介護業界の人手不足解消に AI、ICT活用など4つの取り組み
高齢化と少子化が同時進行する日本では、何より人手不足が深刻な問題になる。24時間営業の飲食店が深夜営業をやめ、ヤマト運輸などの宅配業者が料金値上げや時間指定配達の縮小を行ったのも、人手不足の影響だ。
また、コンビニや飲食店では外国人が働く姿がもはや当たり前。今の日本は彼らなしでは店の切り盛りができない状況だ。
慢性的な人手不足に直面しているのが介護業界だ。2025年には約37万人もの人材が不足するとの推計もある。だが、青森県むつ市にある特別養護老人ホーム『みちのく荘』では、介護記録をデジタル化して、人手不足によるスタッフの負担軽減と業務の効率化に成功している。ここで行われている4つの取り組みを紹介しよう。
【1】介護記録にモバイル導入で効率化
以前はサービスが終わってから、思い出しながらパソコンに介護記録を入力していたため、記入漏れや間違いが生じやすく、残業が多かった。
「2011年にiPadを導入してからは、利用者とコミュニケーションを取りながら、その場で記入。スタッフ間の情報の共有も可能になり、業務が効率化できました」(みちのく荘園長・中山辰巳さん・以下同)
【2】ICT見守りシステムで転倒・転落を察知
居室に赤外線センサーを設置して転倒・転落につながる予兆を検知し、端末に通知する「予測型見守りシステム」を2015年に導入した。
「アラームで危険を知らせてくれる他、起床時、落下時など、状況により異なるメロディーでの通知も可能。状況をシルエット映像で確認できるので、緊急事態かどうかを判断しやすくなりました」
【3】入浴時に移乗ロボット導入で、負担を軽減
車いすへの移乗、トイレ、入浴サービスを行うには、2人以上での介助が必要だったが、天井走行リフトを導入したことで、1人での作業が可能に。現場スタッフの負担が軽くなり、腰痛予防や事故リスクの軽減、虐待防止にもつながっている。
【4】真空調理によるオーバーナイトクッキングで時短に
材料をセットすれば、夜間にほったらかしでも調理できるため、朝食の準備時間が短縮、早番勤務がなくなった。
「機械や介護ICTなどのハイテク導入は、介護を受ける人もスタッフも笑顔で過ごすために有効です」
人の手だけで介護を行うには限界がある。長時間労働によるスタッフの疲弊を防ぐためにも、AI技術の導入は、不可欠だ。
※女性セブン2018年2月1日号
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