子育て支援住宅を併設した多世代交流型のサ高住
マストライフ古河庭園
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)を首都圏、名古屋、関西で展開している「積水ハウスグループ」。住宅メーカーとしての知見を活かしてサ高住の実績を積み重ねていく中、2012年に一棟の建物内にサ高住と子育て支援住宅を併設した多世代交流型賃貸マンション「マストライフ古河庭園」を東京都北区に建築し、運営している。
取材に訪れた日の午後にも、学校帰りの子どもが入居者と自然な形で生活を共にしている様子を目にすることができた。子育て世代とその子どもたち、そして高齢者がほどよい距離感で生活を共にしている。やはり子どもの声が聞こえると賑やかで活気があり、他の高齢者だけの住まいとは雰囲気も異なるのは確かだ。
多世代交流型住居のメリットとは?
マストライフ古河庭園に入居する高齢者の平均年齢が80代ということもあり、1つの建物内で子育て中の家族が同居する事例はまだ少ないようだが、徒歩1分のところにある系列のサ高住「グランドマスト西ヶ原」に住んでいる入居者の子どもと孫がマストライフ古河庭園の子育て家族向けの賃貸マンションに住むといった事例は出ているという。今後、このようにして家族が同じ建物内に住む事例も増えていくのかもしれない。
マストライフ古河庭園のフロント業務を請け負っている「株式会社JBS」取締役統括部長の依田なみさんは多世代が共に暮らす様子を長屋のようだと話す。
「長屋のような雰囲気で活気がありますよ。実家族よりも適度な距離感を持っているので平和な感じもします。いい意味で気を使っているのかもしれません。私自身は入居者の皆さんとは、義理の娘のような距離感で接しています(笑い)」(依田さん)
JBSはマンションのコンシェルジュサービスを行っている会社だ。依田さんのようなプロフェッショナルがいれば、入居者も生活上の相談を気軽にしやすそうだ。
運営会社である「積和グランドマスト」企画開発課課長の高橋宏史さんによると、高齢者だけしかいないサ高住に引っ越すよりも、子どももいるところのほうがいいということで入居を決める人もいるのだという。子どもと日常的に接することで、生活に活力が出ることも多いそうだ。
では、こうした施設ならではの、そんな活力の出るアイディアを見ていこう。