口臭対策に「スパイスうがい」~家庭にある調味料でアーユルヴェーダ<3>
アーユルヴェーダの考え方に基づき、ミライプロジェクト(本社:東京都渋谷区)が、TOKYO Beauty & Care アカデミーの短期講座として開講したワンデイレッスン『高齢者介護とアーユルヴェーダ~台所調味料でできる家庭の介護ケア~』。この中で紹介された、調味料を使って行う高齢者ケアの第3回はインドらしいエキゾチックな香りのスパイスが登場する。今回も、アーユルヴェーダ ビューティカレッジ代表の新倉亜希さんに教えてもらった。
* * *
カレーでおなじみのスパイスがうがい液に
アーユルヴェーダでは、家庭のキッチンにでもあるような調味料やスパイスを、痛み止めやデトックスに活用する。
「第2回ではごま油そのものを利用したうがいをご紹介しましたが、今回はとくに口臭対策に役立つうがい液のつくり方です。うがい液に使うのはどれもカレーなどに使うスパイスですから、スーパーなどで簡単に手に入ります。また、うがいをしているときに飲み込んでしまっても、もともと食品なので体に害はありません。副作用もないので、安心して使えるのが、高齢者ケアに利用するうえでの大きなメリットです」(新倉さん、以下「」内同)
うがい液に使用するスパイスは、次の3種類だ。
●ターメリック
日本名はウコン。抗炎症作用があり、インドでは皮膚炎の治療に使われる。うがい薬として使うことで、入れ歯で傷ついた歯ぐきや舌の痛みの緩和や、歯周病(歯槽膿漏)の予防に有効。
「ターメリックパックは床ずれに有効です。パックはターメリック大さじ1と小麦粉大さじ2に牛乳を加えて練り、ペースト状にしたもの。それを患部に塗ると、床ずれの痛みが治まり、炎症が落ち着きます」
●クローブ
日本名は丁子(ちょうじ)。インドでは麻酔薬として、歯の痛み止めに使われる。
「むし歯で歯が痛むとき、痛いところに丁子をさすと、痛みが和らぎます。日本の薬局でも『今治水(こんじすい)』という伝統的な歯痛薬がありますが、その主成分は丁子油なんですよ」
●ナツメグ
肉のくさみを消すためにハンバーグなどによく使われるスパイス。甘い香りがあり、お菓子にも使われる。アーユルヴェーダでは体を温め、おだやかな睡眠を導くために利用される。ただし大量にとると急激な眠気に襲われたり、幻覚症状が出たりするため要注意。
うがい液の作り方
うがい液の作り方は次の通り。
【1】小鍋に水を500ml入れ、ターメリック大さじ1/2、クローブ1つまみ、ナツメグ少量(瓶を数回振る程度)、太白ごま油大さじ1を加え、火にかける。
【2】グツグツ煮立ってきたら火から下ろす。
【3】ざるにクッキングシートを敷いて【2】をこし、冷ます。
※誤嚥防止対策として、固形物をこして取り除く。
スパイスうがいを初体験
うがい液が冷めたところで、記者は、早速口に含んでみた。漢方薬のような独特な香りとほのかな苦味があり、かすかにピリッとする感じ。市販のうがい液のような強い味や香りはなく、むしろマイルドな味わいだ。
口の中で液体をクチュクチュ動かし、1分ほどしてから吐き出すと口がさっぱり、爽快。
「高齢者の中には、歯磨きがていねいにできなかったり、入れ歯を使ったりするために、口臭が強い方がいます。このうがい液を役立ててほしいですね」
「家庭にある調味料でアーユルヴェーダ」<4>(最終回)は「ごま油マッサージで深い眠りを」です。
→このシリーズのバックナンバー
関節痛や床ずれ対策に!~家庭にある調味料でアーユルヴェーダ<1>
歯周病、ほうれい線にも役立つ「ごま油うがい」~家庭にある調味料でアーユルヴェーダ<2>
監修:新倉 亜希
アーユルヴェーダビューティカレッジ 代、日本アンチエイジング&ヘルスデザイン協会(JAH)代表理事、内閣府認定 アーユルヴェーダ協会 理事、一般社団法人 国家ビジョン研究会 農業・食料問題分科会 研究員。
インド・ジャイプールにある医療法人Chakrapani Ayurveda Clinic & Research Centerにてアーユルヴェーダ医師のもとで修行をし、現在では特に高齢者支援、アンチエイジング、妊活、育児、メンタルケア、教育にアーユルヴェーダを取り入れたメソッドなどに取り組んでいる。
【協力】
株式会社ミライプロジェクト http://www.mirapro.net/
撮影/津野貴生 取材・文/市原淳子