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認知症の母の介護に必要な車「格安レンタカーとタクシーではどちらがお得か?」検証してみた

 岩手・盛岡で暮らす認知症の母を遠距離介護している作家でブロガーの工藤広伸さん。実家に帰省しているときは、母の通院など何かと車が必要なことも。病院の送迎など介護に活用する交通手段について、実録をレポート!

執筆/工藤広伸(くどうひろのぶ)

介護作家・ブロガー/2012年から岩手にいる認知症で難病の母(81才・要介護4)を、東京から通いで遠距離在宅介護中。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護して看取る。介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。

著書『親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること』『親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと』(翔泳社)『老いた親の様子に「アレ?」と思ったら』(PHP研究所)など。ブログ『40歳からの遠距離介護』https://40kaigo.net/、Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』https://voicy.jp/channel/1442

介護には車が必要なシーンが多い

 遠距離介護先である岩手の実家には、車がありません。遠距離介護が始まった2012年頃は中古車の購入を検討したり、2017年に母と別居していた父が亡くなったときも、父が乗っていた車を引き取ろうと考えたりもしたのですが、車は必要ないと判断しました。

 なぜ車は必要なかったのか、車がない状態で毎月の母の通院はどうしているのかについてご紹介します。

 実は1年だけ、車をリースしていたことがあります。その理由は子宮頸がんで入院していた祖母の病院まで、介護者のわたしが週1~3回通うためでした。

 着替えを運んだり、排せつ物で汚れた衣類を持ち帰ったりするのに、バスではニオイが気になるので、車が必要でした。また実家から病院までの直通バスがなく、乗り換えが必要なうえに遠回りで、車なら20分で到着するところをバスでは、1時間かかったのです。

 リースは1年限定で月1.5万円、期間終了後に車の購入が条件でした。しかし車の購入は絶対ではなかったのと、祖母がリース期間中に亡くなったので車を返却したのです。少しだけ購入も考えたのですが、思いとどまった理由は車のメンテナンスが大変だからです。

 長期間運転しないとバッテリーが上がりやすくなり、寒い岩手の冬であれば尚のことでしょう。またタイヤの空気が抜けたり、エンジンオイルやガソリンが劣化したりするなど、注意しなければいけないポイントがたくさんありました。

 実家に駐車場があるので駐車場代はかかりませんが、自動車税の支払いは発生します。遠距離介護でたまにしか運転しないのに、メンテナンスが大変で税金を支払うくらいなら、レンタカーを借りたほうが割安と判断して、結局車は購入しないという判断になりました。

格安レンタカーを活用していた理由と問題点

 実家近くに格安レンタカー店があり、自転車で行ける距離だったので、しばらくは格安レンタカーを借りて、母の通院に利用していました。

 しかし車社会の盛岡で、駅から離れた住宅地ではレンタカーのニーズがなかったようで、2軒あった格安レンタカー店は閉店してしまいました。それからは、やむを得ず、実家からバスで30分ほどかかる盛岡駅近くで、格安レンタカーを借りることになりました。

 母の通院先はもの忘れ外来、眼科、肛門科、歯医者の4か所で、もの忘れ外来が最も遠い場所で、わたしのイメージではタクシーで往復1万円くらいはかかると思っていたので、格安レンタカーを利用していました。

 しかしレンタカー利用は、お金は節約できるのですが、わたしの手間がものすごく大変なのです。母の通院が終わるまで、次のことをしなければなりません。

母の通院送迎でやらなければならない7つのこと

1.実家からバスで盛岡駅まで移動(朝の混雑に巻き込まれる)

2.盛岡駅の近くで格安レンタカーを借りて、実家まで戻る

3.母をレンタカーに乗せて、ものわすれ外来まで運転

4.受診後、もの忘れ外来から実家へ戻る

5.母に昼ごはんを食べさせたあと、レンタカーを返しに行く

6.途中、ガソリンスタンドで満タンにする

7.レンタカーを返却したあと、バスで実家まで戻る

 バスやレンタカーで何往復もする必要があるので、通院時間に加えて1時間30分も余計に時間がかかってしまうのです。

 以前は病院が終わったあと、母と外食に行っていたので、通院以外の使い道もあり格安レンタカーは便利でした。しかし今は母の認知症が進行して、ご飯の食べ方に戸惑うことが多くなってからは、外食の機会も減ってしまいました。

タクシーを使ってみたら…

 このたび夏になり、北国の盛岡も猛暑日になるほど暑くなったため、介護者として自分の体力を温存しないといけないと判断し、思い切ってタクシーで通院することにしました。

 実家からタクシーで、もの忘れ外来まで移動すること約30分。恐る恐る料金メーターを見ると、3000円と表示されました。母は認知症に加え、シャルコー・マリー・トゥース病という難病で、障害者手帳を持っています。盛岡市では、障害者手帳を持っているとタクシー料金が1割引になるので、片道2700円で済んだのです。

 格安レンタカーを最も短い6時間で借りた場合、レンタカーを借りるまでのバス代やガソリン代を含めて約5000円です。タクシーは往復5400円だったので、料金の差はわずか400円で、1時間30分の時間ロスがありません。

 タクシーの運転手さんに「思っていたより安いですね」と伝えると、「片道5000円も払ったら盛岡市外まで移動できる」と言われてしまい、勝手な思い込みで時間と体力を何年もロスしていたことに気づきました。

 次回の通院からタクシーを利用しようと決めた直後に、盛岡市周辺のタクシー料金値上げのニュースが報じられました。格安レンタカーの料金もじわじわ上昇しているので、今後どれくらいの価格差になるかは分かりません。

 タクシー通院のデメリットがひとつだけあって、わたしが車を運転する機会がなくなってしまうことです。介護や仕事に余裕があって、気温が快適な春や秋だけはレンタカーを借りて、運転技術が鈍らないようにしたいと考えています。

 今日もしれっと、しれっと。

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