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健康

肥満解消「かかと落とし」と認知機能の若返り「ポコポコ骨たたき」習慣で骨を丈夫に!

 骨折は、高齢者にとって死を招くこと恐れがある。ちょっとした転倒が大怪我につながり、もろくなった骨は回復が遅くなる。運動ができなくなれば、内臓が弱って寝たきりになることも。

 深刻な事態を招くまえに、骨を強化したいもの。そこで、おすすめの食事や生活習慣に加え、1分ほどで簡単にできる「骨たたき」や「かかと落とし」を伝授。骨は何才からでも強くなるので、あきらめずに続けて元気をキープしましょう!

高齢者の骨折を防ぐのに必要なこと

 高齢になってからの骨折を防ぐにはどのようにしたらいいのだろうか。まずは、「骨を強くするため」に生活を改めたい。

 一般的に「骨を鍛える」というと、まっ先に思い浮かぶのはカルシウムの摂取だろう。牛乳を飲んだり、小魚を食べることで骨が丈夫になるということは小さな子供でも知っている。日光を浴びて、ビタミンDを体内に生成することを意識する人もいるだろう。

 しかし、それでは不充分だと光伸メディカルクリニック院長の中村光伸さんは指摘する。

10代でしていたスポーツで骨の強度は変わる

「カルシウムやビタミンDなど、材料だけが揃っていても、脳から『骨を強くしなさい』という指令がなければ材料を生かしきれず、もろいままです。運動して骨に負荷をかけて刺激を与えると、骨はその負荷に耐えようとして強くなります」

 その上で効果的なのが運動だ。骨の成長が顕著な10代のときにやっていたスポーツによって、骨の強度が変わってくるという。

「バレーボールやバスケットボール、陸上など、骨に激しい刺激を与えるジャンプ系の動きが多い競技をしていた人は、大人になってからも比較的、骨が丈夫だということがわかっています。

 刺激が重要だという興味深い例として、骨にまったく負荷がかからない無重力空間や宇宙空間で生活する宇宙飛行士の場合、大腿骨頸部の骨量が1か月で約1.5%以上減少するといわれています。仮に半年間無重力のままならば骨量は10%以上も減少し、すぐに折れる弱い骨になってしまいます」(中村さん)
 
 1年が経過したコロナ禍で外出する機会が減り、骨に刺激を与える時間が短くなったという人は、がくっと骨が弱っている恐れがある。自宅でできるスクワットや筋トレでも、筋肉内の細胞から『サイトカイン』と呼ばれるたんぱく質が分泌され、骨の新陳代謝を活発化させることができる

骨を強くする「ポコポコ骨たたき」「かかと落とし」とは?

 しかし、筋トレよりもはるかに簡単な方法がある。骨を自分でたたいて刺激を与えるのだ。

「からだの学校・湧氣塾(ゆうきじゅく)」校長で、ヨガのインターナショナルライセンスを持つ、ボディー・マインドカウンセラーの森千恕(せんじょ)さんは、「ポコポコ」と骨をたたくことをすすめる。

「骨を自分の手でたたくと、その振動が骨の内部まで伝わります。その刺激によって、骨芽細胞と破骨細胞のサイクルが活性化する。さらに、骨に付着している筋肉も刺激によってゆるむことで、可動域が大きくなります。立っても座ってもどちらでも大きな違いはないので、楽な方で構いません。寝たきりの場合でも、周りの人がやさしくポコポコたたいてあげると効果があるでしょう」(森さん)

 振動は強いほど効果が望めるわけではない。ろっ骨あたりをたたくときは、なでる程度の強さでいい。

 立ち仕事が多い人には、「かかと落とし」が簡単だろう。福岡歯科大学客員教授の平田雅人さんが解説する。

「つま先で立ち、かかとをストンと落とすだけ。かかと落としは自分の体重の3倍もの負荷が加わるため、効率よく骨に刺激が与えられます。靴を履いていてもできるので、電車や信号の待ち時間などにも行えます。目安は1日30回。週に3日でも構わないので、継続してください」

 つま先立ちが不安定になる人は、転倒しないよう必ずつかまって行おう。

「コツコツ骨たたき」を推奨する中村さんは、たたく場所に注意してほしいと話す。

「ひじの最も出っ張っているところの横には大事な神経が通っているので腕をたたくときは、ひじを避けてください。しびれが出たら刺激が強すぎる証拠。すぐにやめましょう。また、脚をたたくとき、分厚い筋肉に覆われている太ももは、たたいても骨まで振動が伝わりにくいので、ひざのお皿の少し上あたりをたたく方が骨への振動が伝わりやすくなります」

 骨たたきは、一日のうち、いつ行っても効果は変わらない。1日100回、時間でいうと1分程度が目安。たたけばたたくほど骨は強くなるので、気が向いたときにコツコツと積み重ねるといい。

→毎日1分「骨たたき」で体が変わる! 女性に多い骨粗しょう症を予防【医師監修】

「ポコポコ骨たたき」で認知機能も若返る

「たたくときは心地いい程度の強さで。手のひらをパーのまま『パチパチ』とたたかないように注意」(森さん)

<基本の手の形>

手の甲を山形にしている

 手のひらにくぼみをつくり、手の甲を山形にする。水をすくったり、三角のおにぎりを作るときの手をイメージして。

●手ポコポコ

いすに座って山形にした左右の手をたたき合わせている

 いすに浅めに座り、山形にした左右の手を「ポコポコ」と音がするように10回たたきあわせる。

両手の手首側のつけ根から指先まで、しっかりあわせている

 手首側のつけ根から指先まで、しっかりあわせること。末端の血液循環がよくなり、冷えの改善、脳の活性化などが期待できる。

●両ひざの内側・腰・ろっ骨ポコポコ

【1】足を軽く開き、右手で右ひざの内側、左手で左ひざの内側をポコポコと10回たたく。ひざの内側にある大腿骨の端が刺激されるため、大腿骨が鍛えられ、骨折予防にも効果的。

 

【2】腰骨の上部のやや内側にある腸骨棘(ちょうこつきょく)という、少し出っ張ったところをポコポコと10回たたく。少し前傾姿勢になり腰を突き出すようにするとたたきやすい。便秘予防にも効果的。

【3】ろっ骨のいちばん下の部分をやさしく10回たたく。ここは軟骨を含むためほかの部位よりやわらかいので、さする程度の強さでOK。ろっ骨が広がることで呼吸が深くなり、代謝も上がる。

「かかと落とし」は肥満解消にも

「目標は1日50回。毎日継続することが難しい場合は、週に3日でも構いません。体重の3倍の負荷が、かかとから全身に伝わります」(平田さん)

●かかと落とし

【UP】真っすぐ背筋を伸ばして立ち、両足のかかとを高く上げて、つま先立ちになる。このとき、ふらつく人は転倒の恐れがあるので、必ずどこかにつかまって行うこと。

【DOWN】両足のかかとを、ストンと落とす。体の重みがかかとに伝わるよう、かかとを地面に打ちつけること。一度に目標回数をやりきらなくても、好きなときに行って構わない。

 

→骨ホルモン「オステオカルシン」を増やす|「かかと落とし」のながら骨活で全身若返り

生活リズムを保ちホルモン分泌の安定を

「もちろん、食事で栄養を摂ることも骨を強くするためには欠かせません。特に、健康な人は、サプリメントではなく食事で栄養を摂った方が吸収率は高くなるので効率的です。生活リズムを一定に保ち、ホルモンの分泌を安定させることも骨の強化につながります」(中村さん)

 いくつになっても骨は強くなる。それは100才になってからでも可能だと森さんは話す。

「万一、骨折したとして、年齢が若い方が回復が早いのは確かですが、たとえ高齢になっても骨を修復する力が消えるわけではありません。骨は、やったことに応じてくれるので、何才になっても強くすることは可能です。私が出会った高齢者の中には、自力で立ち上がれなかったのに、骨たたきを続けたことでジャンプができるまで改善した100才の人もいます。私たちの体は、壊れたら自力で元に戻らない機械よりもずっと優れたものなのです」

 コツコツ続けて、一生歩ける体を手に入れよう。

教えてくれた人

光伸メディカルクリニック院長・中村光伸さん、福岡歯科大学客員教授・平田雅人さん、ボディー・マインドカウンセラー・森千恕さん

イラスト/あべゆきこ

※女性セブン2021年3月18日号
https://josei7.com/

●骨を鍛える最強メソッド|骨を強くする食事と2大エクササイズ

●骨粗しょう症を遠ざける!骨を鍛える「骨トレーニング」|骨を強くする食事と9つの習慣

●長生きするなら骨を丈夫に!「骨粗しょう症」を予防する食べ物、食べ方を解説

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