入居前に判断!「ブラック介護施設」を見分ける10か条
パッと見や謳い文句に乗せられていざ入居してみたら、実は「ブラック介護」だった――そんな目に遭わないために、事前に確認すべきチェックポイントを挙げた。
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怪しい老人ホームチェックリスト10
1.45分以上の見学をさせてくれない
2.入り口に苦情ボックスがない
3.地元のタクシー運転手が場所を知らない
4.フロアに尿臭が漂っている
5.車いすのタイヤの空気が抜けている
6.居室が「何もなくてきれい」
7.入居者には丁寧だが、職員同士は横柄
8.食事のときに職員の付き添いがない
9.夜間のシフトが入居者15人以上に職員1人
10.HPに大げさな謳い文句が載っている
どうすれば「ブラック介護」の介護施設を見分けられるか
親あるいは自分自身が入居する際には本当に安心できる介護施設を選びたいが、どうすれば「ブラック介護」が横行する危険な老人ホームを見分けることができるのか。
入居を決める前に実際に施設を見学にいくのは絶対条件だが、その時にチェックすべきポイントについて介護ジャーナリストの小山朝子氏はこう語る。
「まず施設の入り口や壁を見てください。そこに何もなかったら良心的な施設とはいえないかもしれません。良い施設では、例えば『苦情ボックス』のようなものが置いてあり、利用者や家族の声をくみ取っている。また、それにどう対処したかを、家族が来た時にそれが見やすい場所に掲示してあります。そうした情報公開が何もないような“閉じられた”施設は危険です」
施設によっては月に1回など定期的に利用者家族の懇談会が開かれているところもある。それも“開かれた施設”かどうかの目安になる。
ロビーに施設で行なわれた行事やイベントの楽しそうな写真が飾ってあれば、普段の雰囲気を知るうえでの参考になるだろう。
施設案内が始まったら、まず廊下を歩く際に、天井を注意して見ることが大切だ。「入居者の自由」を理由に監視カメラが設置されていない施設は要注意だ。
「自由というのは安全が確保されてこその自由です。施設の事故防止のために必要な監視カメラは設置されてしかるべきです」(前出・小山氏)
入居者フロアでの臭いをチェック
入居者がいるフロアに足を踏み入れたら、視覚だけでなく、嗅覚も使わなければならない。玄関口ではわからないが、フロアや入居者の居室からアンモニア臭などが漂っていれば、排泄物の処理などが適正に行なわれていない可能性がある。入居者の入浴がおろそかにされているために、体から臭っていることも考えられる。
「要は衛生管理や消臭がきちんとできていないということです。また、共用スペースが臭ければ、居室を開けっ放しで排泄介助をするなど、入居者のプライバシーも守られていないかもしれません」(前出・小山氏)
実際に父親を老人ホームに入居させている人からは、こんな声が聞かれた。
「父は大便をもよおすとベルを押してスタッフに来てもらい、トイレに移動させてもらって用を足すんですが、ベルを押しても職員がなかなかきてくれない。それでお漏らししてしまうことが多く、室内はいつも便臭くて不衛生でした」
入居者の口腔ケアはちゃんとされているか
入居者自身の“臭い”では、口臭も重要なポイントだ。
「実際に入居している人と話してみて、口臭がきつければ、口ケアがされていない証拠です。口ケアは今、高齢者の健康問題のカギとして注目されています。食後にしっかりとケアしないと、食べ物の残滓が誤って肺に入って肺炎を起こしてしまい、肺炎は高齢者にとって命取りになるからです。認知症予防にも口ケアが効果的だといわれています」(前出・小山氏)