「母、すべり症のようで、すべり症ではない?」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第56話
漫画家で栄養士の資格をもつうえだのぶさんは、慢性膵炎を抱える母と山口で暮らしている。最近、脚の痛みに悩まされた母だが、リハビリ型デイサービスを体験し、すっかり気に入った様子だが、痛みの原因が判明し――。
母、脚の痛みの経緯
母の脚の話、あれこれ一気に進んだので一旦流れを整理しますね。
【1】5月上旬、母が急に脚の異変を訴える。整形外科の検査を受ける。レントゲン・MRIも異常はないとの診断結果。週3で脚の超音波治療に通う。
【2】症状に変化がなく、整体にも通い始める。
【3】整形外科で「どこも悪くない」と言われ超音波治療が終了。痛み止め薬だけになり通院を停止。この先が不安になり、相談のため「地域包括支援センター」に電話。「介護予防」と「リハビリ型デイサービス」の存在を知り、無料体験に行くことに。
→「母、デイサービスのリハビリを初体験」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第55話
【4】母、デイサービスが気に入ったので、本格的に利用の申請を行うことにする。この時に、整形外科の「セカンドオピニオン」をすすめられる。←今ここ。
セカンドオピニオンへGO!
というわけで、先日その「セカンドオピニオン」に行ってきたんです。今回はその結果をご報告しますね。
まず、今回行った別の整形外科の検査で「首の骨が2か所」と「腰の骨が2か所」ズレていることが分かりました。首のレントゲン写真と腰の断面図(MRI)を見せてもらいました。
ズレている腰の骨が神経の通り道をほぼ潰してました。一般的に「すべり症」と言われる状況だそうです。まじかー、どこも悪くないわけじゃなかったんだー。
先生「この神経の通り道を広げるには手術しかなく、かつ手術をしても痛みが完全に消えるという保証がないんですよ。人によって痛みの感じ方が違うので」
思わず顔を見合わせる母と私。そ…そうですね、手術の選択肢はないかもです。
ただ、先生によると、母の訴える症状は「すべり症」のものとは違うそうなんです。
「しびれ、とか痛みじゃなく、だるい、重い。それが辛くて立っていられない、ついでに腕もダルくて辛い…」という母の話に、
先生「状況はすべり症なんだけど、ダルさや辛さの原因は、『筋肉疲労』かもしれないです」
筋力が落ちるのが速すぎて、日常の動作が辛くなってるのかも、と。
であれば、多少辛くても筋肉を鍛えて増やした方がいい。そうしないとどんどん筋肉が減ってもっと辛くなってという負の連鎖になるから、と。
――え!てことは「リハビリ型デイサービス」に通うのってまさにグッジョブじゃないですか‼
再び見つめあう母と娘。
先生「とりあえず2週間分、一番弱い神経痛の薬を出しますから、また様子を見ながら調整していきましょう。すべり症は、人によっては急に痛みが消えることもあるし、筋肉疲労なら神経痛の薬は無理に飲まなくていいですからね。」
そんなわけで、結論としては「対処法は痛み止め薬」という1軒目の病院と同じ着地になりましたが、受けてよかったです「セカンドオピニオン」。
だって、この数か月ずーっと、「どこも悪くないのになぜ?」って悩んで過ごしてましたから。
骨はズレてるけどすべり症じゃない=「どこも悪くない」ってことなのかもしれません。最初の先生の見立ては間違ってないのかもしれません。
でも同じ薬を飲むにしても、母の身体の状態がわかってるのとわからないのとでは心構えが全然違います。母も「気持ちがブチ(すごく)楽になった~~~」と言ってます。
現時点でまだ脚の状況は変わりませんが、整体の先生にも、リハビリ型デイサービスの理学療法士さんにも、ケアマネさんにも「原因がわかって良かったですね」と言われました。
ケアマネさん? はい、そうなんです。認定調査、受けたんですよ。その話は、また次回!
お盆のおやつは「白玉だんご」
今年のお盆に母が「白玉だんごが食べたいねえ」と言い出しました。白玉粉は常備しているし、ちょうど市販のカップ入りぜんざいを買っていたので、ちゃちゃっと作っておやつにしました。
でも母が本当に好きなのは祖母(母の母)が毎年お盆に作っていたもので、それは「白玉だんごの上に白砂糖がかけてあるだけ」という、超絶シンプルな一品。
地味な見た目に白砂糖がジャリジャリする食感、アイスやプリンが身近な子どもの私にとっては正直「なんじゃこりゃ?」な一皿でした(ばあちゃんごめん)
でも、白い砂糖が貴重なおやつだったという戦中生まれの母にとって、そのおだんごは「ご馳走」で、物のない時代にお盆に来るお客さんに喜んでもらおうと祖母が考えた精いっぱいの「おもてなし」だったんだと思います。
それはそのまま「ばあちゃんのお盆の定番」となり、母や伯父叔母その他一族にずっと愛されてきたんでしょうね。亡くなったうちの父も結婚当初からお気に入りだったそうです。
大人になってそのエピソードを聞き、祖母が他界してからは「白砂糖だんご」は私にとっても大切な「思い出の味」になりました。
だんごも薬も、ちゃんと意味があるからありがたいと思えるんだよねえ…と、おかわりの白玉だんごに、砂糖をかけて(我が家はきび砂糖ですが)ジャリジャリと頬張りながら、ここ数か月のドタバタにやっとちょっと一息つけた感じのする母と娘でした。
NO老いるMemo「手軽なNOオイルおやつ・白玉だんご」
「白玉だんご」、作るのは面倒に思えるかもしれませんが、実はめちゃくちゃ簡単!
用意するのは白玉粉と水だけ(だいたい1袋200g入りでお水180ccです)。2人分なら白玉粉100gに水90ccが適量です(15~20個くらいできるかな)。
ボウルに白玉粉と水を入れて練って(「耳たぶくらいのやわらかさで」ってやつです)、小さく丸めてたっぷりのお湯で茹でるだけ。ぷかっと浮いてきたら、そこからもう1分待って引き上げて、氷水で冷まして完成。
あんこ、きな粉、黒蜜、みたらしダレ、梅シロップ、好きなものをかけたり、市販のおしるこやぜんざいにインしたり。出来立てのもちもち感は格別ですよ。
注意ポイントは1つだけ。「こねる時、水は、すこしずつ足してー!」
50ccくらいは一気に入れていいけど、残りはこねながら、すこーしずつ足していきます。まじで、すこーーしずつ。でないと、ほんとに小さじ1くらいの水の入れ過ぎで「どろっどろ」になって、にっちもさっちもいかなくなります(なので私は予備も含めて2袋買います)。
予備の粉がなくてどうしようもない時は諦めて、スプーンですくってお湯に落としましょう。だご汁*みたいなのができるけど、それはそれで美味しいのでー。
*だんご汁ともいう。小麦粉のだんごが入った熊本の郷土料理。
白玉だんごもですが、あんこや黒糖もほぼNOオイルなので、脂質1食10g目安の母には嬉しいおやつです。ちなみに、きな粉は大豆が原料なので脂質があります(大さじ1で脂質約1.3g)。
*参考資料「日本食品成分表2025(八訂)」医歯薬出版、「調理のためのベーシックデータ 第6版」女子栄養大学出版部
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。58才。山口県で82才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。