《生前整理で必須》「中身を見ないで」「初期化して処分」事前に決めておきたいデジタル遺産の扱い方
生前整理をするとき、同時にやっておきたいのが「デジタル遺産」の整理。普段そこまでスマホやパソコンを使わない人でも、デジタル遺産となるものを持っていることが意外と多いと話すのは、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さん。デジタル遺産の整理のために、どんなことをすればいいか詳しく教えてもらった。
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教えてくれた人
丸山晴美さん/節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー
22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。
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デジタル遺産は大きく2種類に分けられる
デジタル遺産と呼ばれるものは、大きく分けて2種類あります。写真データや文書ファイルなど、サービスの契約などが発生していない「オフラインのデジタル遺産」と、メールアドレスやホームページ、SNSなど、有償無償問わずサービス利用の契約をしている「オンラインのデジタル遺産」です。
特にオンラインのデジタル遺産の場合、サービスごとにパスワードが設定されているため、本人が整理をしておかないと、残された側が整理をするのは困難です。有償契約のものは、死後も解約まで利用料が引き落とされ続ける可能性もありますし、契約解除のためにはサービスごとに面倒な手続きを踏まなければならない可能性もあります。不要なアプリや契約は定期的に見直しをして不要なら解約しておくようにしましょう。
デジタル遺産の整理はパスワードの整理から
デジタル遺産を整理する場合は、まずスマホやパソコンなど、デジタル遺産が入っている電子機器のパスワードをエンディングノートなど死後相続人がわかるように、何かに記入しておくことをすすめています。パスワードがわからないと、その後の処分に手間と時間がかかるためです。
そのうえで、機器のデジタル遺産に関して、どう扱ってほしいのかを明確化しておきましょう。扱い方の選択肢としては、例えば次のようなものが挙げられます。アプリを開いて確認してほしい場合、パスワードがかかっているアプリであれば、そのアプリのパスワードも併記しておきましょう。
《デジタル遺産の扱い方》
・中身を見ないでほしい
・中身を見てもかまわない
・家族の判断に任せる
・特定のファイルやアプリを開いて確認してほしい
・特定のファイルやアプリは中身を見ないで消してほしい
・パソコンやスマホの中身を消去、初期化して処分してほしい
SNSやブログなどの扱いも決めておく
Facebook、Instagram、X(旧Twitter)、LINE、TikTok、mixiといったSNS(ソーシャルネットワークサービス)などの、サービスを契約して利用しているデジタル遺産も扱いを決めておきましょう。
何のサービスを利用しているのか、アカウント名やパスワード、URLは何か、亡くなったあとは閉鎖や解約をしてほしいのか、亡くなったことをフォロワーや読者に報告してほしいのかなどを整理しておくのがおすすめです。
電子決済サービスやポイントサービスにも要注意
PayPayや楽天ペイ、d払い、auPayなどのスマホ決済(コード決済)サービスやポイントカードなどをスマホのアプリ上で利用している人は、チャージ残高やポイント数にも注意しておきましょう。PayPayなどのスマホ決済や電子マネーはサービスによっては相続できますが、手続きは煩雑です。
また、チャージ式のスマホ決済や電子マネーなども相続財産の扱いになり課税対象です。基本的には自分が使い切れる金額を都度チャージするようにするようにしましょう。相続できる電子マネーは、チャージ式のものだけですので、それ以外のクレジットカードやコード決済でもクレジットカードに紐づいて決済しているものは対象外です。
一方、決済サービスや買い物などで付与されて溜まったポイントは、サービスによっても異なりますが、相続できないことが多いため注意が必要です。数万~数十万円分くらいのポイントを溜めている人もいますが、相続できなかった場合は無駄になってしまうため、ポイントは溜まったら優先的に使うようにするといいでしょう。
マイレージも引き継げる遺産
見落としがちですが、航空会社のマイレージも引き継げるデジタル遺産の一つです。ただし、一定期間内に必要書類を揃えて申請しないといけないため、気づいたら申請できる期間が過ぎてしまっていた、ということもあります。マイレージが溜まっていることも本人でないとわからないため、マイレージのサービスを利用している場合は、わかるように整理しておくのがおすすめです。
マイレージは、航空チケットだけではなく、JALのマイルはJAL PayやWAONへチャージ、ANAのマイルはANAPayやA-style、楽天ポイントやVポイントなどに交換もできるので、使いやすいものへ交換して使い切るのも一案です。
親がデジタル遺産をもっていることも
昨今では、高齢者がデジタル遺産を持っているケースも増えています。特に見落としがちなのがSNSサービスです。SNSといえば若い方が利用するイメージを持っている人も多いと思いますが、例えば「Facebook」は、同級生を探すためにシニア・高齢者世代が登録することが多く、利用者の割合も若い世代を上回っています。
以前登録やインストールをしたサービスやアプリがそのままになっているということもあるため、親がどんなデジタル遺産を持っているのか、SNSは死後どう扱ってほしいのか、コード決済や電子マネーは何を使っているのか、チャージし過ぎてはいないか、ポイントやマイルは早めに消化しておいた方が良いなど、一度話をしておくとよいでしょう。
取材・文/新藤まつり
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