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健康

専門医が教える理想の「マイ枕」の作り方|タオルと玄関マットで簡単・ぐっすり快眠!

 シニアになると、なかなか寝付けなかったり、寝ても早朝目が覚めてしまうといった悩みをよく聞くが、悩んでいるのはシニアだけではない。厚生労働省「国民健康・栄養調査」(2017年)によると、日本は成人の5人に1人が不眠に悩まされているというのだ。

 たとえ眠れても、朝起きたら首や腰が痛かったり、めまいやいびきに悩まされている、なんてことはないだろうか。それらの不調は、枕を変えると改善するかもしれない。

 整形外科医の山田朱織さんは、長年の臨床経験から、不眠をはじめ肩こりや腰痛、頭痛といったさまざまな不定愁訴の原因に、枕が関係しているとし、患者の体に合った枕をオーダーメードでつくり、治療にあててきた。その結果、肩こりやめまい、頭痛や関節の痛みまで改善されたというのだ。

枕選びで重要なのは“高さ”

 睡眠姿勢を整えるならマットレスを替えた方がいいと思うかもしれないが、枕の方が重要だという。では、最適な枕とはどのようなものなのか。

「重要なのは“高さ”です。一日の疲れを癒すためには、睡眠時に首に負担をかけてはなりません。ですから、首が最適な位置に収まる高さこそ、選ぶ際のポイントになります」(山田さん・以下同)

 そうはいっても、高めの枕の方が快適に眠れるなど、好みがありそうだが…。

「好みとは、慣れによる思い込みです。好みで選んだ枕が心地いいと感じるのは、寝つくまでのわずか数分から数十分のこと。睡眠中の6~8時間はずっと、合わない枕と体が、無意識のうちに格闘していることになります。逆に最適な枕を使っていれば、睡眠中が治療時間になりえるのです」

 正しい枕の高さとは、敷き布団の上に枕を置いて横向きに寝たとき、頭、鼻、あご、胸までのラインがまっすぐになるものだという。枕が高すぎても低すぎても、首は不自然な角度に曲がる。首が曲がるとそれに連なる背骨にも影響を及ぼすため、肩こりだけでなく、腰痛や手足のしびれなどの不調が生じるというわけだ。

→肩・首こり、腰痛、手のしびれ…“枕”が原因で起こる症状チェックリスト

■その枕、本当に合っている? 早速チェック

枕の状態チェックリスト

 1つでも当てはまったら、いま使っている枕は合っていないかも!

□ 朝、起きたときに枕がドーナツ形にへこんでいる
□ 朝、起きたときに枕がずれている
□ 朝、起きたときに枕から落ちている
□ 朝、起きたときに枕を肩下に引き込んでいる
□ 敷物を手で押して寝返りを打つ
□ 枕の下に手を入れている
□ 目が覚めた瞬間から、首・肩・腰などが痛かったり、しびれがある。

自然な寝返りが打てることも重要

「枕の高さが適切だと、睡眠姿勢が整うだけでなく、寝返りも打ちやすくなります。寝返りはとても重要な動きで、大人の場合、一晩で20~30回は打つといわれています」

 体内には、血液やリンパ液、関節液など、さまざまな体液が流れているが、睡眠中もその流れを滞らせないために寝返りを打つ必要があるのだ。また、同じ姿勢でいると、体の下部に熱がこもるため、寝返りを打つことで、全身の体温を調節する意味合いもある。だからこそ、枕の高さは、寝返りを邪魔するものであってはいけないのだ。

「私の病院を訪れる患者さんに横になってもらい、“寝返りを打ってください”と言うと、一度腰や肩を持ち上げて“ヨイショ”とばかりに勢いをつけて転がる人が多いのですが、これは、スムーズな寝返りとはいえません。こうなるのは、枕の高さが合わなくて、転がりづらいからなんです。

 枕の高さは、仰向けの状態だけに合わせるのではなく、寝返りを打って横向きになっても合っていることが重要です。そうでないと、寝返りを打つたびに体に負担がかかり、睡眠が中断されることになります。寝返りのしづらさもまた、不眠の原因になるのです」

 本来、寝返りとは、左右どちらにでも、軽い力で転がるように打つもの。自然な寝返りをするために、敷き布団やマットレスの形状、硬さを気にする人もいるが、まずは枕で自然な睡眠姿勢をつくることを考えよう。

■適切な枕と不適切な枕の特徴は?

適切な枕と不適切な枕の解説画像

○適切な高さ

 仰向けに寝たときの首の角度が15°前後が理想的。

×高すぎる枕

 首にある頸神経が圧迫され、首・肩・腰が痛くなったり、手がしびれやすくなる。下を向いた状態になるので呼吸もしづらくなり、いびきの原因にもなる。

×低すぎる枕

 低すぎても頸神経を圧迫する。首や肩の痛みやしびれの原因に。寝返りしづらいので腰痛の原因になることも。

高さが合っていても1年に1度は調整を

 適切な高さの枕にしたからといって、それをずっと使い続けるのもよくないという。

「やせたり太ったりといった体形の変化や加齢にともなう骨格の変化によって、適切な枕の高さは変わってきます」

 たとえば、体重が増えれば枕の沈み込む度合いが大きくなるので、その分、枕を高くする必要がある。逆に体重が減れば、沈み込みが浅くなるので、低くしなければならない。また、年をとって背中に丸みを帯びてくると、仰向けに寝たときに首が上がるため、枕はやや高くした方がいい。

「体の状態はいつ変化するかわかりませんので、1年に1度は高さが合っているか確認し、調節し直すようにしましょう」

 何度も枕を買い替えるのが大変、という人のために、山田さんが考案した手づくり枕のつくり方を紹介する。ぜひ参考にしてほしい。

枕の専門家が考案!理想の「マイ枕」のつくり方

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