101歳のおばあちゃんから学んだ《死生観》「あちらの世界と繋がっている?」孫が見た驚きの光景と仏壇の役割
富山を拠点に活動するイラストレーターのたばやんさんのおばあちゃんは101歳。現在は施設に暮らしているが、自宅にいたときは毎朝仏壇の前で亡き夫に話しかけていたという。その光景を不思議に思っていた孫が、ある時その行動の意味に気がついて――。【全5回の第5回】
おばあちゃんに学ぶ「死生観」
おばあちゃんと話していると、人間がどう生きて、どう死を迎えるかという死生観について考えさせられることがあります。
その年代になると死は遠いものではなく、より身近なものになる。起きた瞬間に、もう「死」が浮かぶし、無事に目覚められただけでありがたいという気持ちになってくるそうです。
「ああ、今日も生かされている、ありがたい、ありがたい」
そんな気持ちで毎日を過ごすことができたらいいですよね。まだまだやりたいことがある自分には、とても遠い達観した世界に感じます。
おばあちゃんは毎朝仏壇の前で手を合わせ、亡くなった人々と話すのを日課にしていました。親しい人たちがいる「あちらの世界」は、癒しの場所だったのでしょう。
一時期、亡くなったおじいちゃんとまるで漫才のようにやり取りをしていたことがありました。その光景がなんとも不思議で私は漫画に描きとめました。
最近では、お墓や仏壇を持たないというスタイルも増えていると聞きますが、おばあちゃんにとって「仏壇」は“どこでもドア”のようなものだったのかもしれません。いつでもどこでも、自分より先に旅立ってしまった人たちと交流できる、扉だったのではないか。
仏壇の前で話すおばあちゃんは、当初は「1人コント」のように見えましたが、実は本当に誰かと会話をしていたんじゃないだろうか。
おばあちゃんにとってそれは、大切な人との繋がりを再確認する行為だったのかも。そう考えると、なんだか温かい気持ちになりました。
今、おばあちゃんは施設で暮らしています。「毎朝の1人コントができなくなってしまったな…」。ちょっぴり寂しい気持ちにもなるのでした。
文・漫画提供/たばやん
