「子宮筋腫」が招く不調5つのチェック 50代以降は子宮肉腫リスクも【医師監修】
女性の3人に1人が経験している子宮筋腫。子宮筋腫は子宮の筋肉にできる良性の腫瘍だが、まれに悪性・がん化するものもあるという。その場合、コロナ禍であっても、すぐに病院で診察する必要がある。見極めのカギになるポイントや医師の解説、セルフチェック法などを紹介します。
子宮筋腫と見分けがつかず半年で転移する“がん”
子宮筋腫と思っていたら、実は命にかかわる悪性の腫瘍だったというケースも知っておかなければならない。症状が同じで見分けがつきづらいにもかかわらず、予後が悪い「子宮肉腫」だ。子宮肉腫は、子宮の筋層にできる悪性の腫瘍で、がんのようにほかの部位に転移することも。そのため早期発見、早期摘出がカギとなる。
30代から複数の子宮筋腫の経過観察をしてきたという福岡県の渡辺清美さん(54才・仮名)が次のように語る。
「事務職なので、腰の痛みをただの座りすぎだと思い、整骨院に通っていました。でも、1年以上通っても、腰の痛みが改善されず、ある夜、突然激しい下腹部痛におそわれ救急車を呼びました。検査を受けると、子宮肉腫が疑わしいとのこと。すぐに摘出手術を行いました。もう閉経しているし、子宮の病気は関係ないと思っていたのが間違いでした…」
子宮筋腫が若い世代にも見られるのとは対照的に、子宮肉腫は50代以降にリスクが高まる。この世代で大きな腫瘍を持っている人は要注意だという。
「まれなケースではありますが、子宮筋腫が悪性化して子宮肉腫になることも。子宮筋腫が大きい場合、増殖傾向の強い細胞の可能性があり注意が必要です。閉経した後も4か月から半年ほどのスパンで経過観察をした方がいいでしょう」(矢内原さん)
その不調、摘出した方がいい子宮筋腫のせいかも!
あなた不調も子宮筋腫によるものかもしれません。まずは、5つの項目でセルフチェックしてみてください。1つでもあてはまるものがあれば、病院での診察をおすすめします。
□ 頻繁にめまいや立ちくらみがする
□ 1日に15回以上、トイレに行く
□ 便秘や下痢が続く
□ 整体やマッサージを受けても腰痛が治らない
□ 下腹部がぽっこりと出てきた
※当てはまる人は、子宮筋腫による症状の可能性がある。チェック項目は医師の監修をもとに編集部で作成。
進行が早く半年で命を落とすことも
しかし子宮肉腫は見分けるのが極めて困難だという。
「まずは超音波検査とMRI検査を行う。疑わしければ切除して病理検査をし、そこで初めて子宮肉腫かどうかが判断できる。子宮肉腫は進行が速く、半年で命を落とすこともある。異変を感じたらすぐに婦人科を受診してください」(矢内原さん)
さらに、「子宮体がん」も50~60代で発症しやすい病気だ。子宮体がんは、子宮内膜から発生するがんで、不正出血や下腹部痛などの症状が表れる。手術では、子宮や卵巣、卵管が全摘されることが多い。
「肥満傾向の人や、糖尿病、近親者に大腸がん罹患者がいる、出産経験がない、初潮が早かった、閉経が遅い、などに当てはまる人は子宮体がんのリスクが高い場合があるといわれています。子宮肉腫と比べ、進行がゆっくりではありますが、体のほかの場所に転移することもあります。通常の子宮がん検査では子宮頸がん検査しか行いません。不正出血などの異常があれば、子宮体がん検査も受けておきましょう」(高橋さん)
閉経=婦人科卒業ではない。毎月のリズムがなくなり、注意が疎かになる閉経後こそ、自分の体との対話を忘れないようにしたい。
※女性セブン2021年12月16日号
https://josei7.com/
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