介護の負担を減らしたい”ねがい”が詰まった話題のアイテム5選<注目のイベントレポート>
介護関連イベント「ねかいごと」が東京都内で開催され、介護関係者をはじめとする多くの人たちが詰めかけた。最新テクノロジーから手作りのものなど、親を通いで介護している記者が注目したアイテムやサービスをご紹介する。
介護の負担を減らしたい「ねがい」が結実したイベント
今年で2回目となる介護イベント『ねかいごと 2024』が、LINEヤフー運営のオープンコラボレーションスペース「LODGE」(東京都千代田区)で開催された。このイベントは「介護にまつわる願いごと」(=ねかいごと)を集め、テクノロジーなどの力を通して叶えていく活動の一環。介護に役立つ製品を紹介する展示、トークショーや座談会などが行われた。
イベントの発起人は、介護テックスタートアップ企業abaの代表で工学博士の宇井吉美さん。
宇井さんは中学生のときに母親代わりだった祖母が病気になり、ヤングケアラーとなった経験から、「介護する人の負担を少しでも減らしたい」という想いで千葉工業大学に進学し、介護ロボットの開発を手がけるように。
特別養護老人ホームでは、排泄介助の大変さを目の当たりにして、においで検知する排泄センサー『Helppad(ヘルプパッド)』を開発・販売。ウーマン・オブ・ザ・イヤー2024のひとりにも選ばれた。
会場には、彼女の想いに賛同する介護福祉関係者から、IT企業やスタートアップ関係者、今はまだ介護とは縁遠いという若者までが参加し賑わいを見せていた。
そして、介護現場の負担を減らすための”ねがい”が込められたアイテムが数多く展示されていた。
「私たちが推進している『ねかいごと』という活動は、介護に関わる人の“介護にまつわるねがい”を集めて、テクノロジーなどの力を介してその願いを叶えていこうというものです。この会場にもイベントに参加されたかたや介護を学ぶ学生さんたちからの願いを集めて、ボードに貼っています」(宇井さん)
記者が注目した新アイテム&サービス5選
90代の母を通いで介護している記者(60代)も、介護する人・される人の双方に役立つものはないかと、会場を歩いてみた。
展示ブースエリアでは、宇井さんが手がけたおむつを開かなくてもにおいで交換のタイミングがわかる検知センサーの最新版『ヘルプパッド2』をはじめとして、最新アイテムが紹介されていた。記者が注目した5選をご紹介。
1.離れていても隣にいるかのように空間を共有『tonari』
ブースエリアに入ってまず目に飛び込んできたのが、等身大型の巨大スクリーン『tonari(トナリ)』。そこに映し出されているのは、愛媛県松山市の介護施設・サンシティ北条にいるスタッフ。話しかけると笑顔で「こんにちは!」と返事をして手を振ってくれた。
『tonari』は、等身大のスクリーンを介して高解像度の映像で遠距離地点をつなぐツール。会話はもちろん、離れた施設の体操プログラムに一緒に参加できるなど、空間・時間を共有できることが最大の魅力だ。
「スクリーンの真ん中にピンホールほどの穴が開いていて、そこにカメラがあって先方にもこちらの姿が映し出されています。遠く離れたかた同士でも、隣にいるように話せて、一緒に体操やゲームなどもできるんですよ」(tonari広報)
離れて暮らす母にとって娘と毎日30分ほど電話で話すことが楽しみやリハビリにもなっていると感じる。3日も連絡しないと滑舌が悪くなるので忙しくても続けているのだが、こうしたアイテムを自宅でも気軽に使えれば、母の動く様子も分かるので便利だと感じた。高齢者のフレイル予防にもつながりそうだ。
【データ】
販売名:tonari
発売元:tonari
価格:購入349万8800円~、レンタル17万8000円~/月
公式HP:https://tonari.no/ja/