名医がすすめる「リモート健診」一覧|女性の特有の病気お家で早期発見
会議も飲み会も、観光だってリモートになったいま、健診も例外ではない。しかし、やみくもに受けても費用がかさむばかりだ。名医たちが選んだ「これを受ければ間違いない」の最終結論を一挙公開。
「病院と精度が同じ生活習慣病検査」や「尿で女性ホルモン量がわかるエクオール検査」、「自宅でできる性感染症検査」などリモートだからこそ安心して受けられる検査がいっぱい。手遅れになる前に発見して、安心を手に入れましょう!
コロナ禍だからこそ健康診断は受けるべき
「昨年は子供の受験でバタついて健診を受けられなかったので、“今年こそは”と思っていたら、新型コロナウイルスの流行で外出自粛に。その後も、病院でクラスターが発生したというニュースを聞くと、なかなか足が向かなくなって…。慣れない“新生活”でストレスがたまっているし、何か大きな病気が進行していたらどうしよう、と不安です」
そう言ってため息をつくのは、東京都在住の主婦・今野翠さん(仮名・54才)だ。
そもそも、定期的に健康診断を受ける機会のある会社員が多い男性に比べ、専業主婦やパートタイマーなどライフスタイルがさまざまな女性は健康診断の受診率が低い。それに加えてコロナ禍で家族がステイホーム生活をしていれば、家事の手間も倍に増え、ますます定期健診から足が遠のいてしまうのも仕方ないことだろう。
しかし、いつまでも健診を受けずにスルーを続けていれば、水面下で大きな病気が進行し、取り返しのつかないことになってしまう危険性も。そうしたリスクを回避するためにも、ぜひ活用したいのが、採血や採尿などを自分で行い、郵送するだけで家にいながらにして結果を受け取ることのできる「リモート健診」だ。
「リモート健診」の市場は拡大しており、例えば楽天市場で検索するだけでも「リモート健診」を売りにしている商品は実に約100品にのぼる。しかし、膨大な健診・検査の中からいったいどのキットを選べばいいのか迷ってしまう人も多いだろう。
そこで今回は、女性医師たちに「自分自身が受けている」あるいは「特に女性にすすめたい」リモート健診を徹底取材した。
女性医師が太鼓判のリモート健診は?
麻酔科医の山崎ゆかさんは「さまざまな項目のある検査なら、女性の健康維持に役立つ」と太鼓判を押す。
「病院に足を運ばなくても、郵送でOKなのは大きなメリット。血液検査や尿検査なら自分で採るのも簡単です。産後の栄養状態のチェックや更年期のホルモン値など女性特有の問題から、生活習慣病やがんといった検査できる項目が多いものは、病院のように待ち時間もなく手軽に検査できるため、ライフスタイルの向上にもつながるのではないでしょうか」(山崎さん)
●『おうちでドック』の「がん・生活習慣病 女性用」
例えば『おうちでドック』の「がん・生活習慣病 女性用」の場合、インターネットで申し込むと検査キットが送られてきて、血液を数滴と尿を採取して返送するだけ。乳がん、大腸がんなどの4つのがんと、動脈硬化など9つの生活習慣病の検査ができるうえ、結果をもとに電話などで医師に相談もできる。
『おうちでドック』の電話相談を担当している産婦人科医の加藤智子さんが言う。
「受診した本人の手元に届いたものと同じ結果を見ながら、相談に応じます。まずは検査結果の中で病院を受診するようなレベルの数値があればそれに言及し、その後、これからの生活をどう改善していけばいいかをアドバイスします。たとえ異常値ではなくても、不明な点や質問に正確に答えることが可能です」
家でひとりで受けるリモート健診とはいえ、電話やチャットを通じて、病院に行くのと同じかそれ以上の手厚いケアを受けられるというわけだ。ほかにも「精度が高い」と医師の間で評判の『日本医学 郵送健診キット』や、申し込みから結果確認まで、すべてをスマホ1台でできる『スマホdeドック』など、リモート健診は多種多様だ。
●『DEMECAL(デメカル)生活習慣病チェックシリーズ』
予防内科医の関由佳さんが推奨するのは、『DEMECAL(デメカル)生活習慣病チェックシリーズ』。
「私も実際に受けてみたのですが、病院で行う採血結果と数値があまり変わらず、精度が高い。健診になかなか行けないときは、これで代用してもいいでしょう」(関さん)
生活習慣病と並んで気がかりなのは、いまや日本人の2人に1人が罹患するといわれているがんだ。全般ではなく、がんなどに特化したリモート健診も数多い。
●『胃がんリスクチェック』
医療ガバナンス研究所に所属する内科医・山本佳奈さんは自主採血によってピロリ菌の有無と胃粘膜の萎縮から胃がん発生のリスクを自宅で調べることができる『胃がんリスクチェック』をすすめる。
「鼻や口から内視鏡を挿入する上部内視鏡検査には抵抗があるとか、バリウムをのむのが苦手という人には特におすすめ。検査の結果、胃がんリスクが出た場合、内視鏡を受ける覚悟もできるのではないでしょうか」
女性特有の疾病用が豊富
●『子宮頸がん自己採取キット(HPV検査キット)』
女性としては、子宮がんや乳がんも非常に気になるところ。山本さんはリモートの『HPV検査』も試したことがあるという。
HPVは子宮頸がんの原因とされるウイルスで、性交渉の経験がある約8割の女性が50才までに一度は感染するといわれている。HPV検査はそのウイルスの有無を調べるためのものだ。
「私自身は毎年子宮頸がん検診を医療機関で受診していますが、リモート健診でもきちんと子宮内の細胞を採取できるのかを試してみるために受けました。インターネットで見つけた『子宮頸がん自己採取キット(HPV検査キット)』を使いましたが、説明書が丁寧で、わかりやすく、問題なく採取できました」(山本さん)
●リモートによる乳がん検査
リモートによる乳がんの検査を推奨するのは、星子クリニック院長の星子尚美さんだ。
「日本人女性は欧米人に比べて乳房が小さいため、病院でマンモグラフィー検査を受けても乳腺の組織が濃く見えてしまい、偽陽性や判断ミスが起こる可能性もあります。超音波検査が理想ですが、病院に行けない状況ならば手軽にできる血液採取でもいい。まずは一度、受けてみてほしい」(星子さん)
女性ホルモン分泌量を尿で知る
●『エクオール検査』
リモート健診のメリットは手軽に大きな病気が見つかるような検査を受けられることだけではない。体質やアレルギー、遺伝などを調べるキットも数多く販売されており、それらを使って未然に病気や不調を防ぐこともできる。なかでも多くの女医たちが「受けたことがある」「受けたい」と口を揃えたのが、『エクオール検査』だ。エクオールはエストロゲンと呼ばれる女性ホルモンに似た働きをする成分で、大豆イソフラボンから作られる。
「女性は50才前後から女性ホルモン量の変化が大きくなり、それによって体調に変化が表れる人が少なくありません。この体調変化に大豆イソフラボンが有効なのはたしかですが、実は日本人の半数はエクオールを作る腸内細菌を持っていないといわれています。私は“将来のためにエクオールが産生できる体質かどうかは知っておいた方がいい”と考え、リモート健診を受けました」(加藤さん)
つまり、エクオールが産生できる体質でなければ、更年期障害対策にせっせと大豆製品を食べても、意味がないということになる。山本さんも自身のエクオールの数値を知るために、リモート健診を受けたと話す。
「尿検査なので簡単ですし、結果もメールで届くので、その点でも受診の敷居が低いといえます」(山本さん)
リモートならではの特殊な検査も
●『遅延型食物アレルギーテスト』
●『ジーンライフ』
皮フ科かわさきかおりクニリックの皮膚科医・川﨑加織さんは後天的な食べ物のアレルギーを知ることができる『遅延型食物アレルギーテスト』や遺伝子からかかりやすい病気を調べる『ジーンライフ』を受けたことがあるという。
「遺伝子検査は罹患者がほとんどいないマニアックな病気までカバーしており、“こんなレアなものまでわかるのか!”と、医師ながら驚きました。こうした検査で、例えば『肺がんになりやすい』などの傾向がわかったら、禁煙する人も多いのではないでしょうか」(川﨑さん)
●『性病検査STDチェッカー』
リモートだからこそ安心して受けられる検査もある。山本さんは、この機会に性感染症の検査を受けることをすすめる。
「検査のために病院へ行きづらいと感じる女性は多いのではないかと思いますが、リモートならプライバシーも守られて安心です。性感染症は症状に気づきにくいので、知らないうちにかかっていたということも珍しくありません。不妊症のリスクでもあるので、心当たりがあったり、パートナーが変わったときなどには、積極的に検査を受けることをおすすめします」(山本さん)
山本さんは自分でもリモート『性感染症検査キット』を試したことがある。
「とても簡単でした。腟内をこする必要があり、それが不充分になる可能性はありますが、説明書通りにやれば失敗することは少ないでしょう。サービスによっては、匿名で受けることも可能です」(山本さん)
例えば『性病検査STDチェッカー』では、自分で決めたIDとパスワードを使って、インターネットで検査結果を確認。結果を見終わった後は、自分でデータを消去できるようになっている。
リモート健診を受ける際に注意することって?
手軽でかつ、内容も多岐にわたるリモート健診だが検査する際には注意も必要だ。
「医療機関としっかり連携しているかどうかを確認してください。検査の結果を知らせて、ただ“病院に行ってくださいね”というだけでは、どの医院に行けばいいのか迷ってしまう。リモート健診を選ぶ際は、直接医師と相談できるというような、アフターフォローがあるかどうかが重要です。どんな医師が参加しているかをしっかり明示しているかどうかも、リモート健診選びのポイントになると思います」(山崎さん)
同じ健診内容であれば、販売元を比較するといい。
「母体の会社をまず確かめること。『日本医学』など、きちんとした実績のあるところが望ましい」(川﨑さん)
信頼できる会社かどうかに加えて、説明がわかりやすいか、何日で結果が出るかなどを比較し、自分が使いやすい健診を選びたい。ただし、リモート健診を「受けっ放し」にするのでは意味がない。
「数値に異常があった場合などは自己判断せず、必ず医師に相談をして」(関さん)
コロナに加え、インフルエンザの院内感染も心配になる季節。リモート健診でしっかり健康管理を。
女性におすすめの名医が受けている・受けたいリモート健診検査一覧
※価格はすべて税別です。
●おうちでドック/ハルメク・ベンチャーズ
「各種がんから生活習慣病まで幅広く検査できるうえ、検査後結果に異常値がなくても、医師から電話で生活改善のアドバイスを受けられるなどアフターサービスが手厚い」(加藤さん)
価格:約9000~3万円(※検査の種類により価格は異なる)
購入方法:公式サイトより
●DEMECAL生活習慣病+糖尿病セルフチェック/リージャー
https://www.leisure.co.jp/products/item/lifestyle-disease/diabetes
「血液を採取して送付する。病院で行う採血の結果と大きく変わらず、精度が高い」(関さん)
価格:6700円
購入方法:公式サイトのほか、薬局やAmazonなどの通販サイトより
●スマホdeドック胃がんリスクチェックABC分類/KDDI
「内視鏡やバリウムが苦手で検査を敬遠している人はとりあえず採血のみのこの検査を受け、罹患リスクがあるかを調べるといい」(山本さん)
価格:7980円
購入方法:公式サイトのほか、Amazonなどの通販サイトより
●子宮頸がん自己採取キット/常磐病院
https://www.tokiwa.or.jp/medical-examination_health-screening/hpv-kit.html
「説明書が丁寧でわかりやすいため、自宅でも負担なく子宮内の細胞を採取できる」(山本さん)
価格:3636円
購入方法:公式サイトより
●ソイチェックエクオール検査/ヘルスケアシステムズ
「尿検査だけでエクオールが作れるかどうかを知ることができるのは簡単。将来、体の負担を減らすことにもつながる」(加藤さん)
価格:3800円
購入方法:Amazonや薬局など
●ジーンライフ/ジェネシスヘルスケア
「唾液で遺伝子検査ができるキット。罹患者がほとんどいない病気までカバーする幅広さに脱帽。こうした検査で自分の病気の傾向がわかれば、健康意識も上がる」(川﨑さん)
価格:2万9800円
購入方法:公式サイトより
●性病検査STDチェッカー/アルバコーポレーション
https://www.std-lab.jp/shopping/
「性感染症は症状に気づきにくいため、この機会に受けることをすすめます。腟内をこする必要があるが説明書通りに行えば、失敗は少ない」(山本さん)
価格:約3000~2万円(※検査の種類により価格は異なる)
購入方法:公式サイトのほか、Amazonや楽天などの通販サイトより
※女性セブン2020年10月15日号
https://josei7.com/
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