「肌のくすみ」「手足の冷え」は“血管の硬化”が原因かも? 医師が解説する“潤い”を取り戻す「グーパー血流リカバリー」のやり方
「最近、肌がくすんで老けたように見える」「手足が冷えやすくなった」──そんな悩みを抱えていないだろうか。じつはこれらの多くは、「血管の硬化」が原因だ。
血管・心臓のエキスパートとして国際的に活躍する医師・高橋亮氏は、「打つ手ナシ」と見放された患者の血管をよみがえらせた実績を持つ。筋肉を伸ばすとNO(一酸化窒素)という血管を広げる物質が発生し、血管がしなやかさを取り戻す。
そして血管の状態は、肌や髪の若々しさにも直結している。血流が改善すれば、見た目も変わる──。高橋氏が、血管を広げるメカニズムを解説し、スマホやテレビを見ながら、椅子に座ったままでできる方法をまとめた『血管の名医が薬よりも頼りにしている狭くなった血管を広げるずぼらストレッチ』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けする。
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ぷるぷる血管は「お肌」もぷるぷるにする
血管の状態は、肌の状態と驚くほど似ています。
肌は乾くと弾力を失い、くすみやシワが目立ちますが、血管もまったく同じなのです。
健康な血管は、触れるとまるで新しいゴムやグミのように「ぷるぷる」とした弾力があり、やわらかく、血液が勢いよく流れているのが見て取れます。
血管がしなやかで潤っていれば、血液はスムーズに流れ、体のすみずみまで酸素と栄養が行き渡ります。
反対に、血管がゴリゴリに硬くなると、流れは滞り、細胞が酸欠状態に陥ります。体のだるさ、冷え、肌のくすみ──こうした不調の多くは、じつは血管の硬化も原因のひとつなのです。
ゴリゴリに硬くなった血管の中では血流も悪くなります。全身に酸素を送っているのは血液ですから、こうなると、どんなに栄養を摂っても、細胞に酸素が届きません。
「最近、肌がくすんで、老けたように見える」
女性の患者さんの中には、そのような相談をされる方が多くいます。
血管の老化が進むと毛細血管の血流も滞り、肌細胞が酸素不足に陥ります。これが、くすみやハリのなさの原因になる。
つまり、肌の老化とは、血管の老化の鏡でもあります。
毛細血管は全身の血管のうち9割以上を占め、指先や爪、髪の毛、皮膚のツヤなど“末端の健康”を支えています。大動脈のような“幹”の血管が高速道路なら、毛細血管は住宅街の細い路地のようなものです。毛細血管が減ると、血液の行き届かない領域が増え、顔色が悪くなったり、爪が割れやすくなったり、髪が細くなったりします。
反対に、毛細血管の血液の流れがよくなると、肌ツヤや髪のコシ、爪の輝きまで戻ってくる。だから私はよく「美容液よりも血管ケアを」と伝えています。血管の潤いこそ、肌の潤いなのです。
実際、血流がよくなると見た目が若返るケースは少なくありません。
血流の悪い方ほどシミが多く、肌の色もくすみがちです。生活習慣を整えて血流が改善すると、シミが薄くなったり、顔色が明るくなったりする例もあります。
さらに、血流をよくすることで髪の毛のハリやボリュームが戻るという研究も進んでおり、血管を整えることが肌や髪のアンチエイジングに直結することがわかってきました。
人の体には、本来「自ら修復し、再び潤いを取り戻す力」が備わっています。
だからこそ、ぷるぷる血管を育てることは、見た目だけでなく、内側から若さを再生させる習慣なのです。
血管を潤す「グーパー血流リカバリー」
この「末端の潤い」を取り戻すには、血流を促す工夫が必要です。最も手軽で効果的なのが温熱刺激です。
「入浴」は血管再生の強力なツールです。
お風呂に入って肩まで温まると、毛細血管が一気に開きます。体がぽかぽかして、顔が明るくなるのはそのためです。
「そんなこと、知っているよ!」と思われた方、ちょっと待ってください。これもご存じでしょうか?
