「産後間もない長男夫婦を泊りがけで手伝いに行ったら、数日で帰ってと言われた!」憤る相談者を毒蝮三太夫が諭す「やっちまったな」|「マムちゃんの毒入り相談室」第80回
初孫が生まれた息子夫婦の家に泊りがけで手伝いに行ったら、数日後に「帰ってほしい」と言われた60歳の女性。「助けに来てあげたのに」と、息子やお嫁さんへの怒りをふくらませている。マムシさんは相談者の気持ちは汲み取りつつ、それは「親切の押し売り」だと指摘。その上で、関係修復につながる具体的な方法を提案する。(聞き手・石原壮一郎)
今回のお悩み:「初孫の育児で力になってあげたいのに息子夫婦が冷たい」
やっぱり、愛だよ、愛。いや、いきなり何を言い出したかと思われそうだな。今月末に玉袋筋太郎との対談集が出るんだけど、そのタイトルが『愛し、愛され。』なんだ。えっ、柄にもないタイトルだって? 何言ってんだ、オレたちにピッタリじゃねえか。
今の時代や笑いの大切さ、歳を取ることや死ぬことについてなど、31歳違いのふたりでじっくり語り合った。オレたちのことだから話がすぐ脱線しちゃうんだけど、おかげさまで読んだ人の気持ちが少し楽になったり、「こんな考え方もいいな」と思ってもらえたりする本になったんじゃないかな。まあ、見かけたら立ち読みしてみてくれ。
今回は、半年前に初孫ができた60歳の女性からの相談だ。なるほど、孫がかわいいのはわかるけど、そういうことになっちゃったか。
「半年前に生まれた初孫のことで、長男夫婦と仲違いしてしまいました。誕生した知らせを聞いて、嬉しくてじっとしていられず、新幹線に乗って病院に駆け付けました。そのときはお嫁さんも歓迎してくれました。
そりゃもう、かわいくてかわいくてたまりません。退院後、息子に『少しでもお嫁さんの助けになりたいから、しばらく泊まりに行っていいか』と聞いたら、『きっと妻も喜ぶよ』と言ってくれました。だけど、いざ訪ねていくと、お嫁さんの態度がよそよそしいんです。3日ほど経ったとき、息子に『悪いけど、帰ってくれないか』と言われました。お嫁さんが帰らせろと言ったのでしょう。
助けに来てあげたのにと、私は猛烈に腹が立ちました。そのあと、息子夫婦からはお礼どころか何の連絡もありません。息子たちへの怒りは消えていませんが、このままだと孫に会えないのがつらいです。かといって、こっちが謝る筋合いはないでよね。どうすれば、また行き来できる関係になれるでしょうか」
回答:「泊まりに行ったのは自分のエゴの押し売りだと気づいて」
やっちまったなあ。息子夫婦の家を訪ねたのは、役に立ちたいという気持ちからだったのはよくわかる。ただ、子どもができて体も心もいっぱいいっぱいのお嫁さんにとって、あなたが来てくれるのは本当に「ありがたいこと」だったのかな。
「家事も子どもの世話も手伝ってあげるんだから、ありがたいに決まってる」と言いたいかもしれないけど、それはあまりにも想像力が足りないよ。息子にとってはともかく、お嫁さんにとってお姑さんは、最大級に気をつかわなきゃいけない存在だからね。
孫はかわいいだろうし、あなた自身は体力や時間に余裕があるんだろう。だからって何日も泊まり込んだから、はっきり言って迷惑だ。実際、ほんの数日で「帰ってほしい」と言われたわけだしね。自分のエゴで親切の押し売りをしたってことに気づいたほうがいい。
息子さんも、よくないね。お嫁さんに確認もせず、適当に「きっと妻も喜ぶよ」なんて言ったんだろうな。いっぱいいっぱいの状態にあるお嫁さんにしてみたら、相談もなくお姑さんに「来ていい」と言った夫に、大きな不信感と怒りを覚えたに違いない。ひとつ間違えたら、離婚のきっかけになってもおかしくないよ。
あなたが「こっちが謝る筋合いはない」と思っているうちは、会わないほうがいいだろうね。メールには出てこないけど、ご主人がいるとしたら夫婦ふたりの生活を充実させればいいし、独り身なら友だちと遊んだり趣味を楽しんだりすればいいんじゃないかな。
時間が経って気持ちが落ち着いて、孫かわいさで暴走したと反省できるようになったら、手紙でもLINEでもいいから「あのときはごめんなさい」と謝ろう。反省していることが伝われば、息子夫婦から「助けてほしい」と言ってくるかもしれない。そのときは「どうせまた邪魔にするくせに」なんてスネたりしないで、気持ちよく手伝ってあげよう。
嫁姑の関係っていうのは、いつの時代も難しいよ。ただ、遠慮し合ってるばかりだと、いつまでたっても距離が縮まらない。このケースみたいに、言いづらいことを伝えなきゃいけない場面は、じつはチャンスなんだ。
息子の口から「帰ってくれないか」と言われたことで、あなたの中でお嫁さんに対する疑心暗鬼がふくらんでしまった。意地悪で冷たい嫁だというイメージや、自分への悪口も勝手に浮かんできてるんじゃないかな。本当はそんなことないし、言ってもいないのに。 言いづらいことほど、直接伝えることが大事だ。たとえそのときはぶつかっても、自分の気持ちや考えを言えないままじゃ仲良くはなれない。今の時代は摩擦や衝突を避けようとする傾向があるけど、避けることでもっと大きなストレスを生んでるんじゃないかな。
どんどんぶつかって、間違ってたら素直に謝って、謝られたら許せばいい。そうすることで『愛し、愛され。』の関係が広がっていくんだよ。おっと、強引だったかな。ハハハ。
毒蝮さんに、あなたの悩みや困ったこと、相談したいことをお寄せください。
※今後の記事中で、毒蝮さんがご相談にズバリ!アドバイスします。なお、ご相談内容、すべてにお答えすることはできませんことを、予めご了承ください。
※以下の画像をクリックすると、「お悩み相談のフォーム」に遷移します。
毒蝮三太夫(どくまむし・さんだゆう)
1936年東京生まれ(品川生まれ浅草育ち)。俳優・タレント。聖徳大学客員教授。日大芸術学部映画学科卒。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の隊員役など、本名の「石井伊吉」で俳優としてテレビや映画で活躍。「笑点」で座布団運びをしていた1968年に、司会の立川談志の助言で現在の芸名に改名した。1969年10月からパーソナリティを務めているTBSラジオの「ミュージックプレゼント」は、現在『金曜ワイドラジオTOKYO 「えんがわ」』内で毎月最終金曜日の16時から放送中。89歳の現在も、ラジオ、テレビ、講演、大学での講義など精力的に活躍中。この連載をベースにしつつ新しい相談を多数加えた『70歳からの人生相談』(文春新書)が、幅広い世代に大きな反響を呼んでいる。1月29日発売の最新刊は玉袋筋太郎と熱く語り合った対談集『愛し、愛され。』(KADOKAWA)。毒蝮の「毒」と玉袋の「粋」が熱く融合し、混迷の時代を生きる私たちに勇気と希望を与えてくれる。
YouTubeの「マムちゃんねる【公式】」も、毎回多彩なゲストのとのぶっちゃけトークが大好評! 毎月1日、15日に新しい動画を配信中。
YouTube「マムちゃんねる【公式】」(https://www.youtube.com/channel/UCGbaeaUO1ve8ldOXX

石原壮一郎(いしはら・そういちろう)
1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」「失礼な一言」など著書多数。新著『昭和人間のトリセツ』(日経プレミアシリーズ)と『大人のための“名言ケア”』(創元社)が好評発売中。この連載ではマムシさんの言葉を通じて、高齢者に対する大人力とは何かを探求している。