家ごもりでも健康維持できる最強食品ランキング|1位はやっぱりあの食品
外出自粛に備えてスーパーに来たけれど、一体何を買えばいいのだろう――。いま本当に体に必要な食品を緊急取材。食と健康の専門家たちの生の声をもとに作ったランキングは、家ごもりの一助となるはず。
依然として外出自粛の日々は続くが家でじっとしていてもお腹はすく。どうせなら、家にいても健康を保てる栄養満点の食材を摂取したい。
とはいえ、この未曽有の事態、いまの状況で何を食べるのが最適か、判断するのは難しい。実際、「コロナにあおさが効く」「お湯で撃退」といったデマも広がった。噂に振り回されず、健康的に家ごもり生活を送るための「最強食品」を医師や栄養士に徹底取材した。
家ごもりでも健康を維持できる食品ランキング19
※以下、23人の「食と健康のプロ」に「家ごもり生活でも健康を維持できる食品」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計。5点以上を獲得した食品を掲載。
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飯沼一茂さん(純真学園大学客員教授)、伊藤明子さん(医師/赤坂ファミリークリニック院長)、磯村優貴恵さん(管理栄養士)、宇多川久美子さん(薬剤師/栄養学博士)、岡田明子さん(管理栄養士)、小倉朋子さん(トータルフードプロデューサー)、金子あきこさん(管理栄養士)、金丸絵里加さん(管理栄養士)、工藤孝文さん(医師/工藤内科副院長)、黒田愛美さん(医師/アスリート)、清水加奈子さん(フードコーディネーター/管理栄養士)、伊達友美さん(管理栄養士/ダイエットカウンセラー)、田中優子さん(医師/田中病院院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、西脇俊二さん(医師/ハタイクリニック院長)、濱木珠恵さん(医師/ナビタスクリニック新宿院長)、平柳要さん(医学博士/食品医学研究所)、藤岡智子さん(栄養士/フードライター)、堀知佐子さん(管理栄養士)、本多京子さん(医学博士/管理栄養士)、松崎恵理さん(日本栄養検定協会代表理事)、真野わかさん(養腸家)、望月理恵子さん(管理栄養士/健康検定協会)
<順位/食品/点数/ポイント>
【13位】オレガノ 5点
「米国の農務省が推奨。体内の炎症を抑えてくれる」(伊藤さん)
【13位】かぼちゃ 5点
「かぼちゃには抗酸化ビタミンのビタミンA・C・Eがすべてが含まれる」(清水さん)
【13位】切り干し大根 5点
「腸を刺激し、動かすためには不溶性食物繊維が大切。切り干し大根は5分の1以上が食物繊維でかみごたえもあるため肥満予防にも」(磯村さん)
【13位】旬の魚全般 5点
「ます、さわら、さより、いわし、ぶり、あじなど旬の魚にはアミノ酸も豊富でオメガ3脂肪酸も多く、粘膜を健康に保ち抵抗力を上げる力が」(伊達さん)
【13位】チーズ 5点
「良質なたんぱく質を含み、神経を安定させたり抗体を作ったりする働きもあるカルシウムも豊富」(藤岡さん)
【13位】鶏もも肉 5点
「リラックス効果のあるセロトニンとノルアドレナリンの原料であるたんぱく質を含有。不安を軽減して免疫力の低下を抑える」(西脇さん)
【13位】めかじき 5点
「家にこもっていると太陽を浴びる時間が少なくなり、ビタミンDを不足しがちに。魚の中でもめかじきは特にこのビタミンDを多く含む」(田中さん)
【12位】きのこ 6点
「エリンギやしいたけ、しめじなどのきのこ類に含まれる健康成分のβグルカンは、免疫機能を高める働きがある」(真野さん)
【10位】ぬか漬け 7点
「ぬか漬けはいろいろな野菜のビタミンやミネラルを凝縮して摂取できるうえ、米ぬかに含まれるアラビノキシランやコエンザエムQ10には免疫力を高める効果も」(伊達さん)
【10位】牛乳 7点
「神経や筋肉の活動を正常に保つために欠かせないカルシウムが豊富なうえ、ほかの食品に比べてカルシウム吸収率が最もいいとされている」(小倉さん)
【9位】米 8点
「たんぱく質や食物繊維、ビタミンE、マグネシウムなどが含まれ、栄養価が高い。糖質も含有するため、食べすぎには注意して」(濱木さん)、「お米に含まれるビタミンB1は、糖質の代謝を助けてスムーズにエネルギーに変換。食物繊維を含み、脂質が少ないのもポイント」(金子さん)
【7位】まいたけ 9点
「まいたけをはじめとするきのこ類は生産過程で大量の紫外線を浴びているため、家ごもり生活で不足しがちなビタミンDが豊富」(田中さん)、「腸の働きを活発にする食物繊維が特に豊富」(宇多川さん)
【7位】みそ 9点
「主原料の大豆は良質な食物性たんぱく質を含むうえ、発酵の過程でさまざまなアミノ酸やビタミンが生成される。脂質やミネラルも豊富な栄養満点の食材」(濱木さん)、「日本人の腸に棲む善玉菌は、ヨーグルトなどより、日本で古くからあるみそなどの和食に含まれる発酵食品との相性がいい」(真野さん)
【6位】ブロッコリースプラウト 10点
「ブロッコリースプラウトはビタミンCとビタミンEが豊富。抗酸化作用があるため、ウイルスにかかりにくくなる」(黒田さん)、「含有するスルフォラファンは硫黄を含み、抗がん作用や代謝促進作用などがある」(伊藤さん)
【5位】にんじん 12点
「多く含まれるカロテンは体内でビタミンAに変わり、粘膜や皮膚の健康を守る働きが。買い置きできる野菜でもあるので家ごもり向き」(本多さん)、「ビタミンAやβカロテンは油と相性がいいため、煮込み料理や炒め物、良質なオイルやナッツとあわせてサラダにするのもおすすめ」(磯村さん)
【4位】玄米 19点
「ビタミン・ミネラル・食物繊維を豊富に含んでいる」(岡田さん)、「玄米に豊富な食物繊維は腸を刺激して副交感神経を優位にしてストレスを緩和する役割があるうえ、美肌効果のある栄養素も含有する」(飯沼さん)、「ストレスを和らげて脳の興奮を鎮める働きがあるGABAが多いので、ストレス過多の人にはおすすめ」(望月さん)
【3位】ヨーグルト 29点
「腸内環境を整える乳酸菌を含み、善玉菌を増やしてくれるため、免疫力を高める働きがある」(金子さん)、「10℃以下だと菌の働きが弱まってしまうので、電子レンジで30秒ほど温めて、人肌程度の30~40℃にして食べるのがいい」(工藤さん)、「臨床試験でもヨーグルトのうつ予防効果が実証されている」(平柳さん)
【2位】卵 30点
「卵はビタミンCと食物繊維以外の栄養素を含む完全食品。必須アミノ酸もすべて含有している優れもの」(堀さん)、「多く含まれるレシチンには脳の老化予防効果が」(金丸さん)、「栄養豊富な食品でアレンジしやすく、手軽に食卓に取り入れられる」(松崎さん)
【1位】納豆 46点
「腸の健康と免疫は密接な関係があるため、腸内細菌を元気にする納豆はおすすめ。ストレス緩和が見込めるカルシウムも豊富」(中沢さん)、「含有するトリプトファンも、ストレスを減らす効果があるうえ、快眠を促すメラトニンも生成してくれる」(小倉さん)、「ナットウキナーゼは、血栓予防効果が期待できるので、脳梗塞や心筋梗塞の予防にも」(岡田さん)
野菜の力でウイルスを遮断
家ごもりの「最強食品」として、専門家たちの票を最も多く集めたのは、過去にもこのシリーズで何度も首位を獲得してきた納豆だった。
薬剤師で栄養学博士の宇多川久美子さんは「毎日でも摂りたい」と推薦する。
「家ごもりをしていると、ストレスや運動不足、食事の偏りで腸内環境が悪くなります。腸内環境を整えるために、発酵食品である納豆やヨーグルトは毎日摂取して常に腸をよい状態に保ってほしい」(宇多川さん)
納豆には食物繊維のほか、カルシウムやビタミンKも豊富であるため、家ごもりによる運動不足で心配な骨粗しょう症の予防に効果的だ。生活が一変したことや将来への不安に由来するストレスで眠れなくなってしまった人にもおすすめだと、トータルフードプロデューサーの小倉朋子さんは話す。
「納豆に含まれる、必須アミノ酸の1つであるトリプトファンという成分は、ストレスを減らしてくれる神経伝達物質であるセロトニンの材料になります。セロトニンは体のリズムを整えて快眠しやすい状態に導く効果もある。そのうえ、ストレスがかかると大量に減少してしまう、ビタミンB群も豊富です」(小倉さん)
2位の卵は家ごもりで陥りがちな“栄養の偏り”に効果的だという。
「たんぱく質、脂質、ミネラル、ビタミンをバランスよく含んでいるスーパーフード、特に卵のたんぱく質は9種類の必須アミノ酸を含むとても良質なものです。ただし、ビタミンCと食物繊維は入っていないため、野菜や果物と一緒に食べれば、すべての栄養素を摂ることができる」(管理栄養士の岡田明子さん)
野菜類ではにんじんとブロッコリースプラウトが5位と6位にランクイン。管理栄養士で医学博士の本多京子さんによれば、にんじんは感染に対抗する力を持つという。
「細菌やウイルスは鼻やのどの粘膜を通して体内に入り込みます。にんじんに多く含まれるカロテンは体内でビタミンAに変わり、粘膜や皮膚の健康を守ってくれます」(本多さん)
医師の黒田愛美さんは、ブロッコリースプラウトの解毒作用に注目する。
「ブロッコリースプラウトには免疫力アップに欠かせないビタミンCが豊富なうえ、抗酸化作用のあるビタミンEも含まれます。加えて、覚えておきたいのがファイトケミカルの一種であり、解毒作用もあるスルフォラファンも含んでいるということ。体にとって毒になるものを排出し、ウイルスに対抗できる体づくりが期待できます」(黒田さん)
心の健康はお酒やスイーツで
玄米やみそをはじめとして和食の原料となる食材への評価も高かった。
「玄米にはストレスを和らげ、脳の興奮を鎮める働きをするGABAが含まれている。家ごもりしていると活動量が減るため、時間をかけてよくかんで食べる玄米は、肥満予防の観点からもおすすめ」(管理栄養士の望月理恵子さん)
ナビタスクリニック新宿院長の濱木珠恵さんは、ご飯と一緒に具沢山のみそ汁を飲むことをすすめる。
「みそは主原料の大豆が良質な植物性たんぱく質を含むうえ、発酵の過程でさまざまなアミノ酸やビタミンが生成されます。みそ汁の具材として、豆腐を入れればたんぱく質の補充になるし、青菜や根菜、わかめなどを入れれば食物繊維が摂れ、油揚げなら脂質を補える。米飯と組み合わせると栄養バランスが非常によくなります」(濱木さん)
ぜひ、ランキングを参考にしながら食材を選んでほしいが、管理栄養士の伊達友美さんは「くれぐれも無理をしないでほしい」と提言する。
「どんなに体にいいといわれる食べ物でも、それが合う人と合わない人がいます。口に合わないものを無理に食べ続け、そのストレスで抵抗力が落ちたり心が不健康になるのでは逆効果になってしまう。たまにはお酒やスイーツなど、食材としての栄養は乏しいかもしれないけれど“幸せ”と感じるものを適度に摂ることも大切です」(伊達さん)
バランスに気をつけておいしく食べて、家ごもり生活を健康的に過ごそう!
※女性セブン2020年4月23日号
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