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健康

”大腸がん”を防ぐ6つの習慣「毎日スプーン1杯のオリーブオイルを」【医師監修】

 女性のがん死亡率1位は“大腸がん”で、年間2万4070人が命を失っているという(厚生労働省「2020年人口動態統計」より)。大腸がんのリスクを下げるためにどのようなことをすればよいのだろうか。そもそも、大腸がんとはどんな要因で起こるのかを含めて、医師・専門家に教えてもらった。

大腸がん予防のためにできること

 いわゆる“がん家系”でなかったとしても定期的な検査は必須だ。内視鏡専門医で藤井隆広クリニック院長の藤井隆広さんによれば、大腸がんの場合、7割以上の罹患者が遺伝的な要因とは無関係だという。

1.検診は一番の予防法

「胃がんの原因はほぼピロリ菌だと解明されていますが、大腸がんの原因はまだはっきりとはわかっていません。大腸がんの場合、遺伝的な要因は約25%だといわれています。つまり健康な生活を心がけていて、家族にがん患者がいない人でも罹患するということ。いちばんの予防法は検診です」(藤井さん)

 検診をしっかり受けたうえで、生活面で予防できることもあると藤井さんは続ける。

2.喫煙と飲酒を控えよう

「喫煙と大量の飲酒が大腸がんのリスク要因であることは、さまざまな研究やデータによって明らかになっています。たばこはやめて、お酒は適量にすること。ウオーキングなどの運動も心がけてほしい。国立がん研究センターの発表でも、適度な運動と体重維持はがん予防効果があるとされている」

3.ウオーキングで腸を活性化

 がん予防のための運動は、便秘の予防・解消にもつながる。鳥居内科クリニック院長で消化器内科医の鳥居明さんが言う。

「便秘対策にも、腹筋を鍛えるような特別な運動より、ウオーキングがおすすめです。毎日、5分でも10分でもいいので歩くようにしましょう。歩くことで腸の周りが刺激され動きも活性化します」

 腸を活性化させるには、腹部のマッサージも効果的だ。

「大腸の流れに沿って『の』の字を書くようにマッサージしてください。特に腸が曲がっている部分は、便が通過しにくく、ガスがたまりやすいため、軽く押すように揉むとより効果的です。特に左下のみぞおちの下あたりは便やガスがたまりやすいため意識して押してみて」(鳥居さん・以下同)

4.腸を活性化させるマッサージ

【1】から【5】までを「の」の字を書くように順番に揉み込んでいく。【3】の部分は特に便がたまりやすいため、強めに押すことを意識して。

5.発酵食品、食物繊維と”水”で快便に

 運動とマッサージで外側から腸を刺激することと並行して取り組みたいのが、内側から快便を促す食生活の改善だ。

「腸内環境を良好に保つために、善玉菌をふんだんに含むヨーグルトや納豆などの発酵食品は積極的に摂ってほしい。便を軟らかくする食物繊維も意識して食卓へ。特に多く含むのはごぼうやきのこ、大豆などの豆類、いも類、海藻類です。

 加えて水分もしっかり摂ることを意識して。この時期は乾燥しがちなうえ、寒さで水分補給が滞り、体の水分量が不足することで便が硬くなる人も多いのです。温かいお茶などをいつも近くに置いて、のどが渇いたらすぐに飲むようにするといいでしょう。目安は1日1~1.5Lです」

6.オリーブオイルは毎日スプーン1杯

 便秘外来を開設し、『健康の9割は腸内環境で決まる』(PHP新書)などの著書がある松生クリニック院長の松生恒夫さんは、便通をよくするには適度な脂質も必要だと強調する。

「良質な脂質を摂るには、オリーブオイルが最適です。毎日、スプーン1杯を目安に摂ること。オレイン酸は大腸内で潤滑油の働きをして、便の流れをスムーズに整えてくれます」(松生さん)

症状があれば即病院へ

 予防に努めつつ、病気が疑われる症状があれば、ためらわずにすぐ病院へ行こう。

「急に便が細くなったり、ひどい便秘になったら、直腸がんが進行している可能性があります。大腸内視鏡の検査を受けられる専門の病院にかかってほしい。ただし、医師が患者の腸内に内視鏡を入れて腫瘍を確認する検査のため担当医の腕に左右される局面は少なくありません。不慣れな医師が担当すれば痛みを伴うばかりか、がんを見落とす可能性すらあります」(藤井さん)

 つまり、腕のいい医師を探すことが肝要だということ。藤井さんは判断基準として「拡大内視鏡」保有の有無を挙げる。

「拡大内視鏡は、その場で病変を最大100倍まで拡大できる内視鏡で、良性か悪性かの可能性も含めてその場で医師が診断できます。日本における普及率は20%程度と低く、導入している病院は能力の高さを反映し、検査の症例数も多いと考えられます」

 排便時の出血や違和感、痛みなど肛門に関する悩みは、早めに専門の医療機関にかかってほしいと草間さんはアドバイスする。

「肛門科は恥ずかしいから、と婦人科に行く人も多いですが、婦人科的な疾患に問題がないときは最近は女性専門の外来を開設するクリニックも増えてきています。受診してみたら、案外治療に伴う恥ずかしさや恐怖がなくなったという女性は多いのです」(草間さん)

 腸が発するSOSを聞き逃さないようにしたい。

腸の病気リスクを上げる・下げる行動まとめ

■“大腸がん”リスクを上げる行動

<喫煙>
 ニコチンには発がん性物質が。少量であってもリスクを上げるため、すぐにやめるべし。

<飲酒>
 適量ならば問題ないが、毎日であったり大量であったりすればがんリスクを高める。

■“大腸がん”リスクを下げる行動

<検診>
 特に大腸がんは遺伝的な要素は約25%。予防には検診で早期発見するのがいちばん。

<運動>
 ウオーキングなど、軽い運動はがんも便秘も予防できる。特にステイホームが続くいま、積極的に体を動かすことは痔の予防にもつながる。

<正しい食生活>
 食物繊維やオリーブオイル、発酵食品で腸内環境を整えることは便秘や下痢を予防し、腸や肛門の病気を遠ざけてくれる。

※女性セブン2022年3月3日号
https://josei7.com/

●お腹にガスがたまる…その理由と対処法|放っておくと大腸がんに!?

●「便秘治療ガイドライン」便秘薬のみ続けると大腸がんも!?

●全国「大腸環境実態調査」で判明した“快便偏差値” 1位静岡県、47位長崎県の理由

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