睡眠と食、生活の継続性にこだわった介護付有料老人ホーム<前編>
オープン間近の話題の施設や評判の高いホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。
今回紹介するのは、さいたま市浦和区の介護付有料老人ホーム「ソナーレ浦和」だ。
ソナーレ浦和
埼玉県さいたま市浦和区にある「ソナーレ浦和」は、ソニー・ライフケアグループの展開する「ソナーレ」シリーズ2つ目の介護付有料老人ホームだ。昨年4月にオープンした「ソナーレ祖師ヶ谷大蔵」(東京都世田谷区)に続いて作られ、JR浦和駅から徒歩7分と利便性も高い。
マットレス1枚の硬さにもこだわる
ソナーレ祖師ヶ谷大蔵同様、ソナーレ浦和も入居者の睡眠にはこだわっており、午前中に散歩をすることや夕方のレクリエーションなどにも積極的に取り組んでいる。日中の生活サイクルを整えることで、睡眠の質が向上するのだという。また、こうした「スリープマネジメント」のために、ベッドのマットレス調整の考え方など細部に至るまで、スタッフが日々議論をしているのだそう。つい先日もソナーレ祖師ヶ谷大蔵の作業療法士がソナーレ浦和を訪れ、これまでの実績をもとに、情報交換をしたという。
「当社のご用意しているマットレスは3層構造です。さらに、1番上の階層は10個に分割されており、硬さの違う4種類を組み合わせてご利用いただけます。そのため、お一人おひとりに合わせてカスタマイズが可能なので、両ホームの作業療法士と連携し、むくみの強い方にはこういう並べ方をするといいなど、情報交換をしています」(副ホーム長兼ライフマネージャーの豊島隆史さん、以下「」は同)
ソナーレ浦和では体圧分散計を使って、入居者がベッドに寝たときにどのような負担がかかっているのかを入居時にチェックしている。身体の一部分に過剰な圧力がかかっていると眠りに影響が出るので、3層構造のマットレスの硬さを細かく調整して、提案するとのこと。仰向けで寝る人、横向きで寝る人などそれぞれの寝方に合わせ、身体状態の変化にも気を配って、マットレスの硬さを調整してくれるのだ。
ベッドはドイツのフェルカー社と日本製のパラマウントベッド社、2種類を導入。加えて、睡眠計を用いた眠りの「見える化」にも取り組んでいる。経験や勘に頼るのではなく、医学的、科学的根拠に基づいたスリープマネジメントが推進されているのだ。
睡眠へのこだわりはお風呂の時間にも。お風呂の時間が決められている高齢者向け施設が多いが、ここでは入居者の希望にできるだけ沿うようにしている。また、身体状態に関わらず大浴場での入浴ができるように、リフトを導入しているほか、大浴場には大画面の液晶モニターがあり、露天風呂感覚で様々な景色の映像を見ながら入浴を楽しめる。
「夜間の入浴も行っています。『お風呂のご希望はありますか?』と聞くと何もおっしゃらない方が多いですが、『ご自宅では何時に入っていらっしゃいましたか?』と聞くと、やはり夜に入っていた方が多いんです。あまり大幅に入浴時間を変えると眠れなくなってしまう方もいらっしゃるので、生活の継続性という意味でも、それまでのライススタイルにできるだけ合わせています」
ここまで睡眠にこだわるのには、理由がある。睡眠を整えると、日々の生活を健やかに過ごすことにつながる。そして、日中の生活リズムが整うと、夜に向けてリラックスした環境を作れるので、睡眠の質が向上する。昼と夜の過ごし方には相乗効果があるのだ。
睡眠は高齢者の生活に大きな影響を及ぼす。昼夜逆転による夜間徘徊の防止、生活習慣病の予防、うつ病予防、生活意欲向上、脳の活性化と認知症予防、コミュニケーション意欲の向上による社会性維持…など、多岐にわたることが、睡眠の質を向上させる効果として期待される。