ピロリ菌検査で胃の病気を予防!左側寝・食後ガムで胃酸逆流を防ぎ健康寿命を延ばす【医師監修】
生きることは食べること。人生100年時代を健康的に過ごすには、胃とのつきあい方が重要だ。近年の研究で、100歳まで元気に生きる秘訣が次々と明らかになっている。胃の不調の原因を知り、対策を講じる方法として、日本消化器病学会専門医の江田医師はピロリ菌検査を勧める。詳しい話を聞いてみよう。
教えてくれた人
江田証さん/日本消化器病学会専門医・江田クリニック院長
逆流性食道炎の患者が増加傾向
食べ、消化し、排泄するーー生活の基本を司る臓器だからこそ、胃腸の病気はQOL(生活の質)を著しく下げてしまう。
日本消化器病学会専門医で江田クリニック院長の江田証医師が語る。
「最近は胃酸の分泌量が増えている日本人が多く、逆流性食道炎の患者が増加しています。これを放置すると食道がんのリスクを高めます」(以下、「 」内は江田医師)
胃酸の逆流を予防するにはどうしたらいいか。
「ひとつは寝る時の姿勢です。就寝時に体の右側を下にすると胃が食道より高くなって逆流しやすいので、左側を下にして寝るのがポイントです」
また、ガムも効果的だという。
「ガムを噛むとアルカリ性である唾液が分泌されて胃酸を中和するので、食後のガムは胸やけ予防に有効です」
食事のひと工夫で胃酸過多を抑える手もある。
「大根おろしは最強の胃薬。大根に含まれる消化酵素が胃酸過多を和らげます。すりおろすことで消化もいい。肉料理などの脂っこい食事でも大根おろしを添えて食べると効果的です」
日本人に多い胃がん。ピロリ菌の検査で予防をしよう!
先進国のなかで日本の罹患者が多い胃がんはピロリ菌が主な原因となる。胃炎や胃がんの原因菌であるほか、ピロリ菌がつくる毒素が血液中に入り込み、動脈硬化や認知症など様々な病気を引き起こして全身に悪影響を与えることが分かっている。
「現在、義務教育卒業の段階で全員にピロリ菌検査を実施する自治体が増えてきていますが、それ以前に生まれた人は未受診のケースも多く、検査を受けたことがない人は必ず1回は受けましょう。自費ですが3000円程度で血液検査を受けられます。陽性なら除菌すれば胃がんになる確率は3分の1以下になり、一度除菌すれば再感染することは非常に稀です。ただし除菌までに蓄積した胃がんのリスクは残るので、ピロリ菌が陽性だった人は除菌後も毎年胃の内視鏡検査を受けることをお勧めします」
ピロリ菌が陰性だった人も3年に1度は胃の内視鏡検査を受けると安心できるという。
就寝時は左が下、必須の検査、幸せ日記。胃を守る6の極意
<習慣1>ガムを噛む
ガムを噛むと唾液が分泌されて胃の消化を助ける。
<習慣2>LG21乳酸菌入りヨーグルトを食べる
胃がんと胃炎の原因であるピロリ菌を減らす効果がある。
<習慣3>大根おろしを食べる
天然の胃薬と言われる食材。大根の消化酵素が胃酸過多を和らげる。
<習慣4>体を左向きにして寝る
胃は体の少し左側に位置するため、左を下にして寝ることで胃酸が食道に逆流するのを防ぐ。
<習慣5>ピロリ菌検査を1度は受ける
ピロリ菌検査をこれまで受けたことがない人は早急に受ける。
<習慣6>定期的に内視鏡検査を受ける
ピロリ菌が見つかり除菌したら胃の内視鏡検査を毎年受ける。見つからなかった人でも3年に1度、内視鏡検査を受ける。
※週刊ポスト2025年8月29日・9月5日号
●胃がん発症者の99%がピロリ菌に感染。その感染ルートと対策は?