安心して暮らせる高齢者ホームの選び方・探し方|介護施設の種類や見学のポイントは?
数ある高齢者ホームの中から最適な住まいを見つけるためには、どんな探し方をしたらいいのだろうか。相談先、見学時のポイントはどこ? 医療体制の見極め方も大切だ。本人も家族も悔いのない住まい選びのコツを専門家が解説する。介護施設選びの流れを予め把握して、準備を進めていこう。
介護施設の選び方・探し方のポイント
介護が必要になったとき、専門スタッフのサポートを受けながら暮らせる高齢者ホーム。 多くの種類があり、それぞれに入居条件やサービスが異なるが、満足できる住まいを選ぶためには、「必要な介護サービス」と「予算」の条件を満たし、かつ「本人の好みや性格に合うところ」を探すことが大切、とケアタウン総合研究所の高室成幸さん。
「施設を選ぶ際は、受け入れ可の介護度や症状を確認し、必要な介護サービス(リハビリ、認知症ケアの有無など)が受けられるかを確認しましょう。一時入居金や月額費用は、長期間暮らすことを念頭に考える必要があります」(高室さん・以下同)
とはいえ、数多くある施設の中から適した場所を選ぶのは難しい。その手順とは…?
◆要介護対応の代表的な高齢者ホームの種類
【民間施設】
●介護付き有料老人ホーム
常駐スタッフから直接介護が受けられる。看取りまで可能なところも多い。
●住宅型有料老人ホーム
体の状態に合わせて、併設または外部の介護サービスを選択できる。
●サービス付き高齢者向け住宅
高齢者向けの賃貸住宅。介護サービスは併設や外部事業者の利用が一般的。
【公的施設】
●特別養護老人ホーム
基本的には要介護3以上の場合を対象に、収入に応じた費用で利用できる。
→介護保険で利用できるサービスの種類、施設は?|【介護の基礎知識】公的制度<2>
お試し入居や医療面の確認を
「まずは、近隣の高齢者住宅紹介センターで入居者に合った条件の施設を紹介してもらいましょう。合わせてインターネットなどで幅広く情報収集を。気になる施設の資料を取り寄せて条件に合う所を7~8件程度にしぼったら、実際に見学に行きます。おすすめの時間帯は、レクリエーションの多いお昼前。可能なら食堂で昼食を食べたり、入居者が生活している部屋を見せてもらえるとよいですね」
入居者自身が納得できるよう本人と一緒に見学するのがベストだが、難しい場合は写真や動画で共有を。2~3日間お試し入居が可能なら、夜間の様子や施設の雰囲気もよくわかる。
介護サービスでは、日頃の診療体制や緊急時の対応など、医療面は特に重視したいところだ。
「看取り実績のある高齢者ホームは、医療機関との連携や介護スタッフの教育が行き届いています。病院やクリニックを併設していたり運営母体が医療機関の場合は、緊急時の対応が迅速なので医療面に関して安心できます。現在は感染症対策のため、家族との面会ができない施設も多いのですが、どの施設も、オンライン面会などの工夫を凝らしたサービスを行っています」
情報不足のまま入居すると、あとあと介護内容やお金のトラブルにつながる。ミスマッチを防ぐには情報収集の上、見学、体験などに3か月ほどかけてじっくりと検討することが重要だ。家族で協力しながら慎重に選び、心から安心して暮らせる住まいを見つけたい。
ホーム選びの基本の流れ3ステップ
高齢者ホームのより良い探し方をおさらいしてみよう。現在はコロナで見学を中止している施設もあるので、事前の確認が大切だ。
【1】紹介センターで基礎知識を学びつつ、どのようなホームがあるのかを知る。
→老人ホーム選びのプロ「紹介業者」とは?仲介手数料は?|いい紹介業者選びが介護施設探しの鍵!紹介業者選びのポイントとは
【2】インターネットや資料請求などを活用し、自分たちで情報を収集する。
【3】気になるホームには実際に足を運び、雰囲気やサービスを自分目線で確認。
教えてくれた人
高室成幸さん/ケアタウン総合研究所代表
全国の介護施設で研修講師として活躍。『身近な人の施設介護を考えるときに読む本』(自由国民社)など監修・著書多数。http://caretown.com/
イラスト/鈴木みゆき
※女性セブン2021年2月18・25日号
https://josei7.com/