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健康

1分で「53分」の効果!筋力アップや骨粗しょう症の予防に役立つ、自宅で簡単にできる「足上げ体操」を名医が伝授

 健康のために散歩を始めたけど、ひざが痛くて続かない。歩くのが面倒でつい車に乗ってしまう、無理に歩いて足を痛め家にこもりがちになってしまったーーそのようなひとに朗報である。家から出ずに、たった1分の簡単な動きでウオーキングと同じ効果が得られる画期的なメソッドを紹介。現場で年間7万人の患者と接する名医がそのコツを解説する。

教えてくれた人

中山潤一さん/整形外科医・医学博士。著書『動ける体が大復活する1分体操』

良かれと思った運動が、けがの引き金になる

 年を取るにつれて運動量が低下するのは避けられない。しかも衰えた体で無理に運動を始めると、かえってけがのもとになる。骨折からフレイル、寝たきりという最悪のケースになってしまっては元も子もないだろう。『動ける体が大復活する1分体操』の著者で、整形外科医、医学博士の中山潤一さんが説明する。

「加齢や運動不足による足腰が弱った状態で無理なウオーキングを行い、足を痛めてクリニックに来院するかたは、数え切れないほどたくさんいます。特に女性は閉経によって女性ホルモンが減少する50代から骨密度や筋肉量の低下が加速して、転倒やけがをした際の骨折リスクが高くなる。

 ひざや腰を痛めるだけでなく、太ももの付け根にある大腿骨頭が潰れてしまったケースもある。骨折からそのまま寝たきり生活が始まってしまうことも多く、75才を超えるとそのリスクはますます高くなります」

たった1分で53分歩行と同じ効果が! 驚きの足上げ体操

 まずは自分の足腰の状態を正しく知ることが重要だ。

「両足で立った状態から、片足を少し床から浮かせて、何秒保てるかを数えてください。あくまで目安ですが各年代の平均値は60代が33秒、70代は18秒、80代では6秒程度。

 もし60代以下なのに15秒も保てなければ、『ロコモ(ロコモティブシンドローム)』という、立つ、歩くといった移動機能が低下しています。将来の要介護リスクが高い状態なので要注意です」(中山さん・以下同)

 自分の年代の平均値より短く、足腰の機能が低下していたとしても「足上げ体操を続けることで、機能を回復させることができる」と中山さんは言う。運動着に着替える必要もなく、家から一歩も出ないまま簡単にできる。

 片足を1分間上げたり、かかとを上げたりするだけでウオーキングと同じ効果が得られるという。

「ある研究によると『片足で1分立つことで、53分歩いたときと同程度の負荷が太ももの付け根の骨にかかる』というデータがあります。つまり片足で1分立つことは、53分行うウオーキングと同じ効果があるといえるのです。足上げを開始したときより10秒長くできるようになった人は、歩くスピードも0.8m/秒速くなったというデータもある。簡単な動きですが、骨が強くなるうえに、筋力アップにもつながるのです」

「ゆる片足上げ体操」のやり方

【ステップ1】

 背筋を伸ばして、足を肩幅に開いて立つ。ひざを軽く曲げて、両手を楽な位置に下ろす。上体が傾いたり、ふらついてしまう場合は壁や机につかまって行う。1分間続けるのが難しい場合は、30秒くらいから始める。

【ステップ2】

 右足のつま先が5cmほど床から離れるように右足を上げる。そのまま1分間、維持する。反対側の足も同様に行い、両足1分ずつで1セット。1日2セットできればさらに効果アップ。

<ポイント>

●呼吸を止めずに、自然に続ける。

●特に腰から太ももにかけての腸腰筋、太ももの前の大腿四頭筋に効く。

「片足つま先立ち体操」のやり方

【ステップ1】

 背筋を伸ばして、足を肩幅に開いて立つ。ひざを軽く曲げて、両手を楽な位置に下ろす。

【ステップ2】

 右手で壁や机につかまりながら、右足を上げて、片足立ちをする。

【ステップ3】

 左足のかかとを上げて、そのまま1〜2秒維持した後にゆっくり下ろす。片足につき10回行ったら、もう片方の足に替えて同じように繰り返す。1日1セットを毎日、または1日2セットを週3回を目指して行いましょう。

<ポイント>

●足がつりそうになったら、すぐにかかとを下ろす。

●特にふくらはぎの下腿三頭筋に効く。

何才からでも筋力アップは可能。運動を続けて外に出るのが楽しみになった人も

 この体操を続けると筋肉が鍛えられて、関節が柔らかくなり、平衡感覚が養われる。一石三鳥の効果があり、寝たきり防止に大きく役立つと、中山さんは推奨する。

「片足で立つことで下半身の筋力が向上し、体幹が安定。関節も安定して、平衡感覚が高まる。転倒が予防できるので結果的に寝たきりになるリスクが低減できます。ひざまわりの筋肉が強くなりひざの痛みが改善するほか、骨粗しょう症の予防にもなるというデータもあります。

 特に『片足つま先立ち体操』では“第二の心臓”といわれるふくらはぎの筋肉が鍛えられます。血流がよくなり、脳に酸素や栄養素が届きやすくなる。認知症になって転倒、骨折から寝たきりになるリスクも予防できるのです」

 中山さんのクリニックを受診している患者のなかでも、これらの体操を続けて症状が改善した例は多いという。

「元気がなく『歩くのが怖い』と自信を失っていた人が、体操を続けたことで『外に出るのが楽しみになった』とうれしそうに話してくれたり、『孫と散歩ができるようになった』『通勤や買い物で歩くのが楽になった』『ゴルフの動作が安定した』と、それぞれの喜びを報告してくれます。運動不足だった人の場合は4週間、そうでない人も6週間続けると効果が実感できると思います」

 人生100年時代を生きるうえで、誰もが健康寿命を少しでも長くしたいと願う。そのために筋力は必須。そして「何才からでも筋力は上げることができる」のだ。

「65才を過ぎると筋力が年に平均で2〜4%減り、特に歩くために必要な筋力が低下するという報告もあり、誰でも足腰が弱っていくのは避けられません。その一方で、たとえ100才になっても、適切な体操をすれば筋力を上げられることが研究で明らかになっています」

 仮に6000歩のウオーキングをする場合、最低でも40分はかかるが、左右の足を1分ずつ上げても、1日たったの2分。これで健康寿命が延びるのだから、コスパもタイパも最強だ。死ぬまで自分の足で歩くことを目指して、毎日ゆるく足を上げてみよう。

イラスト/sashimi 写真/PIXTA

※女性セブン2026年4月9日号
https://josei7.com

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