肩こり対策に!理学療法士が教える自宅でできる簡単セルフケア3選
肩こりに悩む人は多いものの、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用など、肩こりにつながる習慣をすぐに変えることは難しいもの。そこで今回は、理学療法士である黒木綾乃さんに自宅で手軽にできる肩こりのセルフケアを教えてもらった。
教えてくれた人・文
黒木綾乃(くろきあやの)さん/理学療法士・介護予防運動指導士・ヨガインストラクター・パーソナルトレーナー
理学療法士として総合病院、訪問リハビリ、老人保健施設、デイケア、デイサービス、有料老人ホーム、介護施設役員などを経験。さまざまな現場でリハビリテーションを提供する。長年のリハビリテーションの経験から予防の発展と普及のため、医療ライターとしても活動中。現在は現場でのリハビリテーションの傍ら、一般の方へ腰痛や肩こり予防のパーソナルトレーニングも行っている。
肩こりはなぜ起こる?主な原因を解説
肩こりは多くの人が悩む身近な症状
国民生活基礎調査(厚労省2022)によると、女性・男性ともに「肩こり」は自覚症状の第2位。多くの人が肩こりを自覚していることがわかります。
肩こりとはどんな状態?
多くの人が悩まされる「肩こり」ですが、医学的には「肩こり」という病名があるわけではなく、自覚症状を表す言葉です。首から肩、背中の上部にかけての筋肉に負担がかかり、「重い」「だるい」「張る」「痛い」などの不快感が生じる状態を指します。私たちの頭の重さは一般的に約5~6kgもあり、それを首や肩まわりの筋肉が支えています。長時間同じ姿勢を続けたり、精神的なストレスを感じたりすると、首や肩まわりの筋肉に負担がかかり、肩こりにつながることがあります。
肩こりにつながる姿勢と筋肉への負担
肩こりが気になるときには、首や肩まわりを揉んだり、押したりすることで、こわばりや不快感が和らぐこともよくあります。ただし、肩こりの感じ方や原因は人によって異なるため、セルフケアを行っても改善しない場合や、頭痛や吐き気を伴う場合には、専門医や医療機関に相談することが大切です。
「凝っているところを揉む」だけではなく、肩まわりを動かすことも大切
肩こりのセルフケアでは、凝りを感じる部分だけにアプローチするのではなく、肩甲骨周辺の筋肉を動かすこともポイントです。肩甲骨は、首や肩、胸、背中などにある多くの筋肉と関係しています。
肩こりを和らげる簡単セルフケア3選
【注意】肩関節や肩甲骨の動きには多くの筋肉が関係しており、筋肉の硬さや弱さ、身体の動かし方には個人差があります。今回紹介したケア中に、痛みがでた場合は無理に行わないでください。ストレッチ中にめまいなど別の症状が出た場合は中止して、専門家に相談しましょう。
ここからは、肩周辺や胸周りにアプローチする3つのセルフケアを紹介します。ケア中は呼吸を止めず、痛みが出ない範囲でゆったりとした気持ちで行いましょう。
ストレッチをする際に、ストレッチポールを使用しますが、バスタオルを2枚と枕などで代用できます。硬すぎる場合は長時間使用しないよう注意しましょう。
ストレッチ用タオルの作り方
胸の背骨の下に引きます。縦の長さが30〜50センチ程度になるように作成してください。
1. バスタオル2枚を重ねて三つ折りにする
2. タオルの端にクッションまたは枕を置く
3. バスタオルでクッションをきつく巻いていく
4. 巻きがゆるまないようにバンドやゴムで固定する
(1)わきの下ストレッチ
わきの下にある前鋸筋や背中の筋肉などさまざまな部位にアプローチするストレッチを2種類ご紹介します。デスクワークやスマートフォン操作などで身体を動かす機会が少なくなりがちな人は、わきの下を意識しながら、肩甲骨まわりを動かすストレッチを取り入れてみましょう。
わきの下のストレッチ【1】(30秒×2回)
1. 四つ這いになり、膝は軽く開いた位置で、両足のつま先は立てます
2. 息を吐きながら、手のひらを上にし、両手を前に伸ばしていく
3. 徐々に胸と脇を床に近づけていきます
4. 手のひらの間はこぶし1つ分空ける
5. 膝下~膝の真上に脚の付け根がくるように意識する
6. 胸と額を床に下ろし、できそうな方は、目線は前方へ
7. 深く深呼吸をしながら、脇、胸、腹部が伸びているのを感じながら30秒ほどキープ
わきの下のストレッチ【2】(30秒×2回)
1.四つ這いになり、膝は軽く開いた位置で、両足のつま先は立てます
2.片方の肘を身体の中央にくるように、床につく
3.息を吐きながら、手のひらを上にし、ついた手を前に伸ばしていく
4.徐々に脇を床に近づけていきます
5.膝下~膝の真上に脚の付け根がくるように意識する
6.深く深呼吸をしながら、片側の脇、体側、腹部が伸びているのを感じながら30秒ほどキープ
(2)胸を開くセルフケア
デスクワークやスマートフォンの操作などで前かがみの姿勢が長く続くと、胸の前の筋肉が縮んだ状態になりやすくなります。胸を開くようにして、胸の前にある大胸筋・小胸筋などをゆっくり伸ばしましょう。肩をすくめたり、無理に胸を張ったりせず、自然な呼吸を続けることがポイントです。呼吸と共にリラックスして行うと効果がUPします!
胸を開くセルフケア【1】(30秒×2~3回)
1.ストレッチポールを準備する(バスタオルを数枚重ねて丸太状に丸めたものでもOK)
2.足を腰幅よりもひらき、しっかり膝を曲げ安定させる
3.リラックスしてストレッチポールの上に仰向けになり、そっとのる
4.両手を左右に大きくひろげる
5.深く深呼吸をしながら、30秒ほどキープ
6.胸の前が気持ちよく伸びているのを感じる。
胸を開くセルフケア【2】(30秒×2~3回)
1.ストレッチポールを準備する
2.足を腰幅よりもひらき、しっかり膝を曲げ安定させる
3.リラックスしてストレッチポールの上に仰向けになり、そっとのる
4.肘を90度に曲げた状態で、両手を左右に大きくひろげる
5.深く深呼吸をしながら、30秒ほどキープ
6.胸の前が気持ちよく伸びているのを感じる
(3)ばんざいストレッチ(30秒×2~3回)
背中をストレッチポールに沿わせて胸を開きながら、腕を頭上へ動かすことで、胸周りやわき、背中などの筋肉を伸ばす動きです。ストレッチポールに仰向けで乗った状態でバンザイをすると、胸の前からわき、背中にかけて伸びを感じやすくなります。肩甲骨や肩周辺も動かしながら、上半身をゆっくりとほぐしていきましょう。
呼吸と共にリラックスして行うと効果がUPします。腕を頭上まで動かすのが難しい場合は、無理に上げる必要はありません。
1. ストレッチポールを準備する
2. 足を腰幅よりもひらき、しっかり膝を曲げ安定させる
3. リラックスしてストレッチポールの上に仰向けになり、そっとのる
4. 肘を90度に曲げた状態で、両手を左右に大きくひろげる
5. 深く深呼吸をしながら、30秒ほどキープ
6. 胸の前が気持ちよく伸びているのを感じる
肩こりを防ぐために日常生活で意識したいこと
肩こりには、長時間同じ姿勢をとることや筋肉への負荷、関節の位置、疲労、運動不足、心理的ストレスなど、さまざまな要因が関係しています。そのため、ストレッチだけで肩こりを改善しようとするのではなく、日常生活の中で身体を動かす機会を増やすことも大切です。
日常生活で意識したい6つのポイント
【1】長時間同じ姿勢を続けない
【2】こまめに首や肩、肩甲骨を動かす
【3】肩や首に力を入れたままにしない
【4】深い呼吸を忘れていないか意識する
【5】睡眠や食事など、基本的な生活習慣を整える
【6】ストレスをため込まない
肩こりケアについてのまとめ
肩こりは、首や肩周辺の筋肉だけでなく、胸、背中など、周辺の筋肉や身体の動きも関係しています。こりを感じる部分だけを揉むのではなく、身体全体を動かすケアを取り入れることも大切です。
「肩がこった」と感じたときだけでなく、仕事や家事の合間などにも身体をこまめに動かし、無理なく続けられる方法で肩こり対策を取り入れてみましょう。
