トイレで突然死も!便秘に潜む命にかかわる恐ろしい大病【医師監修】
便秘に悩む人は年齢にかかわらず多くいる。長年の便秘が引き金となり、大病や突然死を招くケースもあるという。便秘にまつわる病についてくわしい医師が、危険なサインや事例を教えてくれた。
便秘が引き起こすトイレでの突然死
便秘に悩む女性は多く、その数は男性の2倍とされているうえ、ステイホーム生活でその数はさらなる増加が予測される。毎日の小さな不調が大病につながる可能性があるとすれば、放っておくのはあまりに危険だ。
鳥居内科クリニック院長で消化器内科医の鳥居明さんは、便秘そのものが死に直結するケースもあると警鐘を鳴らす。
「その1つが、トイレでの突然死です。便秘の状態で強くいきむと、血圧が急上昇するため、心臓や血管に大きな負荷がかかり、狭心症や脳梗塞を引き起こす可能性があります。高齢者がトイレで倒れて、そのまま亡くなることも珍しくありません。実際に、排便頻度と循環器疾患との関係を調べた研究では、明らかに有意差が出ています。排便が『4日に1回以下』と『2~3日に1回』の群を比べると、『4日に1回以下』の群は循環器系の疾患が多く、寿命が短くなる傾向があります」(鳥居さん・以下同)
恐ろしいのは突然死だけではない。
「便が硬くなりすぎて自力で排便できなくなると、腸の中で内容物が停滞し、腸管が機能しなくなる『腸閉塞』や、ひどい便秘に伴う激しい腹痛によって脈拍や血圧が急激に低下し、意識を失うこともある『迷走神経反射』が起きることもあります。21才の女性がトイレの前で倒れていて、亡くなった事例も報告されています」
便秘に潜む命にかかわる大病
病気を引き起こすリスクファクターになりうる一方、便秘が命にかかわる疾患の兆候であるケースもある。内視鏡専門医で藤井隆広クリニック院長の藤井隆広さんが解説する。
「慢性的な便秘だと思っていたら大腸がんだったという症例は珍しくありません。大腸がんは進行すると腫瘍によって腸が細くなるため、便が細くなったり、便の流れが止まってしまい、便秘を引き起こすことがあるのです。特に急に起こった便秘には注意が必要です」(藤井さん)
腫瘍の存在が便秘を引き起こすのは大腸がんに限らない。鳥居さんは、ほかのがんが見つかる可能性を指摘する。
「子宮がんや卵巣がんの腫瘍によって腸が圧迫され、便秘になる場合もあります。こうした腫瘍による便秘の場合、排便してもお腹が張って、不快感があるのが特徴です。がんのほかにも、近年の研究により、パーキンソン病やレビー小体型認知症の初期症状として、自律神経の働きが不調になり便秘になるケースがあることも明らかになりました。糖尿病をはじめとした代謝疾患も同様で腸の動きが悪くなるため、便秘になりやすいといわれています」(鳥居さん)
※女性セブン2022年3月3日号
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