【2023】高齢者向けのやわらか食おせち おすすめとおせちを食べるときの注意点
お正月に高齢の親と食べる”おせち料理”について、管理栄養士の清水加奈子さんにアドバイスいただいた。噛む力、飲み込む力が弱った人が必要な人も食べやすい”やわらか食おせち”とは? おせち料理の塩分やカロリーはどうなの? 一般的なおせち料理を食べやすくアレンジする方法や、おすすめの通販サイトもあわせて紹介する。
介護が必要な人が食べられるおせち料理とは…
お正月は、おせち料理で一年の福を招きたいもの。しかし、高齢者にとっておせち料理は、そもそも噛みにくいものが多いうえ、塩分や糖分、カロリーなど気になる点も…。
「高齢者は、咀嚼力(噛む力)や嚥下力(飲みこむ力)が衰えてきます。介護が必要な高齢者と一緒におせち料理を食べるときは、お重から食べられるものだけをあらかじめ別皿に取り分けておくと安心です。その方の介護度にもよりますが、歯茎でつぶせるやわらかさのものを選んであげるといいでしょう」(清水さん、以下同)
高齢者がおせちを食べるときの5つの注意ポイント
高齢者がおせちを食べるときのポイントは、以下の5つ。やわらかさのほか、塩分やカロリーにも気を配りたい。
1.昆布など繊維質が多いものは注意
「だし巻きやだて巻き、きんとん、煮豆などは咀嚼力が低下気味でも比較的食べやすいですが、歯ごたえのある昆布巻きや繊維質の多い根菜の煮しめは、小さく刻んだり、圧力鍋などでさらに柔らかくなるまで煮たりして、食べやすくしてあげましょう」
2.酸っぱい料理はむせる原因に
「なますや酢ごぼうなど酢を使ったすっぱいおせち料理は、むせやすいので注意が必要です。嚥下力が低下している人がむせてしまうと誤嚥肺炎の原因となることもあるので酸味を控えめにするなどの工夫が必要です」
3.糖質の摂りすぎに要注意
糖尿病などの持病がある人は、おせち料理の“糖質”にも要注意。
「おせち料理は、けっこう糖質が高いものが多いんです。黒豆、八幡巻き、昆布巻き、栗きんとん、鰆の西京焼きなど甘めの味付けのものは、血糖値が上がりやすい。また、くわい、里芋、ゆり根などの根菜も糖分が多めなので控えめにしましょう」
4.高血圧の人はおせちの“塩分”に注意
もともと保存食も兼ねたおせち料理は、味付けが濃く塩分が高めだ。
「数の子、田作り、煮物やかまぼこなど練り物は塩分が多めなので、血圧が高い人は、量を控えたほうがいいでしょう。
また、塩分が高いものを食べたときは、ほうれんそうや小松菜、納豆などカリウムが多めの食材を摂って余分な塩分を排出するように心がけましょう」
5.そもそもおせちは高カロリー
「実はおせちはカロリーが高めなんですよ。大きなお重からすべてのおかずを少しずつ取り分けて盛り合わせた場合、1人分で900Kcal近くになる場合も。これは成人女性の1日の標準摂取量の半分なんです。さらに、塩分は約8gで1日分※を軽く超えてしまいます。
高齢者だけでなく、肥満気味、高脂血症、血圧が高めの方だけでなく、生活習慣病が気になる人は、おせち料理の食べ方に注意したほうがよさそうだ。
「全種類を1回で食べず、数日に分けてちょこちょこ食べる、最初から品目を減らす、取り分ける量を減らすなどの調節が必要です」
※成人女性の塩分摂取目安量は1日6.5g未満。