コーヒーに隠された意外な健康パワー5つ|糖尿病、認知症予防ほか病気のリスク軽減する飲み方は?
コロナ自粛の影響で、自宅で本格的なコーヒーを楽しむ人が増えている。仕事の合間にほっとひと息つきながリラックスするだけでなく、さまざまな健康効果があるんです。どうせ飲むなら健康効果を上げる飲み方、しませんか?
健康飲料として注目度が高まっているコーヒー
ひと昔前は、コーヒーを飲むとがんになりやすいといわれていたが、「それはとんでもない誤解」と、金沢大学名誉教授で日本コーヒー文化学会会長の廣瀬幸雄さんは断言する。
「2016年に国際がん研究機関は、“コーヒーに発がん性はない”と発表しています。むしろ、コーヒーは一部のがんのリスクを下げることが、近年わかってきており、健康飲料としての注目度も高まっています」(廣瀬さん・以下同)
そのため、最近は機能性に特化したコーヒーの開発も盛んになっている。
「ドリップパックタイプでも、テアニン配合のコーヒーなどが出ています。これらは従来の栄養に加え、機能性にも特化しているので、健康志向の高い人は、利用してみてもいいと思います」
コーヒーの健康効果を紹介していこう。
病気や老化に強い「クロロゲン酸」が豊富
西暦900年頃のアラビアでは、「体を強くする」「眠気を覚ます」などの薬として、コーヒーが飲用されていたという。それから1000年以上もの長い間、愛され続けているのには、単なる嗜好品ではない、確固たる理由があったのだ。
「たんぱく質や脂質、糖質をはじめ、クロロゲン酸、トリゴネリン、ナイアシン(ビタミンB3)などが含まれています。
その中で、特に注目されているのが、クロロゲン酸。これはポリフェノールの一種で、コーヒーの香りや苦みとなる成分です。焙煎前の生豆に含まれており、病気や老化の原因となる活性酸素を除去する強い抗酸化作用があり、さまざまな健康効果をもたらします」(廣瀬さん・以下同)
飲むならブラックがおすすめ
「健康効果を高めるなら、砂糖やミルク、豆乳などは入れないで、ブラックコーヒーで飲むのがおすすめですが、入れたからといって、クロロゲン酸などの働きが悪くなるわけではありません。
1日1杯くらいなら問題ないのですが、たくさん摂りすぎると脂肪や糖質過多になり、動脈硬化や糖尿病予防、ダイエット効果は低くなります。エスプレッソは濃く抽出され、クロロゲン酸も豊富に含まれていますが、苦みが強い。砂糖をたくさん入れて飲むものなので、苦いのが苦手な人は避けた方がいいでしょう」
コーヒーの驚くべき5つの健康パワー
【1】動脈硬化予防
加齢とともに血管が張りを失い、硬くなる「動脈硬化」。放っておくと、心臓疾患や脳梗塞になる。
「近年の研究では、コーヒーに含まれるポリフェノールのカフェ酸とクロロゲン酸には、善玉のHDLコレステロールを活性化させ、悪玉のLDLコレステロールを抑える働きがあることがわかっています。
また、血栓溶解酵素が活性化され、血栓防止の働きも。動脈硬化には脂肪や糖分がよくないので、ミルクや砂糖を入れないブラックコーヒーを、1日2~4杯程度飲むといいですね」(廣瀬さん・以下同)
【2】糖尿病予防
国民の2050万人以上が糖尿病または予備軍といわれ、患者の9割以上がかかっている「2型糖尿病」。
「オランダで約1万7000人を対象に行われた調査では1日7杯以上飲む人は、1日2杯以下の人に比べて、2型糖尿病のリスクは2分の1という結果に。コーヒーに含まれるマグネシウムはインスリンの働きをよくするとも考えられています。こちらもブラックが望ましいですね」。
【3】ダイエット効果
「カフェインには、脂肪酸を肝細胞に取り込み、燃焼させる働きがあります。
さらに、運動前にブラックコーヒーを飲むことで、脂肪燃焼パワーが高まるという実験結果も。飲むタイミングは運動を始める10分前が理想。酸素摂取量が増え、より運動効果が高まります」
また、カフェインには利尿作用があり、1~2杯飲むだけでも、むくみ解消にもひと役買うことがわかっている。
【4】認知症予防
コーヒーで認知機能の働きが上がり、アルツハイマー型認知症予防が期待できる。
「マウス実験により、クロロゲン酸は脳内の血糖値を抑制し、エネルギー代謝を高め、神経細胞を保護する働きがある。さらに認知症予防に役立ちます。
また、カフェインには脳をすっきりさせ、記憶力を高める作用が。カフェイン入りのブラックコーヒー1杯を飲むと計算能力がアップする実験結果も」。
【5】がんのリスクを軽減
コーヒーにはさまざまな部位のがん発生や広がりを抑制する効果があると、世界中から報告されている。
「これは、クロロゲン酸やカフェインの作用とみられています。国立がん研究センターの調査では、毎日5杯以上コーヒーを飲む人は、肝がんの発生率が半減することがわかっています。また、毎日2杯以上飲む人は乳がんや子宮内膜のがんなどの発生抑制効果も、欧州の研究機関などから発表されています。いずれもブラックコーヒーがいいでしょう」。
コーヒーの健康効果をアップする飲み方
★挽きたてを飲むのが大原則
コーヒーは豆を挽いた瞬間から急速に酸化が始まる。
「酸化したコーヒーを飲んでも抗酸化作用は充分に得られず、胃に負担がかかります。挽いてあるコーヒーの粉は、1週間以内に飲みきるのが理想的。抽出したものがおいしくなければ電子レンジで1分ほど温めると不思議とおいしさが復活します」(廣瀬さん・以下同)
★コーヒーを抽出する際の適正温度は?
お湯の温度は75~90℃の間が適正。
「沸騰したての熱いお湯は、コーヒーに含まれる油やエキスだけでなく、雑味や苦みもすべて溶け出してしまいます。温度計で測るといいですが、沸かしたてのお湯をポットに入れ替えると、自然と温度が下がって適正温度になるので、私はポットに移し替えてからコーヒーをいれています」
★豆で買うのが鉄則
コーヒーをおいしくかつ栄養を充分取り入れたいなら、豆の状態で買うこと。
「コーヒー豆の中には、未熟やカビ、虫食い、黒豆など、欠陥豆が含まれています。これらを取り除かないまま粉にするとコーヒーの風味に悪い影響を与えます。豆を買うなら、自家焙煎の専門店がおすすめです」。
★インスタントでは効果はみられない!?
インスタントコーヒーは一度、液体にしたコーヒーから水分を取り除き、乾燥させて顆粒状にする。
「レギュラーコーヒーに比べると多少は劣るものの、ポリフェノールは含まれています。また、最近は香りや味わいも格段によくなっています。コーヒーの香りはリラックス効果があるので、ホッとしたいときにはインスタントでもいいでしょう」
→コーヒーの健康効果【まとめ】|コーヒーはいつ、何杯飲むのが体にいいのか
さらにパワーアップ! おすすめの健康系コーヒー
「水素焙煎珈琲 ドリップパック5パック入り」900円/ビタル企画
水素で焙煎した新しい味わい。世界初、水素で焙煎したコーヒー。すっきりと飲みやすい。
「ドリップパックカフェサプリGABA(機能性表示食品) 30袋」4860円/ブルックス
夜はぐっすり、朝はすっきり。睡眠の質を高める効果が期待できるGABAを配合。目覚めもすっきり。
教えてくれた人
廣瀬幸雄さん/金沢大学名誉教授・コーヒー文化学会会長
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/横山寛多、高山テンキ
※女性セブン2021年3月25日号
https://josei7.com/
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