正しい和食のマナー|逆さ箸、手皿に要注意!食べ残しはどうする?マナーの基本をQ&Aでおさらい
日本人にとって和食は身近な存在だが、正しい作法は意外と知らないもの。今回は、多くの人が感じている和食マナーの疑問について解説。これさえ知っておけば、高級和食店でもスマートに食事ができます。
こぼさずにきれいに食べる方法は?
「上品だと思いがちな振る舞いこそ、注意が必要です。たとえば、料理を口に運ぶ際、落ちないように手を添える『手皿』は、多くの人がよかれと思ってやってしまうタブーです」
と語るのはマナーアドバイザーの松本繁美さん。
それでも、こぼさずきれいに食べることに不安がある場合は、懐紙を使うことを松本さんはすすめる。
「懐紙は携帯用の和紙のことで、手皿の代わりにしたり、口元を隠す、拭くなどさまざまな使い方ができます。懐紙を使うことは上級マナーというわけではありませんが、正しい食べ方をサポートする小道具として活用するとよいと思います」
器の扱いにもルールがある。小皿も器も、持ち上げてよいものと、そうでないものがあるので要注意。また、食べ終えた器を重ねたり、お椀のふたを逆さにかぶせると、器を傷つける可能性があるので避けたい。
Q 逆さ箸で料理を 取り分けてもいい?
A ×
箸頭は口を付けないため衛生的に思えるが、実際は手の汚れ(雑菌)が付着している。取り分ける際は、専用の取り箸で。
Q 手皿で料理を受けてもいい?
A ×
料理をこぼしたり、汁が垂れたりすると手が汚れてしまうため、手皿はマナー違反。手ではなく小皿で受ける、もしくは、懐紙を使うとよい。
Q お椀のふたは どこに置けばいい?
A 食事前には、結露でできたしずくが垂れないように内側を上にして置く。ふたの置き場所は、右側に出される汁椀の場合は右側、左側にふた付きの煮ものや飯椀が出された場合は左側に。食べ終えたら、配膳時と同様にふたをかぶせる。
Q おしぼりで テーブルを拭いてもいい?
A ×
お店の布おしぼりは洗って繰り返し使用するため、しょうゆや油汚れなどがシミになると店に迷惑がかかる。こぼした場合はお店の人にお願いすること。
Q 箸で切れない料理の正しい食べ方は?
A 天ぷらなど、箸を使っても器の上で小さく切れない料理は、そのままかじってよい。ただし、一口かじったら器には戻さず、続けて食べ切る。
Q 食べ残しはどこに置けばいい?
A 料理はなるべく残さずに食べるのが礼儀だが、残してしまった場合や焼き魚の残骸などは、器の奥にひとまとめに寄せる。
Q 食べ終わった器は重ねるべき?
A 高級和食店などで使用される食器やお椀は高級なものが多く、器同士を重ねると、器に傷が付く原因になる。片付けはお店の人にすべて任せるのが基本。
手に持ってはいけない器
目安として直径約12cm以下の器は手に持って食べ、それ以上の大きさの器に盛られた料理は取り皿を使う。ただし、丼や1人用のお重は手に持ってもよいとされている。
手に持ってはいけない器
・焼き魚などの長皿
・大きめの小鉢
・盛り合わせの皿や器
手に持ってよい器
・ 汁ものの お椀
・ご飯茶碗
・酢のものなどの小鉢
・しょうゆの小皿
懐紙の上手な使い方
手やおしぼりの代わりに使って上品に
・ 口元を隠す
口の中に残ってしまった魚の骨や果物の種などは、懐紙で隠しながら箸で取り出すとスマート。
・口元や箸先を拭く
おしぼりで手以外を拭くのはマナー違反のため、手以外の口元や箸先を拭くときに使う。
・焼き魚をきれいに食べる
焼き魚の中骨を外す際に、懐紙で頭を押さえたり、残った骨や皮に懐紙を掛けて目隠しをする。
・手皿の代わりに 料理を受ける
2~3枚重ねた懐紙を二つ折りにし、折り目を手前にした状態で、手皿代わりに料理を受ける。
教えてくれた人
松本繁美さん/マナーアドバイザー、エル・ステーションLTD.代表。企業研修のほか、専門学校の客員講師、メディアの監修でも活躍。
イラスト/細川夏子
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