダ(650円)も人気。
●紹介者 京都カメラマン 中田昭さん
「昭和レトロな雰囲気で、お客さんの幸せな顔が店の良さを物語っています。『柳川のひとり鍋』がぼくのお気に入り」
■京極スタンド
住所:京都市中京区新京極通四条上ル中之町546
■酒処 てらやま
酒好きが集まる通好みの隠れ家
細い路地の奥にひっそりと佇み、隠れ家のような雰囲気。京都の人気店『食堂おがわ』で修業した店主の寺山主一さんが2017年に独立し、いまや知る人ぞ知る名店に。潔く素材の味を生かしたシンプルな料理が酒を誘う。
鯖のきずし(1320円)、ぐじの炭火焼(1980円)など京ならではの肴を自家製レモンサワー(660円)で。
●紹介者 タレント 安田美沙子さん
「目の前で焼き上げる和牛サンドイッチ(2200円)は、ライブ感もあってペロリと食べられます。意外ですが納豆バニラアイス(440円)もヤミツキに!」
■酒処 てらやま
住所:京都市下京区綾小路通足袋屋町317-11
■そ/s/KAWAHIGASHI
五感で日本の食文化を伝える
京都で予約が取れないと名高い料亭『草喰(そうじき)なかひがし』店主の息子・中東篤志さんの店が、鴨川の東側に2019年にオープン。「食・酒・茶」の3つをいつでも好きなスタイルで自由に楽しめ、女性1人でも気軽に入りやすい。
福井県小浜市直送の福井サーモン塩麹マリネ(1200円)には、目の前で焙じるほうじ茶ハイボール(1500円)を合わせて。
●紹介者 KBS京都 アナウンサー 海平 和さん
「波平さんが握る塩むすび(2個700円)は幸せな気持ちになります。お茶も豊富で、居心地がとってもいい。私の隠れ家」
■そ/s/KAWAHIGASHI
住所:京都市左京区丸太町通川端東入ル東丸太町18-5
■COPPIE(こぴゑ)
目にも舌にも革命的! ワールドワイドな一皿
“4人の家に遊びに来てもらう”をコンセプトに、2組の夫婦が営む無国籍料理店。築85年の町家をリノベーションし、洗練された店内は居心地がよく、懐かしさを感じる。手羽先の中に自家製の肉だねを詰め、皮はパリッと中はジューシーに焼き上げた手羽先サルシッチャ(1本500円)や鯨のなめろう(2500円)など料理もユニーク!
●紹介者 編集者・ライター 中井シノブさん
2021年に開業したお店です。元イタリア料理人のシェフの料理は、 ほかにはない独創的なものばかりで、どれもおいしいです。
■COPPIE(こぴゑ)
住所:京都市下京区高辻猪熊町367
京の粋に酔いしれて
京都は和食の原点。昔なじみの老舗から、新進気鋭の名店まで。
■京料理 さつき
鴨川を望んで味わう京会席
女将・柴田幸子さんの母が昭和36年に開業。現在は木屋町通にある築150年の旅館を改装し、伝統的な京会席を味わえる。鴨川を望む個室があり、初夏には鴨川納涼床の用意も。計10品ほどのコースで8500円~。
●紹介者 京都カメラマン 中田昭さん
「先代の頃からなじみの店。女将の人柄が魅力的で、京の奥座敷に踏み入るような風情がある」
■京料理 さつき
京都市中京区木屋町通二条下ル上樵木町495
■日本料理 研野
斬新な発想で風穴をあける気鋭のネオ日本料理
『菊乃井』で10年修業し、ミシュラン1つ星の『LUURA°』と、中国料理『京、静華』で研鑽を積んだ32才の料理人・酒井研野さんが2021年3月に開店。
「日本人になじみのある食べもの」を日本料理の定義とし、焼豚やラーメンも自由にアレンジ。豊かな発想の料理で食通たちを唸らせている。要予約(コース1万6000円、サービス料なし)。
●紹介者 菊乃井 代表取締役 村田吉弘さん
「まだ開店間もないですが大評判に。いままでにない新しいタイプの日本料理店です」
■日本料理 研野(けんや)
住所:京都市左京区岡崎徳成町28-22
変わらぬ味を守る
愛され続ける洋食店や町中華は、京の人たちの胃袋を満たしてきた。
■芙蓉園
父の味を受け継ぐ優しい味わいの京中華
「京中華」は油控えめでにんにくや香辛料を使わず、鶏がらや昆布だしを使った優しい味が特徴。京中華の名店『飛雲』で修業した父の味を息子の加地数男さんがいまも受け継ぐ。甘い半熟卵がトロトロの鳳凰蚤(おうほうたん)(770円)、皮から手作りするサクサクの春巻(880円)は外せない。
●紹介者 菊乃井 代表取締役 村田吉弘さん
「他にはない京都ならではの中華料理がここにはあります。私の定番は鳳凰蚤と春巻。昔から大好きな味なんです」
■芙蓉(ふよう)園
住所:京都市下京区河原町四条下ル三筋目東入市之町240-1
■洋食のみしな
文豪や食通たちに愛された 京の洋食文化の原点
昭和23年創業。花街・祇園にあった人気洋食店『つぼさか』を継ぎ、現在は清水二寧坂で創業者の妻と子の3人で変わらぬ味を守り続ける。谷崎潤一郎や川端康成など文豪たちにも愛された美しいエビフライはまるで芸術品。カニクリームコロッケとエビフライの盛合わせは、ランチタイムはお茶漬け付き(2800円)。
●紹介者 菊乃井 代表取締役 村田吉弘さん
「少年時代から通う店。京都の最後の洋食職人の味を引き継いだ息子さんの料理は本物です」
■洋食のみしな
住所:京都市東山区桝屋町357
一品入魂
ひとつの料理に集中することで、美味を徹底的に追求。そこには愚直な職人魂が。
■セクションドール
究極の黄金比率。唯一無二のタンドリーチキン
料理はタンドリーチキン(1900円)ただひとつ。「黄金比率」という意味の店名の通り、店主がとことんこだわり抜いた一皿はまるでアート作品のよう。300℃の過熱蒸気で焼き上げると油が落ちて皮はパリッ、中はふっくら。日本全国、ここでしか味わえない究極の一皿だ。
●紹介者 MKタクシー 運転手 三木諒太さん
「チキンはもちろん、野菜が甘くて感動します! 店内のインテリアにも店主のこだわりを強く感じますよ」
■セクションドール
住所:京都市左京区岡崎西天王町84-1 M&M’s APARTMENT 1F
■無添加たこ焼き こはく
店主の情熱が詰まった 琥珀色に輝くたこ焼き
小麦粉、たこ、油やソースに至るまで、オーガニックや無添加の食材だけで焼き上げる。なめらかで繊細な生地はふわとろでひゅるっと伸びる。味は季節限定を含め約5種類で、中でも人気は塩ごま油(650円)。新食感をお試しあれ。
●紹介者 KBS京都 アナウンサー 海平 和さん
「京都生まれの体に優しいたこ焼き。イートインもでき、女性でも気軽に入りやすいので、ぜひおやつに食べて欲しい!」
■ 無添加たこ焼き こはく
住所:京都市左京区高野東開町11-1
教えてくれた人
■KBS京都 アナウンサー 海平
京都生まれ京都育ち。報道やスポーツに加え、祇園祭や五山の送り火など特番のMCやリポートも務める。経済情報番組『京bi z』(KBS京都系)を担当。京都を一言で表すと:伝統と革新
■京都ライター 江角悠子さん
寺の長女で京都に憧れ、京都に移住し25年。京都在住ライターとして雑誌などで執筆。共著に『京都、朝あるき』(扶桑社)など。『書くを仕事に!京都ライター塾』を主宰。京都を一言で表すと:永遠に謎
■SAVVY編集長 竹村匡己さん
京阪神地区の女性向けにグルメやファッション、暮らしの情報を発信する『SAVVY』の編集長。 毎年京都特集を刊行している。自身も京都市伏見区出身で、好きなお菓子はそばぼうろ。京都を一言で表すと:アップデートし続ける
■狂言師 茂山逸平さん
二世 茂山七五三の次男として京都で生まれ育つ。狂言師として狂言の魅力を伝える傍ら、NHK連続テレビ小説や舞台などにも出演。『茂山逸平 風姿和伝 ペペの狂言はじめの一歩』(春陽堂書店)。京都を一言で表すと:昔からの日本人の当たり前
■編集者・ライター 中井シノブさん
京都在住。情報誌の編集長を経て、フリーの編集・ライターとして活躍。“365日外食”を掲げ、京都の飲食店取材は1万軒以上。著書に『京都女子酒場』(青幻舎)など。京都を一言で表すと:古くて新しい街
■京都カメラマン 中田昭さん
「京文化」をテーマに、風景や祭りなどの撮影を続ける。著書に『・京・瞬・歓・』(京都新聞出版センター)など多数。JR東海「そうだ 京都、行こう。」ポスターなども撮影。京都を一言で表すと:毎日が刺激的
■MKタクシー 運転手 三木諒太さん
京都好きで大学進学をきっかけに京都に暮らす。ドライバーの傍ら、SNS担当として京都の情報を発信。MK貸切観光タクシー・ハイヤーはこちらに。京都を一言で表すと:伝統を守り続けた観光都市
■菊乃井 代表取締役 村田吉弘さん
13年連続でミシュラン3つ星を獲得する京都の老舗料亭『菊乃井』の3代目。NHK『きょうの料理』などに多数出演し、家庭で作りやすい和食を広めている。京都を一言で表すと:日本文化の最後の砦
■タレント 安田美沙子さん
京都出身。宇治市観光大使。タレント、女優、食育インストラクター、ランニングアドバイザーとしても活躍。近著に『安田美沙子のRunから始まる笑顔な暮らし』(小学館)。京都を一言で表すと:宝箱みたいな場所
撮影/北原千恵美、山崎純敬、二村海 取材・文/岸綾香
※女性セブン2022年4月21日号
https://josei7.com/