説明の録音はOK? ドクターとの上手なつきあい方
病気の時にしか接することのないドクターとうまく意思の疎通ができず、不安や不満を抱えてしまう場面が増えている。
具合の悪さや不安な上、慣れない医療用語に戸惑い、聞きたいことが聞けずもんもんとしてしまう人が多いのだ。いざその時に困らないためのコミュ二ケーション術を、事例をもとに専門家に聞きました。
【回答者】
●大野智さん/医師、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座准教授。患者と関係をよりよくするための講演も行う。
●増田美加さん/女性医療ジャーナリスト。自らの乳がんになった体験から、患者の立場に立った医療情報について取材、執筆を行う。
●山口育子さん/認定NPO法人『ささえあい医療人権センターCOML(コムル)』理事長。多くの患者からの電話相談を受けている。
●豊田剛一郎さん/東京大学医学部卒業後、日米で脳外科医として勤務。現在、オンライン医療事典などの運営を行う『メドレー』の代表取締医師。
事例1:セカンド・オピニオンを受けたいのですが…
患者:「セカンド・オピニオンを受けたいのですが、主治医に言い出しにくいのです…」
医者:「遠慮することはありません。ただし…」
M世さん:子宮がんの手術を受けることになって、他に治療法がないか、セカンド・オピニオンを受けたいのですが、今の先生に悪くて言い出しづらいのですが、どうすればいいでしょうか?
大野さん:受ける治療について、客観的な意見を別の医師に聞きたい場合、まったく遠慮する必要はありません。ただし、自分に都合のいいことを言ってくれる医師が見つかるまで病院を変える“ドクターショッピング”はお勧めしません。
増田さん:特にがん治療では、セカンド・オピニオンを受けるのは非常に大切。『先生を信頼して、納得のいく治療を受けるためです』と“これからも先生にお世話になりたい”という意思を伝えましょう。それでも、紹介状を渋ったり、『この病院には二度と戻って来られない』と言う医師なら、それこそ病院を変えてもいいかもしれません。
担当医の方針に疑問を持っても、尊重する意思を持って信頼している旨を伝えれば、医師も気分を害さない。
事例2:説明を録音したいのですが…
患者:「説明を全部覚えるのが大変で、録音したいのですが」
医者:「録音してもいですが…」
S子さん:先生の説明を家に帰ってもう一度、確認するために録音をしたいのですが、先生からは嫌がられますか?(33才・主婦)
山口さん:患者さんに「録音していいですか?」と聞かれて、正直、戸惑う医師も少なくありません。医師も人間ですから“万が一のことが起きた場合、証拠として録音されるのではないか”と思ってしまい、本音が言いにくいという声もあります。ただ、ほとんどのかたが“確認するため”“家族に聞かせるため”の録音です。もちろん黙って録音するのはお勧めできませんが、「家族に聞かせたいので録音してもいいですか?」と断りを入れれば、医師も安心して話ができます。
メモを取る時も同様にひと言断りを入れれば、医師は、書くペースに合わせて話すなど、配慮してくれるそうだ。
事例3:ネットの情報と違う説明ですが…
患者:「医師の治療法とネットの治療法に違いが!?」
医者:「ネットの情報をうのみにするのは危険です」
R美さん:めまいがしたので耳鼻科を受診したら、「どこも悪くないから、ストレスが原因では。睡眠をしっかり取るように」と言われ、薬を出してくれませんでした。ネットの情報では薬で治せるようですが、病院を変えるべきですか?(47才・パート)
大野さん:ネットの普及により、簡単に病気のことを調べることができるようになりました。もちろん、自分の体のことを知る上でも、ネットで調べるのは悪いことではありません。ただし、ネットの情報がすべて正確なわけではなく、書かれている事例が自分に当てはまるとは限りません。うのみにせず、「ネットにはこう書かれていたけれど、私の場合はどうですか?」と担当医に相談を。
テレビ番組で紹介された健康法もすべての人に適しているわけではない。普段、病院にかかっている人は、担当医に相談しよう。
※女性セブン2017年12月21日号
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