硬いお尻が不調を招く コリは3つの筋肉が重なりあったポイントに注目!探し方、ほぐし方
常に目に入る顔や髪の毛、脚にくらべ、お尻はふだん見ることが少ない分、ついケアを怠りがち。でも、実は女性の美と健康のカギを握る重要なポイントなのです。特に、テレワークなどで座りっぱなしの生活が増えた私たちのお尻はこり固まり、このままでは全身の不調を招く可能性が!? ちょっと触ってみてください。もし、あなたのお尻が硬ければ、いますぐお尻ほぐしを始めましょう!
自分のお尻見ていますか?
理想はハリがあってプリッと上がったお尻。だが、「自分のお尻の状態を知らない人が多すぎる」と“お尻先生”の異名を持つ、鍼灸師の田口咲さんは言う。
「鏡に映したり、スマホで低い位置から自撮りをしたりして、自分のお尻を客観的に見たり、あるいは、手で触って硬さや体温を確認するのが大切です。下のイラスト【1】~【5】に当てはまる人は、残念なお尻です。特に、【1】の『こり尻』の人が多いのですが、1日3分のケアで、お尻は劇的に変わってきます」
自分のお尻はどうですか?
あなたのお尻はどのタイプ?
さっそく自分のお尻を確かめよう!
【1】こり尻
座りっぱなしで硬くこり固まる
長時間座りっぱなしの姿勢でいることで、お尻の血流が悪くなり、こり固まったのが“こり尻”。運動不足や便秘がちの人に多い。こり尻の状態が続くと、お尻の形が崩れ、下半身の血流が滞って足の冷え、むくみを招いたり、腰痛の原因にもなる。
【2】冷え尻
無自覚の人が多く、 触るとひんやり
手足の冷えのように意識されることが少ないが、大半の女性は“冷え尻”の傾向にある。長時間の座り姿勢や運動不足が主な原因で、猫背や睡眠不足、冷たいものを好んで食べる人にも多い。婦人科系の不調を招きやすいので注意。
【3】セルライト尻
老廃物が脂肪細胞に 付いて肥大化
お尻の血流やリンパの流れが悪くなると、老廃物が排出されずに脂肪細胞に付着して肥大化してセルライトになり、デコボコ肌に。こり尻、冷え尻が進むとお尻にもセルライトが押し寄せる。肥満ぎみで脂肪が多い人もなりやすい。
【4】げっそり尻
筋肉が落ち、丸みがなくて扁平
運動不足でお尻の筋肉が減ってしまうと、お尻に丸みがなくなり、扁平でげっそりした形になってしまう。極端なダイエットや、偏った食生活で筋肉の材料になるたんぱく質が不足しても、“げっそり尻”になりやすい。
【5】垂れ尻
位置が下がって 太ももとの境目ナシ
運動不足などで筋肉が減ると、お尻の厚みがなくなり、位置が下がって太ももとの境目もなくなり“垂れ尻”に。ひざを曲げて歩くくせがあると、お尻の筋肉を使わないため、“垂れ尻”を招きやすいので注意したい。
「やわらかお尻」は全身の健康&きれいの必須条件
自分の理想のボディーラインに近づくためには、「とにかくやせたい」「お腹をへこませたい」「美脚になりたい」、さらには「小顔になりたい」など、人それぞれに願望がある。
だが、「お腹より、脚より、お尻をほぐすのが近道」と前出の田口さんは言う。
「さまざまな“きれい”を目指すかたに、これまで施術を行う中で、『小顔になりたい』というかたに顔のケアだけを行った場合の効果は限定的でしたが、お尻も併せてケアすると、俄然、効果が上がります。痩身希望の人も、O脚や冷え、生理不順などの悩みもお尻をケアすると目に見えて、結果が違ってくるんです!」(田口さん・以下同)
なぜそうなるのか。それは、お尻には大切な3つのポイントがあるからだ。
注目は3つの筋肉が重なる「ミルフィーユポイント」
お尻のもっとも大きい筋肉は、お尻全体を包み込むように存在する大殿筋(だいでんきん)で、体の中で2番目に大きな筋肉でもある。さらに、その下には中殿筋(ちゅうでんきん)や小殿筋(しょうでんきん)などの多くの筋肉があるが、お尻上部のやや外側で、この3つの筋肉は重なり合っている。
「ここを私は“ミルフィーユポイント”と名付け、お尻の硬さを見るための重要ポイントと考えています」
★大きな筋肉が重なる場所それが「ミルフィーユポイント」
お尻を大きく包み込む大殿筋(だいでんきん)の下には、中殿筋(ちゅうでんきん)、小殿筋(しょうでんきん)、梨状筋(りじょうきん)などが重なり合っている。
お尻は本来、適度な弾力があり、ほどよくやわらかいのが理想的。しかし、座っている時間が長い現代人のお尻は、ミルフィーユポイントが硬くこり固まってしまう。
「お尻は上半身と下半身のちょうど真ん中にあるため、ここが硬くなれば全身の筋肉にも波及し、しなやかさが失われてしまいます。そうならないためにもお尻をほぐし、常にやわらかくしておくことが大切です」
「ミルフィーユポイント」をほぐすメリット
ミルフィーユポイントは左右のお尻にあり、触ると痛みを感じることが多い。
ここを集中的に刺激し、こりをほぐせば全身の筋肉が一気に緩み、血液やリンパの流れが促される。筋肉がやわらかくなれば、ヒップアップするだけでなく、冷えやむくみも改善。足の筋肉バランスも整い、O脚も改善しやすくなる。
★表面から重なる順
「お尻ほぐしは、自分の生活習慣に合わせ、いつ行ってもOKです。朝行えば筋肉がほぐれて終日活動しやすくなりますし、筋トレの前に行うのも効果的です。夜の入浴後や就寝前に行えば、血行促進効果が高まり、スムーズに入眠できますよ」(田口さん)
「ミルフィーユポイント」の探し方
【1】かかとを合わせてまっすぐ立ち、足先を少し外側に開く。左右の腰骨の上に手を置き、親指を中央に寄せて合わせる。
【2】【1】の手の位置から、親指以外の指を斜め45度に下ろし、左右のお尻のやや外側の位置を押して、痛い部分がミルフィーユポイントだ。
「ミルフィーユポイントほぐし」でこりを撃退!
【1】両足を左に出して横座りに
床に座ってひざを軽く曲げ、両足を左に出して横座りをする。
【2】床に座ってひざを軽く曲げ、両足を左に出して横座りをする。
体を右に倒して右のひじの下側を床につけ、左手は軽く床に置く。股関節の外側に張り出した部分(大転子)が床に当たって痛い場合は、タオルを敷くとよい。
【3】両ひざを“立てる⇔倒す”を繰り返す(左右各5回)
両ひざを軽く曲げたまま、ひざを立てたり倒したりして、脚をゆらす。このとき、右尻のサイドに近い部分にあるミルフィーユポイントに刺激を受け、軽い痛みを感じればOK。
これを5回繰り返したら、逆に横座りし、左尻にあるミルフィーユポイントも刺激しよう。
【後ろからチェック!】
【OK】ひじ下を床につけ、上体をしっかり倒す
腰が床に近づくよう、下側の腕のひじの下側を床につければミルフィーユポイントを刺激しやすい。立った状態でポイントがわからなくても、この姿勢なら見つけやすい。
【NG】腕を伸ばして座ると、 ポイントが刺激できない
ミルフィーユポイントは腰に近い部分にあるため、体の倒し方が不充分だと刺激できないので気をつけよう。
教えてくれた人
田口咲さん/鍼灸師
「鍼美salonゑまひ~EMAI~」代表。著書は『全身きれいになりたければ、お尻だけほぐせばいい!』(講談社)。
取材・文/山下和恵 イラスト/藤井昌子
※女性セブン2022年12月9日号
https://josei7.com/
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