世界一の女性杜氏が作る“究極の食中酒”「JALファーストクラスに採用され、業界に新風を吹き込んだ」
創業約150年の老舗酒蔵・新澤醸造店。人気の「伯楽星 純米大吟醸 桜」が日本航空のファーストクラスに搭載されるなど、世界中で愛される酒造りを続けている。世界一の称号を獲得した女性杜氏が丹精を込めてつくり上げる様子と、熱い想いをうかがった。
宮城県・新澤醸造店
宮城県大崎市にある、新澤醸造店がつくる『伯楽星』のコンセプトは“究極の食中酒”。食材の持つ味を最大限に引き出し、料理を引き立てる。単体でも飲みやすいが、食事と合わせると旨みが格段に増すのが特徴的だ。
「糖度を低めに設定しているためサラリとした飲み口で、名脇役になれるお酒です。個性を主張しすぎず、料理とオールマイティに相性がいいんですよ」と杜氏の渡部七海さん(26)。
入社3年目、22才のとき(当時全国最年少女性杜氏)には「ブリュッセル国際コンクール」の日本酒部門「SAKE selection 2018」の本醸造酒部門で世界一の称号を獲得。
「蔵人全員が最高の酒造りを目指したからこその賞。チームの力が強いと思います」と渡部さんは言う。
しかし醪の状態の見極めや、いつどのタイミングで酒を搾るかは杜氏の判断となる。
「出来に安定感が出てきたねという言葉をいただくとうれしいですね。よりよい商品を届けたいという気持ちで造っているので、今年もおいしいねと言われると励みになります」
創業1873年という老舗の伝統と、「伯楽星」「愛宕の松」という二大看板を背負った若き醸造家。その手で生み出す日本酒が、業界に新風を吹き込んでいる。
新澤醸造店の酒造り
【1】すっきりとした味わいの酒に仕上がる宮城の酒造好適米「蔵の華」などを使用。
【2】日本酒は添、仲、留の三段階に分ける「三段仕込み」が一般的。取材日は「添」と「留」のタンクで櫂入れが行われた。タンク内の温度が高いときは氷を投入する。
【3】蒸し上がった酒米は放冷機で冷却され杜氏や蔵人が手でほぐす。
【4】感触を確かめながら酒母や麹米など使用目的に合わせた適温に冷ましていく。
【5】仕込み水は蔵王連峰の伏流水。
【6】自社で6台の精米機を有し、1%未満までの精米(磨き)を可能にした。また、米表面の不要なたんぱく質のみを取り除く最新の精米技術「扁平精米」を取り入れ、より雑味のないキレのある味わいを実現。
教えてくれた人
新澤醸造店 杜氏 渡部七海さん
神奈川県大和市出身。東京農業大学短期大学部を卒業後、新澤醸造店に入社。2018年に杜氏に抜擢され、最年少女性杜氏となった。
■新澤醸造店
住所:宮城県大崎市三本木北町 63
公式サイト:niizawa-brewery.co.jp
撮影/浅野剛 アドバイザー/梅谷曻 取材・文/藤岡加奈子
※女性セブン2022年3月3日号
https://josei7.com/
●酒の適量は「ビール中瓶1本、チューハイ350ml缶1本。少ないと嘆かず週の総量で調整を」【医師監修】