嚥下、滲出、寛解、QOL、浸潤… 知っておきたい医療用語
病気の時にしか接することのないドクターとうまく意思の疎通ができず、不安や不満を抱えてしまう場面は多い。具合の悪さや不安な上、慣れない医療用語に戸惑い、聞きたいことが聞けず悶々としてしまうのだ。
「主人の手術の説明を医師がしてくれたのですが、カタカナばかりで、よくわかりませんでした。こんな時、確認してもいいのでしょうか?」(55才・主婦)
こんな疑問に対して、大阪大学大学院医学系研究科統合医療学寄附講座准教授で患者と医師の関係をよりよくするための講演も行う医師の大野智さんは、こう話す。
「病気の診断名や治療法は医学知識がなければ理解できなくても当然です。丁寧かつ正確にわかりやすく説明しようとする医師も増えてきていますが、つい専門用語を使ってしまいがちなのが現状です。例えば“エビデンス”など耳慣れない言葉が出てきたら、『それはどういう意味ですか?』と質問すれば、わかるように説明し直してくれます。遠慮せずに聞いてください。時間が足りなければ後日、改めて診察を受けた時に聞いても問題ありませんよ」
そこで、病院で頻繁に使われる医療用語を解説する。
覚えておきたい専門用語集(あいうえお順)
【インフォームド・コンセント】
病状や治療法に関して、医師から説明を聞き、それを理解・納得した上で同意すること。
【エビデンス】
科学的根拠という意味。その治療法に効果があることを示す具体的な根拠や証拠を指す。
【嚥下(えんげ)】
液体や固形物をのみ込むこと。
【寛解(かんかい)】
治癒(ちゆ)まではいかないが、病状が落ち着いている状態。
【既往症(きおうしょう)】
今は治っているが、以前かかったことのある病気。
【QOL】
キュー・オー・エルと呼び、クオリティー・オブ・ライフの略。生活の質、人生の質のこと。たとえば「術後もQOLが保たれます」と言われた場合、「手術後も、それ以前と同様の生活が送れます」という意味。
【誤嚥(ごえん)】
食べ物が誤って気道内に入ってしまうこと。
【浸潤(しんじゅん)】
がん細胞などが発生した病変部にとどまらず、その周辺組織にまで広がること。
【滲出(しんしゅつ)】
液体が外ににじみ出ること。炎症によって血液の血漿(けっしょう)成分(水や蛋白質など)が血管外に出てくる状態。
【生検(せいけん)】
生体の臓器あるいは組織の一部を切り取って,顕微鏡などで調べる検査。
【セカンド・オピニオン】
主治医の診断や治療法が適切かどうか判断するための、別の医師による意見。
【耐性(たいせい)】
薬を反復して使用することで、その効果が低下する現象。
【浮腫(ふしゅ)】
皮膚の下(皮下組織)で水分が多量にたまった状態。一般的にむくみのことを指す。
【プライマリ・ケア】
あらゆる健康上の問題や病気に対して、提供される医療。プライマリ・ケアを専門に担う医師は、総合診療医と呼ばれる。
【予後(よご)】
病気の進行、治療の効果、生存率など、今後の病状についての医学的な見通し。
【離開(りかい)】
手術で縫った傷が開いてしまうこと。
※女性セブン2017年12月21日号
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