コロナウイルスを寄せつけない正しい歯磨剤&歯ブラシの選び方
誰しも毎日行っている歯磨き。正しい方法でやらなければ、歯周病だけでなく重大な病気を引き起こすことになるって、知っていますか?
「適切な歯磨きをして口腔内の環境を整えれば、新型コロナ対策になる」と歯科衛生士の濱田真理子さんは語る。また、2人に1人が罹患し、いまや国民病といわれるがんも口腔内環境とは無関係ではないという。
正しい口腔ケアや歯ブラシの選び方など、今すぐ実践できる方法で病気を寄せ付けない習慣を身につけましょう!
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歯ブラシは目的と毛先で選ぶ
まずは、歯ブラシはどう選ぶべきか。
「歯ブラシは目的別に作られていて、歯垢の除去、歯周病の予防など種類が豊富。目的に応じて選ぶといい。髪質によってシャンプーを変える人は多いのに、歯ブラシには無頓着な人が多い。素材や形状を時々変えて、自分に合ったものを探してみてください」(濵田さん)
一般的に質のいいものは、用途に応じて毛先の先端がきれいに加工されているという。
「毛先はルーペで見ればわかりますが、店頭でチェックするのは難しいので、値段が判断材料になります。100円程度の安すぎるものは避けて、300円くらいのものを選ぶといい。素材はどれでも大差ありません。また、どのメーカーも自信がある商品は、ホームページに毛先を拡大した画像や開発秘話を載せているので、チェックするのも手です」(濵田さん)
歯間ブラシも併用したい。
「加齢や歯周病で歯茎がやせてくると、すき間を掃除する必要があります。おすすめなのは、ゴム製の『やわらか歯間ブラシ』(小林製薬)。加齢によって歯茎が下がってくるとエナメル質の下にある象牙質が露出しますが、その部分をワイヤー製の歯間ブラシで掃除すると、知覚過敏になることがある。ゴム製なら傷つける心配はありません」(濵田さん)
草加ファミリー歯科院長の小垣佑一郎さんは、デンタルフロスをすすめる。
「デンタルフロスを使わないと、きちんと歯ブラシで磨いているつもりでも、歯のすき間が虫歯になってしまいます。フロスは歯茎を傷めないよう、ワックスつきのものを使うといいですね。虫歯の患者さんには歯磨きの後にフロスをすすめるのですが、きちんと実践すればほとんど治療に来ることがなくなります」
歯磨剤に頼りすぎない
歯磨剤は成分と用途に注目して、選ぶようにしたい。
「合成界面活性剤、合成甘味料、防腐剤などが不使用で、天然由来の成分を使っているものが安心。歯周病、ホワイトニング、虫歯予防など種類が豊富ですが、用途に合ったものを選んでください。歯周病を予防したいのにホワイトニング専用の歯磨剤では意味がない」(濵田さん)
小垣さんは、歯磨剤に頼りすぎるのは逆効果だと言う。
「歯磨剤自体が悪いわけではありませんが、つけると泡立ち効果でスッキリするので、きちんと磨けていないのに満足してしまいがち。歯磨きの目的は、ブラッシングでプラークをしっかり除去すること。何もつけなくても汚れは落ちるし、歯磨剤をつけないとスッキリしないなら、磨き残しがあるということです」
塩の配合を売り物にする歯磨剤があったり、塩で歯肉マッサージをする方法が喧伝(けんでん)されたりするが、小垣さんは効果がないと一刀両断。
「塩をつけると水分を吸収するので、歯茎が引き締まったように感じるだけ。歯周病の予防はプラークを除去することですが、塩自体に歯肉の血液循環をよくしたり、歯周病を改善したりする効果はありません。それどころか、塩による歯肉マッサージは歯肉を傷つけることすらあります」
やってはいけない歯磨き
力を入れて磨くのも、もちろんよくない。
「親指と人差し指で鉛筆を持つような感覚で歯ブラシの柄を持って先端が曲がらないくらいの力加減で磨いてほしい。歯の表面を繰り返しなぞるようなイメージです。特にナイロン製の歯ブラシは、強くこすりすぎると歯や歯茎が傷つきやすい。やさしくブラッシングして」(小垣さん)
秋葉原駅クリニックの内科医の佐々木欧さんも声をそろえる。
「本来、病原体は粘膜から侵入しますが、磨きすぎて歯肉に傷をつけると侵入する入り口を広げてしまうことになる。特に歯周病になっている人は、すでに口の中に傷がある状態なので、気をつけましょう」
歯肉の奥深くにたまったプラークや歯石は自力では取れない。虫歯や歯茎の状態をチェックしてもらうためにも、定期的に歯科医院に行くべし。
「3か月に1回は検診に行って、歯の状態をチェックしておくと安心です。ただし、最終仕上げの型採りを歯科医が担当しない歯科医院は避けた方がいい。ひとりの歯科医がすべての工程を担当してくれるところがいいですね」(小垣さん)
ケアをしっかり行い、新型コロナウイルスも生活習慣病も遠ざけて長生きしよう。
教えてくれた人
濱田真理子さん/歯科衛生士。
小垣佑一郎さん/草加ファミリー歯科院長。
佐々木欧さん/秋葉原駅クリニック、内科医。
※女性セブン2020年4月9日号
https://josei7.com/