「介護の話」は親が元気なうちに 上手な切り出し方を専門家が伝授
備えておきたい、いつかはやってくる「介護」の問題。介護の話は、体が弱ってからでは聞きにくくなるため、まだ元気なうちに話を切り出すのがいいと、介護ジャーナリスト・太田差惠子さんは語る。
帰省で実家にいるときは、良いチャンスかも。その切り出し方を教えてもらった。
離れて暮らす子供の方が話がしやすい場合も
「介護の準備は、コミュニケーションから始まります。できれば、体が元気なうちに親や夫の意思を確認しておくといいでしょう。毎日顔を合わせる妻や娘より、離れて暮らす子供のほうが話をしやすいケースもあります。
本人といちばん話をしやすい人が介護施設や入院したときはどうするかなど、少しずつ話をしてみましょう。どうしても話しにくい場合は、かかりつけの医師から話をしてもらうという手もあります。
家族が集まる年末年始は、介護を考えるいい機会。きょうだいや子供たちとの間で介護が必要になったときの役割を決めておくのもいいでしょう。帰省の際に、ご近所さんに何かあったら声をかけてくださいとお願いするなど、親の周りに頼れる人を増やしていくといいですよ。
今は介護サービスも選択肢が増えているので、元気なうちから試してみては」(太田さん・以下「」は同)
親の気持ち、うまく聞き出す会話例
●「最近、体調はどう? 子供たちも心配してるよ」
「いきなり『介護』のことには触れず、まずは体調を気遣うなど『相手を思いやる』意思を見せること。また、きょうだいや子供たちと相談し、いちばん気軽に話をできる人を決めておくといいでしょう」
●「(風邪)大変だったね。今回はよかったけど、ちゃんと健診してる?」
「子供や妻(夫)に心配をかけまいと、病気やケガのことを黙っている人も多いんです。体調が回復したタイミングを見計らい、健康面の不安や、健診に誘ってみるといいでしょう」
ある「仲のいいお友達は近所にいる? 連絡先教えておいて!」
「介護はひとりで抱え込まないこと。何かあったとき頼れる人を増やしておきましょう。帰省したときなどにご近所さんやお友達の連絡先を聞いておくといいでしょう」
こんな聞き方はNG!
NG:「老後の資金はいくらくらいあるの?」
NG:「通帳どこにあるんだっけ?」
「いきなりお金の話から切り出すのはNG。まずは、体調や不安なことなどから話を始め、“親を気遣っている”という気持ちを見せてから、お金の話題に」
NG:「保険は入ってるの? 保険証券どこ?」
「入院をきっかけに介護が始まることが多いため、保険に加入しているかは確認しておくべき。『体調が心配なんだけど、万が一入院したら保険は使える?』など、話し方に注意して」
お金のことはこう切り出すのベター
●「~(友人)のお母さんが急に倒れて介護が始まったって。結構お金がかかるみたいよ」
「友人の話や架空の人の話を例に、介護の話題を切り出してみるのも手。自分にはまだ関係ないと思っている親も、身近な人の話を聞くと現実味が増すものです。
介護費用は、できれば本人のお金から出してほしいもの。もしもの事があったら、入院や家のリフォームにお金がかかるね、などと切り出してみては」
介護はある日突然やってくることも。今から、できることで備えたい。
※初出:女性セブン
【関連記事】