倉田真由美さん「作家の三松真由美さん宅訪問」くらたまね~&らいふVol.23
漫画家でエッセイストの倉田真由美さんが気になるお金や暮らしのことを綴るエッセイ。今回は、友人の作家で恋人・夫婦仲相談のエキスパートでもある三松真由美さんにまつわるエピソード。乳がん闘病中の三松さんと会って感じたこととは?
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。夫の叶井俊太郎さん(享年56)の闘病から看取りまでを綴った書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。
作家の三松真由美さんのこと
作家の三松真由美さんのお宅に、友人のエッセイスト、サンドラ・へフェリンと一緒に真由美さんの退院祝いを兼ねて遊びにお邪魔しました。
「お久しぶり〜」
玄関ドアを開けてくれた真由美さんの朗らかで力強い様子を見た時、自分でも想像していなかった感動がありました。恐れていたような病気による影響はまったく感じられず、「まだ退院して1か月経っていないのに」と素直に驚き、元気づけようと思っていたこっちが元気づけられる笑顔でした。
真由美さんとは数年前、友人を介して知り合いました。周囲をパッと明るくする無類の天真爛漫さ、人懐っこさに感銘を受け一気にファンになりました。同じ「真由美」ということもあり、「『ダブル真由美ーズ』で、いつかM1に出ましょう!」などと話したり、頻繁ではないものの交流が続いていました。
しかし昨年、彼女は胸元を掻いていて「豆のようなしこり」に気づき、後にそれが乳がんであることが判明します。サブタイプはトリプルポジティブ、それが分かるまでの間はかなりモヤモヤしたと聞きますが、分かってからはほとんど迷わず治療方針も決まったそうです。
「いろんな伝手を頼って、信頼できる医師の方にも相談して、これで行く!と確信を持てたから」
私たちがテーブルを囲むと、真由美さんは大きなティーポットでお茶を淹れてくれながら言いました。重そうなので「私がやりますよ」といっても、「リハビリにもなるから」とにっこり笑っていました。
生粋の「イケメン好き」
真由美さんは周囲の人皆が知る、生粋の「イケメン好き」です。それが高じてイケメンを集めたフットサルチームや「イケメンドクターズ」などの医師集団などのメンズサークルを企画・運営したりするほどです。そして20歳年下のイケメンドクターのダーリンと3度目の結婚をするという、イケメン好きの名を不動のものにする偉業を成し遂げました。この度のがん治療には、このご主人の献身的な支えや助言もあったと聞いています。
「半年間の抗がん剤を経て、全摘手術。抗がん剤の時は結構辛かったけど、毎日のように友だちが来てくれていろんな話をして気を紛らわせたり、ジョギングやダンスの運動も欠かさなかったから、ほとんど後遺症もないのよ」
と、真由美さんは指先を見せてくれました。抗がん剤をすることで、人によっては爪や指先が黒ずんだり、震えが残ったりすることがあるそうです。
「手術の痛みはどうなんですか」
私が聞くと、
「私もそれ、いつ痛み出すんだろうってちょっと怖かったんだけど、全然大丈夫だったの」
麻酔の時はイケメンの夢を見てご機嫌だったし、と真由美さんはサンドラの手土産のナッツをつまみながら、イケメンたちが出てくる夢の詳細を語りました。
胸の全摘は大きな組織をごっそり取るわけで、負担は相当あったはずなのに、持ち前の明るさポジティブさもあって軽やかに乗り越えている真由美さん。痛みも人によるみたいだけどね、とは言っていましたが、これから手術に臨む人にとっては、「ほとんど痛みに苦しまない人もいる」というのは希望でもあるはずです。
今まで関わったたくさんのイケメンたちに助言やお見舞いをもらったり遊びに来てもらったり、それも活力の大きな源になったようです。終始明るく、むしろ「いい勉強になった」というニュアンスで乳がん判明からの治療体験を話してくれました。
真由美さんのマシンガントークであっという間に時間が過ぎ、私は仕事のため先に辞去しました。帰り道、真由美さんの話を反芻しながら「すごく好きなこと、好きなものがある」って強いなあ、と羨ましい気持ちが湧き上がりました。
真由美さんのイケメン好きに匹敵するような、何かに対する狂おしいまでの「好き」を探したい。
そんなことを再認識させられた1日でした。
