女性に多い便秘と痔の悩み 血便が出たら受診を!便秘解消のポイントも解説
50代以上の4人に1人は排泄トラブル経験者といわれるが、慣れない自粛生活によるストレスや運動不足などで、膀胱炎や便秘、さらに尿モレや頻尿が悪化した人も増えている。
血便が出たら必ず受診を
「今回の自粛生活で、便秘とともに女性を悩ませたのが痔です。これは、座り続けて内痔核がうっ血したことによるもの。経産婦の人はほとんど痔を持っており、症状がなくても、肛門部の痔静脈が拡張した内痔核を持つ女性が非常に多いのです」と、鳥居内科クリニック(東京・世田谷)院長の鳥居明さんは話す。
便が硬くて血便が出た場合は、それが痔の出血か、別の原因によるものか一度受診して確認することも、重大疾患を見逃さない大切なポイントだ。
「便秘には器質性や症候性などタイプがあり、放置すれば腸閉塞やうつ病、パーキンソン病、認知症につながるリスクも。さらに便をいきんで出す際、非常に力が入ると迷走神経反射が起き、不整脈の心室細動などで突然死することもある。たとえば、心臓発作で亡くなったエルビス・プレスリーも便秘による致死的不整脈が死因だったといわれています」(鳥居さん・以下同)
なぜ女性に便秘が多いかといえば、女性ホルモンの作用によるところが大きい。
「エストロゲンという女性ホルモンが生理前に優位になるとお腹が張って便秘になりやすく、逆に生理が始まるとプロゲステロンが優位になるので少し緩くなる。
更年期以降はホルモンのバランスが崩れるとともに自律神経のバランスが乱れ、腸の動きが鈍くなる。それにより便を送り出すのに時間がかかり、水分が過剰に吸収されてしまい便が硬く出にくくなる悪循環が起こるのです。つまり、女性と便秘は切っても切れない関係なのです」
便秘解消のためのポイント解説
便秘対策の3本柱は、生活リズムと適度な運動、食生活の改善だ。それぞれのポイントを生活に取り入れて、便がつまらない快適生活を目指そう!
《食事の改善》食物繊維のタイプを知ろう
便秘予防には「水分と食物繊維、乳酸菌、適量の油分摂取が必要です」
食物繊維は1日に男性20g以上・女性18g以上摂るのが目安。不溶性繊維の野菜ばかりではお腹が張ることもある。
「サラダなどを食べているのにガスが多くなる場合、りんごや海藻など水溶性繊維を摂るのがおすすめです」
《運動》腹筋強化と腸刺激がカギ!
●腹筋を鍛える体操
仰向けで息を吐きながらへそをのぞくように頭を起こし5秒静止。これで便を押し出す、へそ下腹筋を強化。
●腸を刺激する運動
朝起きたら、食事前にラジオ体操をすると排便により効果的。大きな動作で内臓を動かし、腸を刺激!
《マッサージ》腸の渋滞緩和に一役!
●「の」の字で腹をさする
へそのまわりを「の」の字を描くように大きく強めに時計回りにさする。朝の排便習慣がつきやすくなるので、起きがけに行う。就寝前や風呂上がりに行うのもおすすめだ。
●腸の曲がり角など5点を押す
腹式呼吸をしながら、息を吐くのに合わせて【1】腸の右下 【2】腸の右上 【3】腸の左上 【4】腸の左下 【5】下腹部中央を順々に押していく。これで腸の曲がり角にたまりやすいガスを動かすことができる。
生活習慣を改善して便秘の予防を
どうしたら頑固な便秘を予防・改善できるのか?
「食事の後、必ずトイレに行くなど、毎日の生活リズムを整えることも重要です。特に、朝食を抜いてしまうと、食事をすることで生じる胃結腸反射という腸蠕動が起こらなくなり、便秘になりやすいのです。食べられないときは、朝起きて、常温の水か白湯をコップ1杯飲むのも効果的です」
また、食事では食物繊維と乳酸菌とともに、適度な油分を摂ることも心がけたい。
「毎朝ラジオ体操などで腸を刺激し、便を押し出す力が衰えないよう腹筋運動をするなど、適度な運動が大切。これと腸のマッサージを日々組み合わせるのも、便秘解消のコツです」
最近は便秘薬も浸透圧性下剤や刺激性下剤などを選ぶことができる。まずは上記の生活習慣改善を行い、それでも解消しない場合は、恥ずかしがらず専門医に相談を!
イラスト/あきばさやか
教えてくれた人
鳥居明さん/鳥居内科クリニック院長。東京慈恵会医科大学助教授などを経て現職。現在、東京都医師会理事。日本消化器病学会専門医。
※女性セブン2020年6月18日号
https://josei7.com/
●自粛生活で膀胱炎や便秘が悪化…がんや脳卒中など重病招く前に解消を