倉田真由美さん「想定外の涙」くらたまね~&らいふVol.24
「私にとって特別な作品」と倉田真由美さんが語る漫画『だめんず・うぉ〜か〜』。2000年から週刊誌の連載としてスタートし、藤原紀香さん主演でテレビドラマ化もされた倉田さんの代表作だ。その担当編集と再会したときのエピソード。
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。夫の叶井俊太郎さん(享年56)の闘病から看取りまでを綴った書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。
担当編集と再会して…
「だめんず・うぉ〜か〜」の担当編集だったともりんと、久しぶりに会いました。
30代丸々すべてを費やした「だめんず」は、私にとって特別な作品です。週刊連載だったのでほとんど毎週取材に行き、いろんな人に会ってダメ恋愛話を聞いたり、お見合いパーティーのようなイベントに出たりなど様々なことを体験しました。そのほとんどすべてにともりんも同行していました。誰よりもたくさんの時間を共有し、人のこと仕事のことそしてお互いのことを語り尽くした相手です。
結婚式に参加して泣いたのは、彼女の時だけです。「彼と結婚するんです」と式より前に聞いていたし、サプライズでもなかったけど、彼女のウエディングドレス姿を見た時にたくさんの思い出がブワッと蘇って、涙が湧き出てきました。あれは自分でも思いがけない反応で、忘れ難い経験です。実際にその場で姿を見る、その臨場感がもたらす感情の動きって、頭で考えていた想定を越えてくるんですよね。
そんなともりんですが、だめんずの連載が終了し、仕事で会わなくなったのと同時期に子どもの世話が大変だったりしてなんとなく疎遠になっていました。たまにメールでのやり取りはしていましたが、会うことはほとんどないまま時が過ぎ、夫の葬式の時に久しぶりに顔を見ました。その際「今度ゆっくり話そう」と約束したまま、お互い都合が合わなかったりしてまた2年半近く経ってしまっていました。
延び延びになっていたランチがやっと実現し、自由ヶ丘のカフェで待ち合わせをして再会しました。
想定外だったこと
「お待たせしてすみません〜ご無沙汰です」
電車の乗り換えミスで少し遅れてきたともりんは、髪型も痩せ型の体型も変わっておらず、私が知っているまんまのともりんでした。
「久しぶりだねえ。元気だった?」
「まあまあですかね。くらたまさんはどうですか」
「まあまあだね」
軽い挨拶から始まり、すぐに昔に戻って間断ないおしゃべりが始まりました。しばらく会っていなくても、深く付き合った人とは時間の壁を一気に越えられるものです。しかし、毎週会っていた30代の頃とは話題の内容は随分変わりました。当時は恋愛話がメインでしたが、今は病気や身体の不調についてが多くなりました。
「最近、更年期らしき症状があって…くらたまさんて更年期はどうでした?」
ともりんは、私の3歳年下です。脂っこい食事などを摂ると、体調を崩しやすくなったそうです。
「更年期らしい更年期はあんまりないかな。でも、体重が増えてギックリ腰やっちゃって。毎年のようになるし、腰痛は最早持病化してるよ」
お互いの近況を一通り話し終えると、共通の知人についてなどの情報も交換しました。「あの人らしい」「そういえば当時も彼女は…」など、共感できる感想を挟みつつやり取りするのが楽しくて、ともりんとの会話はこうだったなあと感慨深いものがありました。やっぱり、時が経ってもとても話が合うことが確認できました。
仕事があるということで3時間くらいで解散になりましたが、まだまだ話し足りなくて、「また会おうね」と約束して駅で別れました。
最後の方に夫のことで少し私が愚痴を言うと、「叶井さんらしいですね。きっと今頃、天国で『めんごめんご』って謝ってますよ」と言われて、夫の様子が浮かんできて泣けてしまったのは想定外でした。彼女は夫のことを知っているので、いかにも夫が言いそうなことが再現できたんですよね。
そういえば、ともりんは他人のちょっとしたモノマネが上手でした。また近々ゆっくり会いに行こうと思います。
