介護生活にハーブを!<6>深刻なニオイの悩みに役立つ”ローズマリー”
ニオイの悩みは、誰にとっても他人事ではないが、特に介護中は、気になる場合が多いはず。介護する人も、受ける人も、気持ち良く過ごすために、ハーブを活用してほしいという、写真家でハーバリストの飯田裕子さんに、ニオイ対策におすすめのハーブを紹介してもらう。
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介護をされている方にとって、大きな悩みの一つに「ニオイ」が挙げられと聞きます。
家には、そこで暮らす人の嗜好や生活パターンによって様々なニオイがあります。ことさら在宅で介護をしているとなると、排泄に関わることなどの、なかなか避けることができないニオイが加わって、気分が滅入る原因にもなるかもしれません。
ハーブといえば、「いい香りがするものですね」とおっしゃる方も多いのですが、ハーブといえど、香りのないものもあります。香りそのものを、癒しの効果に使うアロマテラピーなどは、薬草としてのハーブ全体の歴史からいうと、そう古いものではありません。アロマテラピーについては、また別の機会にして、今回は、実践的な消臭、抗菌に役立つハーブとその使い方を紹介します。
ハーブを消臭に使うことで、「ニオイを緩和」「消毒」という目的のみならず、気分や心も整えてくれるので、介護中のQOL(生活の質)を底上げし、市販の消臭剤などとは違う効果が期待できます。
まず初めにご紹介するものは、ローズマリーを使用した「ローズマリーエタノール」です。
ローズマリーといえばお料理では馴染みの深いハーブです。地中海沿岸の海洋性気候に育ち、ラテン語で「ロス マリノス」。「海のしずく」という意味を持ちます。
ヨーロッパでは「若返りのハーブ」として古くから人々に使用されてきました。脳の記憶や活力を整えるという報告もあり、かのアレクサンダー大王もローズマリーの冠を頭上に遠征していたそうです。また、疫病が流行った時には抗菌効果を発揮したとも伝えられています。
ローズマリーにしか含まれないロズマリン酸という化学成分には、抗菌作用や抗ウイルス作用が認められています。また、ロズマリン酸はアレルギーを和らげる作用があることも近年認められ、花粉症の症状緩和にも用いられるようになっています。
ロズマリン酸以外にも、ローズマリーには抗菌の油脂成分も含まれるため、アルコールであるエタノールで成分溶出して作るのが、今回ご紹介するローズマリーエタノール液です。
薬局で販売されている「無水エタノール」で、ローズマリーから成分を抽出します。市販のエタノールスプレーを消毒用にご家庭に常備されている方も多いと思いますが、ローズマリーを抽出したエタノールでは、消臭抗菌効果がさらにアップし、また香りで空間を浄化することも期待できます。
私はこのローズマリーエタノール原液を作り置きして、目的に合わせ水で希釈し、スプレー容器に入れて、以下のような用途に使っています。
●尿瓶(しびん)の消臭、消毒に。(原液濃度 30%)
●床掃除の時に、使い捨て水拭きシートに染みこませて。 (原液濃度50%)
●ゴミ捨て後のゴミ箱の消臭に。(原液濃度10%)
●ルームフレッシュナーにはハッカ油を2、3滴加えて。(原液濃度10%)
●台所の生ごみ処理の後やまな板の消毒。(原液濃度10%)
●靴の中に。(原液濃度30%)
●車の中での消臭に。(原液濃度30%)