自宅リフォームに1回20万円の補助金「介護保険住宅改修給付」を申請する際の注意点とやり方 申請は工事を行う前に
介護認定を受けた家族と自宅で暮らすために、昇り降りしにくい階段やつまずきやすい段差のバリアフリー化などを検討するときに知っておきたいのが、「介護保険住宅改修給付」制度だ。節約アドバイザーでファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんから、金額や申請の仕方など「介護保険住宅改修給付」について詳しく教えてもらった。
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教えてくれた人
丸山晴美さん/節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー
22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。
介護のためのリフォーム費用を補助する「居住介護住宅改修費」
「居住介護住宅改修費」(介護保険住宅改修費)とは、要支援や要介護認定を受けている人が在宅での生活に支障がないように、手すりの取り付けやスロープの設置など住宅改修を行った場合、かかった費用を一定の限度額内において自治体から介護保険の給付費として払い戻される制度です。
自宅の改修費に介護保険が適用できるのは原則1人1回、1つの住宅につき一度限りの支給です。利用者の収入に応じて負担割合が1~3割になり、例えば1割負担の人が20万円の工事をした場合、保険給付額は18万円、自己負担は2万円になります。
また20万円を超えた分は全額自己負担となりますが、対象となる費用が20万円に達しない場合は、達するまで複数回の申請も可能。また、過去に住宅改修費の支給を受けていた場合でも、転居をして住所が変わった場合や、1回目の住宅改修から要介護度が3段階以上上がった場合に、再度20万円まで保険支給を受けることができます。
改修工事を行う前に自治体へ事前申請を
利用の条件として、改修工事を行う前に自治体へ「住宅改修費支給申請書」を提出する必要があります。申請の順番を間違えると正しく受理されず、制度を利用できないことがあるので、気をつけましょう。
基本的な流れとしては、ケアマネジャーに改修する場所と内容を検討後、複数の施工業者に見積作成を依頼して比較検討後に契約し、工事前に必要書類を揃えて、市区町村窓口に事前申請をします。
審査完了後に郵送される「給付利用券」が手元に届いたことを確認してから、工事を着工します。工事が完了したら速やかに支給申請を市区町村窓口で行い、審査後に支給額が決まります。
注意点としては、入院(入所)中は支給申請の対象外になり原則、申請できませんが、退院(退所)後の住宅についてあらかじめ改修をしておく必要がありかつ、退院(退所)日が決まっている場合は、事前申請を行うことができます。
要支援や要介護認定を受けている人が、安心して自宅で生活できるように日頃からつまずきやすい箇所をチェックしておくなど、リフォームする箇所のあたりをつけておいたりすると、いざというときも必要なところに必要な対策を講じることができるでしょう。
賃貸でも制度の利用は可能だが、原状回復が必要
賃貸住宅で暮らしている場合も介護保険住宅改修給付の利用可能です。ただし、賃貸住宅で工事等を行う場合は、事前に住宅の所有者の承諾を得ることと、退去時は原状回復の必要があり、その費用は全額自己負担となります。
一方で、リフォームの内容によっては住宅の価値自体が上がる可能性があり、次の入居者を探す際に有利になる可能性もあるため、残していっても問題ないと大家さんが判断する場合もあります。退去前に大家さんに確認してみるといいでしょう。
在宅での生活を支援する制度は自治体ごとにさまざま
介護保険住宅改修給付以外にも、在宅での生活を支援する制度は自治体ごとにさまざまなものが用意されています。
例えば、神奈川県相模原市では、寝たきりで理髪店や美容院に行くことができない人を対象に、出張料を含めた料金の一部を助成するための助成券を配付する「出張理美容サービス」(https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/fukushi/1026635/korei_shien/1006391.html)や、住民税非課税世帯の寝たきり高齢者などを対象に、無料で紙おむつを支給するサービス(https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kosodate/fukushi/1026635/korei_shien/1006388.html)などを行っています。
内容も条件も自治体によってさまざまなため、まずは自治体の福祉課に問い合わせるか、地域包括支援センターに相談してみましょう。また、制度を利用する際は、制度の名称を少し間違えているだけでも受理されないことがあるので、よく調べてから申請に行くか、支援団体など専門の人と一緒に書類を作成するなどするとよいでしょう。