年々増加する高齢者の《孤独死》もしもに備える見守り対策3つのアクション【社会福祉士解説】
ひとり暮らしは気楽でもあるが、年齢を重ねるにつれ、もしものときに誰にも発見されなかったら――孤独死の不安も少なからずあるだろう。自宅で亡くなったひとり暮らしの人の6割以上が65才以上の高齢者だ(令和7年警察庁調べ)。内閣府によると死後8日以上経過した状態を「孤立死」と呼び、令和7年は2万人を超え、年々増加傾向にある。その背景や対策について、介護経験をもつ社会福祉士の渋澤和世さんに解説いただいた。
この記事を執筆した専門家/渋澤和世さん
在宅介護エキスパート協会代表。会社員として働きながら親の介護を10年以上経験し、社会福祉士、精神保健福祉士、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナーなどの資格を取得。自治体の介護サービス相談員も務め、多くのメディアで執筆。著書『入院・介護・認知症…親が倒れたら、まず読む本』(プレジデント社)、監修『親と私の老後とお金完全読本』(宝島社)などがある。
高齢化が進み「孤独死」の不安も…
近年、高齢化、独居の増加、核家族化、地域コミュニティの希薄化、経済的困窮、メンタルヘルスの問題などが重なり、孤独死(孤立死)が増加しています。
内閣府では、ひとり暮らしで看取られず亡くなった孤独死のうち、死後8日以上経過して発見された場合を「孤立死」としています。孤立の定義は、「遺体が発見される前の1週間は連絡が取れないことを気にかけてくれる他者との接触がなく、生前に社会的に孤立していたことが推認される」とされています。
参考/内閣府「令和7年孤立死者数の推計について」r7suikei.pdf
警察庁「警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者(令和7年)」R7nennreikaisoubetu.pdf
孤独死の事例から考える対策
誰にも気づかれずにひとりで亡くなってしまう孤独死――。そんな状況を未然に防ぎ、万が一の際にも早期に発見してもらうためには、何が必要なのでしょうか。実例をもとに、具体的な対策について考えてみましょう。
※実例をもとに設定を一部変更しています。
元気だった母がひとりで旅立った
A子さんの母親は80代でひとり暮らし。たまに電話をして気にかけ、月に一度は実家に顔を出していました。本格的な介護は必要なかったものの、宅配のお弁当を活用していたそう。仕事が忙しかったので帰省日を調整していたところ、宅配サービス業者から「お弁当のケースが引き取られていない」と電話がありました。
実家に電話をかけても応答がなく、慌てて帰宅してみると、倒れている母を発見。心筋梗塞ですでに他界された後で、数日間が経過していたそうです。
社会とのつながりを断った男性の末路
80代のB男さんは生涯独身。人とコミュニケーションを取るのが苦手で、プライドも高め。仕事を退職してからはより一層社会との接点がなくなり、町内会にも入らないので地域のつながりもほとんどありませんでした。ご自宅を訪問して一度お話を伺ったのですが、ご自宅から出て福祉サービスの利用をお伝えしたものの、行動に移されることはありませんでした。このかたは数年後にご自宅で亡くなり、死後10日以上経過していたそうで無念でなりません。
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Aさんのようにご家族が気にかけていても、Bさんのように身寄りがない場合でも、身よりの有無に関わらず、孤独死してしまうケースがあるのです。万が一の際にも早期発見してもらえれば助かる可能性もあるかもしれません。誰にも気づかれずに亡くなり、放置されてしまう状況は避けたいものです。
孤独死を避けるために取り組みたい具体的なアクション
健康に気をつけていても脳梗塞や心臓疾患、転倒のリスクは突発的に訪れます。重要なのは、万が一の事態、その異変に、家族や周囲の人がどれだけ早く気づいて、行動してくれるかです。特にひとり暮らしの高齢者やそのご家族に検討してほしい具体策について考えてみましょう。
【1】地域の「つながり」をつくっておく
・地域のコミュニティに顔を出す
自治会、地域の趣味のサークル、ボランティア活動など、定期的(週1〜月1回など)に参加する場所を持つことで、不在時にどうしたのかな?と気づいてもらいやすくなります。
・SNS投稿による安否確認
独身の3、4人が集まり、基本毎日何かしらの話題を投稿するルールを設けているグループに参加している知人がいます。その知人いわく、自分が2日間投稿しなかったら何か異変があったと思ってくれと伝えているとのこと。ちょっとした安心につながっているようです。
【2】行政のサービスを活用する
・自治体の見守り登録・配食サービス
多くの自治体で高齢者等を対象とした登録制の見守り訪問や、安否確認を兼ねたお弁当の配達サービス(配食サービス)を行っています。特に高齢者向け配食サービスの配達員は、異変を察知しやすく、お弁当の配送状況などから異変に気がつき、一命を取り留めたというケースもあります。
・地域包括支援センターへの事前相談
介護が必要ない段階であっても、一人暮らしで将来の孤独死が不安であるということを、地域包括支援センターに登録・相談しておくと、民生委員による定期的な声かけルートに組み込んでもらえるケースがあります。
昨今は、近所付き合いに負担を感じるなど地域と距離を置きたいかたが増えています。すぐに困るようなことは起きませんが、リアルの付き合いやSNS上でゆるい日常のつながりを作っておくと貴重な情報交換や交流の場になることもあります。
【3】民間のサービスを活用してしっかり見守る
昨今、民間企業でも多様な見守りサービスを展開しています。たとえば、大手の警備会社では高齢者向けの見守りサービスがあります。
室内に設置したセンサーが一定時間動きを検知しない場合や、助けが必要なときに緊急ボタンを押すことで、警備員が駆けつけて対応し、必要に応じて家族にも連絡が行く仕組みです。なお、自治体によっては、見守りサービスに補助金を利用できる場合もありますのでチェックしてみてください。
セコムの高齢者見守りサービス
ペンダント型の通報ボタンを握ると救急通報され、警備員が駆けつけてくれる『セコム・ホームセキュリティ(親の見守りプラン)』。お持ちの『Apple Watch』を使用してセコムに救急通報するプランも。ほかにも用途に合わせて多彩な見守りサービスを選べる。
https://www.secom.co.jp/mimamori/
ALSOK/HOME ALSOK みまもりサポート
専用のコントローラーを設置し、緊急ボタンを押すと警備員が駆けつけてくれたり、相談ボタンでいつでも看護師資格をもつスタッフに健康相談ができたりと、さまざまな安心サービスがある。https://www.alsok.co.jp/person/mimamori/
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見守り対策のほかに必要なこと
見守り対策をしていても、部屋の鍵がかかっていたら助けには入れないので、異変時には部屋に入れるように手配しておくことも必要になります。見守りサービスの内容によっては鍵を預けるオプションが選べるケースがあります。また、家族がすぐに駆け付けられない場合は、信頼できる親族、近所に住むかた、マンションの管理会社や大家さんに相談して、鍵を開けてもらえるようお願いしておくなど対策を講じておきたいものです。
「何かあったら自分で連絡する」と思っていても、容体によっては電話をかけることはおろか、スマートフォンのロックを解除することすらできない可能性もあります。もしものときに頼れるご近所さんと日常的にお付き合いをしておくことが賢明かもしれません。
