足が冷たい!女性の7割が”冷え”を自覚 4つのタイプ別・原因と対処法【医師監修】
寒い夜、「布団に入っても足が温まらない」「湯たんぽや電気毛布を利用してもなかなか眠れない」などと悩む女性は多い。自分なりに対処しているのに効果が感じられないのはなぜなのか。まずは、自分の「冷え」のタイプを知ることから、対策を始めてみよう。
日本人女性の7割が「冷え」を自覚
日本女性の約7割が「冷え」を自覚し、そのうちの9割以上が「手先・足先など末端が冷える」と訴えているという(江崎グリコの「冷え性に関する調査」全国の20~60代の女性500人を対象に2018年10月実施)。
「冷えを自覚していなくても、鍼灸治療に来院される患者さんの足を触ってみると、多くのかたに冷えがみられます」と言うのは、鍼灸師で理学博士の安野富美子さんだ。
「人は手足の先から熱を放散して体の深部体温を下げ、眠りにつきます。足が冷えていると体温が下がらず入眠の妨げになるのです」
それは女性特有の問題でもあるのだとか。医師の石原新菜さんはこう話す。
「そもそも筋肉量が少ない女性は、熱産生量が少なく、体の末端まで血液を届けにくい。それに加えて女性ホルモンのバランスの乱れやストレスの影響でも冷えやすいんです」
石原さん自身、20代前半の頃は冷えに悩んでいたという。
「大学時代は勉強が忙しく、お風呂はシャワーのみ。食生活も乱れがちで、常に冷えを感じていました。便秘や生理不順、足のむくみ、肩こり、頭痛、肌荒れなど…とにかく絶不調で、『冷えは万病のもと』を実感したからこそ、温めることの大切さを断言できます」(石原さん)
足が冷たくて眠れない人は、体の冷えが進行して深刻な状態にあると石原さん。
病を呼び込まないためにも、温め方や血流を促進するやり方などとともに、冷えを根本から改善する方法をマスターするのが重要だ。
4つの「冷え」タイプ あなたはどれ?
まずは、自分の冷えのタイプを知ろう。
【1】四肢末端型冷え症
□手や足、特に先の部分が冷たい
□寒い場所では手足の先から冷えやすい
□しもやけやあかぎれになりやすい
□ふだん、汗をあまりかかない
□冷えると肩こりや頭痛も感じる
ダイエットによる食事量の不足や運動不足によって、体を温める熱を充分つくり出せず、体温の低下を防ぐために交感神経が過剰に働き、手足の末梢血管を収縮させることから起こる。10~20代の若い女性ややせ型で小食の人に多い。
【2】内臓型冷え症
□手も足も温かいが、お腹やお尻が冷たい
□全身に汗をかき、冷えやすい
□厚着をしていても冷えを感じる
□寒い場所では、下腹部、太もも、二の腕が冷えやすい
□冷えると腹痛や張りを感じることがある
交感神経の働きが弱いために末梢の血管が収縮せず、体の表面は温かいのに体内から熱がどんどん逃げ、体の深部が冷えてしまう。手足が温かいため自覚しにくいが、放っておくと内臓の機能低下の原因にもなるので要注意。やや小太りの中高年の女性に多い。
【3】下半身型冷え症
□足は冷たいが、手は温かい
□汗は上半身にかきやすく、顔がほてる
□寒い場所では、足先やふくらはぎが冷えやすい
□足がむくむ
□座っている時間が長い
座っている時間が長いとお尻など下半身の筋肉がこり固まり、下半身の血流が滞るために冷えてしまう。一方、上半身に血液が巡るため「冷えのぼせ」の症状が起きやすい。30代以上の中高年に多く、更年期の女性にも多い。
【4】全身型冷え症
□体温が低く、寒がり
□顔色が悪いと言われる
□体がだるくてぐったりしている
□運動不足で筋肉が少ない
□ストレスを感じる
体温が36℃より低く、一年中冷えを感じるタイプ。主に体のエネルギー不足によるものだが、ストレスや不摂生などで基礎代謝が低下して、体内で熱がつくり出せずに冷えることもある。若者や高齢者に多く、甲状腺などの病気が原因の可能性もある。
4つの「冷え」タイプ別・原因と対処法
このように、冷え症は体の冷え方により、4つのタイプに分けられる。
中でも手足の先が冷える「四肢末端型」が最も多い。
「これは体の中心の熱を保つために、体の末端からの熱放散を防ごうとして、手足の血管を収縮させることで起きる症状です。寒いところに行って一時的に起きる場合は問題ありませんが、これが続くと『冷え症』の仲間入りです」(石原さん・以下同)
症状が進むと「下半身型」になり、腰から下がさらに冷えてしまう。
「下半身を巡るべき血液が上半身に集まった状態を『冷えのぼせ』といい、顔や頭など上半身に汗をかくようになります。そのため、暑がりだと勘違いする人もいますが、暑いと感じても足を触って冷たかったら、このタイプです」
さらに冷えが進行すると、「内臓型」になる。
「中高年になると代謝が落ちてくるため、体の中心から冷えやすくなります。これが内臓冷えですが、冷えが進行すると脳が危険と判断し、末端部に血液を送ろうとするため、手足にほてりを感じることも。お腹を触って冷たいときに脇の下で体温を測り、平熱または少し低めの場合は、体の深部が相当冷えている状態です。手足が温かいからと安心してはいけません」
そして「全身型」は、低体温で虚弱体質の人に多い。
どのタイプの冷え症でも、足が冷たくて眠れないときは「足湯で足自体を温め、全身の血流を促す。これがてっとり早い方法です」と、石原さんと安野さんは口をそろえる。
「やや熱めの40~42℃のお湯で、両足のくるぶしから下を温めます。ふくらはぎのむくみが気になるときは、湯量を多めにするといいでしょう。途中で温度が下がらないように差し湯をしながら、10~15分、全身がぽかぽかして顔にうっすら汗をかくまでが目安。湯から上がったら、しっかり水気をふき取り、温まっているうちに布団に入ると寝つきやすく、睡眠の質も上がります」(安野さん)
教えてくれた人
イシハラクリニック副院長・石原新菜さん/医師。父・石原結實氏のクリニックで主に漢方医学、自然療法、食事療法により、病気の治療にあたっている。温活ドクターとして知られ、「冷え」に関する著書多数。
東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授・安野富美子さん/鍼灸師、理学博士。20代後半のとき鍼灸治療で、長年続いた体調不良がすっかりよくなったことがきっかけで鍼灸師に。『東洋医学でカラダと心をセルフケア!』(主婦と生活社)を監修。
取材・文/山下和恵 イラスト/うえだのぶ
※女性セブン2021年12月16日号
https://josei7.com/
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