「すべての人が着たい服を着やすく」障害や病気のある人へ向けたインクルーシブウェアの受注販売が開始

　おしゃれな服や大切な服、思い出のある服。着たい服があっても、障害や病気などにより「着やすさ」を優先せざるを得ず、満足にファッションを楽しめない。そんな人々のために、ファッションブランドがインクルーシブウェアを受注販売できるサービスがを開始した。インクルーシブウェアとは？どんなサービスなのか解説する。

すべての人がファッションを楽しめる世界を目指して

　毎日のように身に纏う服だからこそ、自分が好きな服を着て日々を楽しく彩りたい。とはいえ一般的に流通している服は、標準とされる体型や、身体が自由に動くことを前提としてデザインされているものがほとんど。障害や病気、加齢による身体の衰えなどから、どうしても「着やすさ」を優先せざるを得ず、服の選択肢が限られてしまっている人々がいるのも事実だ。

　そんな悩みを解決すべく、障害や病気のある人への服のお直しオンラインサービス「キヤスク」を運営するコワードローブと、ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するZOZOが協業し、様々なファッションブランドがZOZOTOWN上でインクルーシブウェアを受注販売できるサービス「キヤスク with ZOZO」を、2024年8月10日より開始。また、それに伴い、「キヤスク with ZOZO」で展開するアイテムの第一弾として、車椅子ユーザーの悩みに着目したインクルーシブウェアの販売も始まった。

インクルーシブウェアとは？

　インクルーシブウェアとは、障害や病気を持つ人や高齢者などあらゆる人々がそれに関係なく皆同じように利用できるようにと考慮した「インクルーシブデザイン」の考え方を取り入れた服のこと。機能性とデザイン性を両立した設計で、当事者やそれを支える介護者の選択肢を広げることを目的としている。

第一弾では車椅子ユーザーでも穿きやすいパンツを販売（写真／株式会社コワードローブ提供）

キヤスク with ZOZOの3つのポイント

　800人を超える当事者へヒアリングを行い、延べ300人以上の障害や病気を持つ人に既製服のお直しを提供してきた「キヤスク」の知見を活かし、障害当事者の悩みに応えるインクルーシブウェアを開発。

1.当事者を含めたすべての人が着やすいデザイン

　第一弾では車椅子ユーザーの悩みに応え、サイドに大きく開閉できるファスナーを取り付けることで、足に障害があっても着脱しやすいように工夫した。さらに臀部には縫い目を作らないようにすることで、体重により圧迫される部分の皮膚へのダメージを軽減。床ずれが発生しにくく、運転手や在宅ワーカーなど長時間座りっぱなしでいることの多い人にもおすすめだ。

機能性だけでなく、座っても立ってもおしゃれなシルエットも魅力（写真／株式会社コワードローブ提供）

2.受注生産方式での販売で在庫リスクゼロ

　ZOZOTOWNでの受注後に最低1着から生産し、最短10日（※1）での発送が可能な生産支援プラットフォーム「Made by ZOZO」の仕組みを利用しているため、ファッションブランドは在庫リスクゼロで多様な商品を提供できるのもポイント。

　従来では当事者ひとりひとりに合わせたサイズや仕様など様々な種類の在庫を用意する必要があったが、「キヤスク with ZOZO」ではあらかじめ複数のインクルーシブウェアのデザインを用意することで、商品の在庫を持つことなく販売を行うことができる。在庫を気にすることなく豊富に色やデザインを展開できるため、当事者にとっても「自分好み」の服が見つかりやすいというメリットがある。

※1　「キヤスク with ZOZO」のアイテムは、ZOZOTOWNで受注後、最短14日で発送。

3.マルチサイズ対応でひとりひとりが着やすく

　また、ZOZOTOWN上で身長・体重を選択するだけで、豊富なサイズ展開の中から自分の体型にあったサイズを選ぶことができる「マルチサイズ」に対応。ファッションブランドは縦と横でそれぞれ異なるサイズの商品を生産でき、最大56サイズの商品展開が可能となっている。ひとりひとりがより自分に合ったサイズのアイテムを購入できるサービスだ。